スキップしてメイン コンテンツに移動

★ビジネスジェットの軍用転用にトレンドあり どこまでの機能をどれだけ安価に実現できるのか



技術の進歩でもう大型機は不要、ビジネスジェットを改装すればお手軽に新型機能が手に入るということですね。もはや737でさえ大型機の範疇に入るのでしょうか。防衛省がこのトレンドに乗るのか見ものですが、C-2やP-1などただでさえ生産数が小規模の国産開発機を抱え込んでいるので母機としての活用を求められそうですね。MRJという可能性もあり、考えてみると日本ではビジネスジェットの活用にはおいそれとは進まない感じですね。
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

Bizjets Finding Front-Line Role

Air forces are turning to business jets to meet special mission needs
Feb 11, 2016Tony Osborne and Bill Sweetman | Aviation Week & Space Technology
特殊用途機special mission aircraft (SMA)でトレンドが二つある。SMAとは民間機あるいは軍用輸送機を改装して情報収集・監視・偵察(ISR)任務に転用した機種を指す。
  1. これまでボーイング737はじめとする民間ジェット旅客機原型の機体が行ってきたミッションが支線用旅客機やビジネスジェット機で十分実施できるようになっている。反対にSMAとしてもっと小型のテキストロン・ビーチクラフトのキングエアなどで実施してきたものが大型の多機能センサー搭載機に移行しつつある。速度、航続時間、なんといっても高高度性能が魅力だ。
  2. 予算に余裕がない小国の空軍部隊はビジネスジェットを多用途任務に投入することの経済効果を簡単に理解できるが、大国もこの事実に気付き始めている。
  3. 1980年代にデンマークはガルフストリームIIIを改装し海上哨戒に投入していた。その後ボンバルディアのチャレンジャーCL604で環境汚染監視や領土哨戒任務をさせた。
  4. チャレンジャーの成功を見たボーイングはP-8ポセイドンのミッションシステムをチャレンジャーCL605に搭載した海洋監視機の製作を決断した。
  5. 米空軍は老朽化し運航に多額の経費が必要になってきたボーイング707を原型とするE-8Cジョイントスターズ (J-Stars) の後継機種にビジネスジェットによる二案を検討中だ。ノースロップ・グラマンのガルフストリームG550とロッキード・マーティンはボンバルディアのグローバル6000の各案だが、ここにボーイングが737転用案を持ち込んできた。また空軍はEC-130コンパスコールジャミング機の次期機種をビジネスジェット転用で実現できないか検討中といわれる。
  6. 今年に入りオーストラリアが情報収集・監視・偵察・電子戦 (Isrew)装備を乗せたガルフストリームG550二機を発注し、これまでP-3オライオン哨戒機が実施してきた任務に当たらせるとの報道が出た。新型機はL-3が改装を加え、米空軍のビッグサファリ管理室が契約を交付している。
IAIはボンバルディアグローバル5000を海洋哨戒機に大幅に改装する案を提示している。Credit: Israel Aerospace Industries
  1. またトルコはビジネスジェットをジャミング機に改装する案を検討中だ。これはゴルチェ(シャドー)の呼称がついている。高高度を飛行させれば地上の防空力を400キロ離れてもジャミングできるとトルコの業界筋は述べている。
  2. イスラエル航空宇宙工業(IAI)は小型ビジネスジェット案は経済効果の面で訴求力があると述べる。
  3. NATOの合同AWACS部隊は3,000名で17機のE-3を運用しているとIAI-Eltaの空中システムズ部のアヴィシャイ・イザキアンは指摘する。これに対しイスラエルはG550を改装した一体型空中早期警戒機 Conformal Airborne Early Warning (CAEW)を2機運用するが、支援要員は全部で36名程度だという。
  4. CAEWはシンガポールにも納入されており、イタリア向けも受領するが、もともとは2000年台当初にG550原型のISR機材三案の一つとして構想されたもの。イスラエルは二番目の案の侵攻情報収集機材も運航しており、三番目の多機能空中偵察監視 (MARS2)用の地上監視用機材の開発も国名非開示からの注文にこたえ進行中だ。MARS2では新型アクティブ電子式スキャンアレイレーダーに回転的アンテナと360度連続スキャンを搭載する。これに対しJ-スターズやセンティネルでは固定アジマス方式アレイでスキャン範囲は240度にとどまっている。
