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2021年3月5日、中国の国防予算6.8%増と公式発表がありましたが、米中での伝え方にこれだけの違いがありました。

 まず、Defense Newsの記事です。

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Sailors stand on the deck of the new Type 055 guide-missile destroyer Nanchang of the Chinese People's Liberation Army Navy as it participates in a parade on April 23, 2019. (Mark Schiefelbein/AFP via Getty Images)

 

国は2021年の国防予算を6.8%増と発表し、前年の6.6%から微増で軍事力近代化を続ける。

 

中国財務当局は支出ベースで1.35兆元(2086億米ドル)と全国人民代表者会議で説明した。

 

大部分がそのまま承認される法案説明で、李克強首相は人民解放軍の戦力強化に向けた取り組みの継続を再び表明し、訓練強化とともに全方位での即応体制強化更に国防関連で科学技術研究、産業力強化を強調したが、詳細には触れなかった。中国の予算年度は1月1日から12月31日までである。

 

今回の予算増発表はPLAで何かと話題が多い中で行われた。2020年はインド軍と山岳国境地帯で衝突し、双方が素手で戦い死者が発生した。

 

またPLA各軍で大幅な軍事力近代化を継続し、東・南シナ海では強硬な態度が目立ち、軍・準軍組織部隊を投入したほか、台湾への圧力となる展開も見られた。中国はアジア数カ国と領土を巡る対立を続けている。

 

Google Earth衛星写真では055型(NATO呼称レンハイ級)巡洋艦三隻のうち二隻が海南島の三亜海軍基地に見つかり、南海艦隊に配属されている。

 

055型はPLA海軍の主要水上戦闘艦で、各艦に垂直発射管128セルを搭載し、対空、対艦、対地の各ミサイルを発射可能。また3Dフェイズドアレイレーダーや各種センサー・電子戦装備も搭載している。

 

同型艦は少なくとも8隻建造されており、空母三号艦・強襲揚陸艦3隻と行動をともにすると見られる。強襲揚陸艦の二隻は海上公試中で、海南島三亜基地に少なくとも一隻が配属されるだろう。■

 

 

China boosts defense budget again, exceeding $208 billion

By: Mike Yeo


あまり内容のない記事なので、肝心の中国がどう報じているか見てみましょう。共産党プロパガンダ紙として知られる環球時報からです。
 

 

  

Graphic: GT

Graphic: GT

 

国の2021年度国防予算は6.8%増で1.35兆元(2,090億ドル)と昨年度を上回るペースの増額となったが、COVID-19大流行の影響を脱し経済がたくましい回復を示す中で、国防費増加は平常の動きとする見方がある。   

 

国防費増額は全人代に提出された予算案で3月5日明らかになった。2020年どの6.6%から微増となっているが、前年は中国のみならず全世界が前例のないCOVID-19大流行の中で必死に対抗するさなかだった。

 

2020年の国防費は1