  5. IAI-Eltaはボンバルディア・グローバル5000を改造した海上哨戒機(MPA)で「多くの顧客と商談を」進行中だとイザキアンは述べている。「ボーイングP-8Aを除けば最も高性能な市販機材になる」.
  6. イザキアンは「機体構造の強化が重要だ」と指摘する。例としてエアバスディフェンスアンドスペースのC295のAEW用機材はC295を導入済みの国を狙う。
  7. スペイン空軍がこの例だ。C295を次期多用途機材ととらえ、海上哨戒ミッションでP-3の後継機、またElta製レーダーを搭載した機種をAEW任務に投入できると期待している。
トルコはガルフストリームまたはグローバルエキスプレスの機体に長距離ジャミング機材を問う愛するゴルチェ事業を企画中。 Credit: Tony Osborne/AW&ST
  1. ボンバルディアのグローバルエキスプレスにSMA機材として需要が高まっている。その理由の一つとしてレイセオンの空中スタンドオフレーダー (Astor) の搭載がある。Astor開発用のテスト機はその後ノースロップ・グラマンが戦場空中通信中継機のテスト機に転用されている。さらに民間登録のグローバルエキスプレスの4機が同システムを搭載し、空軍にE-11A として転籍された。
  2. このグローバルエキスプレスにはDARPA国防高等プロジェクト庁が開発したlidarセンサーを搭載している。
  3. IAI-Eltaはインドにグローバル5000を原型とするISR機を2機納入している。合成開口レーダー(ASR)と長距離電子光学センサーを搭載している。これより小型のガルフストリームG150にSAR装備を搭載した機材一機がインドで運行されている。この例が新しくG280をもとにした多機能情報収集機の提案につながっている。
  4. Saabはアラブ首長国連邦軍向けグローバルエキスプレスとを原型にしたSMA開発に取り組んでいる。UAEはグローバル6000を空中早期警戒任務に加え地上監視任務、また海上哨戒任務をすべて実施できる機材として期待。
  5. UAEの狙いは指揮命令機能の強化に加え弾道ミサイルへの対抗措置の強化だ。機体は大幅に改造され、Erieyeを背部アレイに格納し、主翼前方のフェアリングに情報非公開の地表水面捜索レーダーを搭載し、機首下には電子光学カメラシステムが付き、長距離画像識別を可能とする。
  6. UAE軍はさらにグローバル6000を少なくとも二機調達しており、イギリスのケンブリッジで改装作業に当たらせている。二機はマン島で機体登録しており、2013年に改装に入ったままなのは大幅な遅延の発生を示す。消息筋によれば二機は信号情報収集 (Sigint) 用のペイロードを搭載するという。
  7. イタリアはP.180アヴァンティ高速ターボプロップを自国軍およびUAEに軍用に売却しているが、同機を原型とした多用途パトロール機の製造に乗り出す。主翼幅を広げるなど機体改良で長時間ISRミッションを可能にする。
  8. 一方、米国で重要な案件が11月に開始された。LeidosがL-3/ノースロップ・グラマンを破り米陸軍向け5か年総額662百万ドルの空中低高度高性能偵察機(ARL-E) 契約を受注成功している。LeidosはARL-E装備を開発、統合、試験し、その後ボンバルディアのダッシュ8-300に搭載し、初期ロジスティックス支援を提供する。Leidosの開発チームにはボーイングのArgon-ST部門が加わりSigint機能を提供する。またDynamic Aviationが機体の改修に当たる。
  9. ARL-Eは現行のEO-5C型式ARL-多機能装備に代わるもので、以前に陸軍がSMAで積んだ経験を活用する。中東その他で民生用の機体を使ったところ機体が軍の基準に合わないことが判明した。
  10. ARL-E主契約企業の選定前に米陸軍は機体を取得し、コックピット改修および機体生存用の装備取り付けの契約を交付している。これとは別に陸軍のセンサー・情報収集機器部門はノースロップ・グラマンを選定し、これまでで最大規模のセンサー、地上探知レーダーの開発およびLeidos社向け契約の管理業務の契約を交付した。
  11. 一方でFunny-Looking King Air (FLKA) と呼ばれる派生型がアフガニスタン戦以降多用されている。アフガニスタンでは迅速なISR機材の投入が必要となり、双発ターボプロップ機が好まれた。そこでキングエアを偵察用にした同型がマルタ、ナイジェリアでも採用され、英国はレイセオン・シャドウを追加発注するとみられる。■


コメント

このブログの人気の投稿

★★★★北朝鮮ミサイルが中国衛星で誘導されている可能性

中国も北朝鮮関連では叩けば埃がどんどん出そうですね。北京が見切りをつければ平壌の現政権など簡単に転覆させるでしょうが、中国国内にある北朝鮮とのしがらみ(おそらく共産党内部の派閥争い)と東北部の軍の非合法ビジネスの問題があり、米国といったん話がついても実施が難しいのでしょう。そのうちにしびれを切らした米国が単独行動に出るかもしれません。
Record China Is North Korea Using China's Satellites to Guide Its Missiles? 北朝鮮は中国衛星を使ってミサイル誘導をしているのか
Peter J. Brown May 23, 2017 http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/north-korea-using-chinas-satellites-guide-its-missiles-20810?page=show

北朝鮮がミサイル発射を繰り返し米本土を狙うICBM開発に走る中、ひとつ見落とされている点がある。ミサイルに衛星誘導を使っているのではないか。北朝鮮に衛星航法ネットワークはないため、中国衛星を利用しているとの観測がある。 2014年報道で北朝鮮技術者が中国国内で北斗Beidou衛星航法システムの運用を研修中とある。同年の別の記事で中国軍専門官から中国は北朝鮮による北斗の軍事利用を止められないと発言している。 北斗以外に北朝鮮の選択肢として米露両国のGPSがあり、ロシアはグロナスGlonasと呼んでいる。 「グロナスの可能性もありますが、ミサイル誘導に北斗を利用している可能性の方が高い」と小泉 悠(未来工学研究所特別研究員、ロシア安全保障問題)がメールで述べており、ロシアは北の核実験後に武器および軍事関連技術の北朝鮮向け禁輸措置を取っているがグロナスが対象かは不明と小泉は述べる。 北斗衛星群打ち上げは1994年に始まり、現在は東アジア以遠まで展開している。北斗は民生商業用途と軍用の両面で利用され、軍用では妨害を受けず正確にデータが利用できる。 北朝鮮が北斗の軍用機能を利用しているか不明だが、民生用機能で精密誘導兵器を運用しているとは考えにくい。というのは北斗の民生機能は日米韓の電子妨害に弱く有事の際に北朝鮮が利用するのは困難になるためだ。 「特別のチップならびに中国の協力がな…

★★★破損機材二機からF-15を再生したイスラエル空軍の実力に脱帽

すごい。やはり国家の存続がかかった緊張状態を毎日続けて70年になる国は違いますね。イスラエルを敵に回したくないものです。 Meet the Israel Air Force unit that frankensteined a totaled F-15F-15二機の使用可能部分をつなぎ合わせて一機再生してしまったイスラエル空軍 By: Barbara Opall-Rome, May 15, 2017 (Photo Credit: Photo by Heidi Levine) http://www.defensenews.com/articles/meet-the-israel-air-force-unit-that-frankensteined-a-totaled-f-15
TEL NOF AIR BASE, Israel – ボーイングやロッキード・マーティンなど米企業がさじをなげたことをイスラエル空軍第22補給処が普通にやりとげてしまった。 2011年の事故でボーイングが喪失扱いと断念したF-15Bアローヘッドが飛行再開している。来月で事故から6年になる。事故は離陸直後にペリカンを空気取り入れ口に吸ったことで大火災が発生した。乗員2名は緊急着陸に成功したが、機体後部は完全に焼け落ち修理不可能と判定された。 その後三年余り、機齢35年の同機の処遇で議論が続いていた。機体の前方部は無傷なのでコックピットとエイビオニクスは予備部品にすればよいという声が出た。そこに第22補給処が前方部分と20年間も「機体の墓場」に放置されたままの単座型F-15の後部と接合する提案をしてきた。 「その案が出たのでボーイングに実施可能か照会したが、答えは返ってきませんでした」と第22補給処の指揮官マキシム・オルガド中佐がDefense Newsに語っている。「再度同社に聞くと、冗談と思って真剣にしなかったと判明したのです」 第22補給処は事故機の前方部分と20年間も「機体の墓場」で放置されていた別の機体の後部を接合した。 Credit: Photo by Heidi Levine ボーイングは声明文で第22補給処との協力関係は40年続いており、イスラエル空軍F-15の即応体制維持の一助となっている「同部隊のプロ意識や能力の高さには敬意を払っており、教えられることもあり相互に恩恵が生まれている」と述べた。 第…

★★★イージスアショア導入でミサイル防衛体制強化を目指す日本

LEAH GARTON—MISSILE DEFENSE AGENCY

防衛大綱にまで記述している以上イージスアショアの導入は固いところです。が、文中に指摘あるように対外有償軍事援助=販売として許認可を持つのは米政府ですので、今後の米中関係など他の影響も考慮すべきでしょう。ただし、中国の反対意見は無視するとしても、中国が沖縄と同様に国内反対派に火をつけることのほうが怖い気がしますが。
Japan May Acquire Aegis Ashore To Defend Itself From North Korean Missiles日本がイージスアショア導入を検討中。北朝鮮ミサイル防衛を目指す。The system is especially well suited for Japan's strategic needs, but China would not be pleased with seeing it setup on Japanese shores.日本の戦略的ニーズにぴったりだが、導入されれば中国がたまっていないだろう。BY TYLER ROGOWAYMAY 5, 2017 http://www.thedrive.com/the-war-zone/10012/japan-may-acquire-aegis-ashore-to-defend-itself-from-north-korean-missiles
日本がイージスアショアミサイル防衛装備の導入で北朝鮮弾道ミサイル脅威に効果的対応が可能になるか検討を急いでいる。 THAAD導入も検討したがイージスアショアの有効距離が大きいことで日本の地理条件に合い戦略上の狙いにも合致すると判断した。またイージスアショアが日本のミサイル防衛能力装備の水上艦と相互運用性がありセンサー、発射装置、迎撃体、運用方法を共通化できることも好条件だ。 価格も問題だ。ジャパンタイムズは「THAAD一個部隊は1,250億円で全土防衛に6隊が必要だ。イージスアショアは800億円程度で二個編成で同じ面積をカバーできる」と伝えている。イージスアショアはPAC-3ペイトリオット部隊と陸上配備ミサイル防衛の二重構成とし、短距離、中距離弾道ミサイルが大気圏再突入後に迎撃する。 イージスアショアはルーマニアのデヴェセルに導入済みだ。AP 日本の地理条件…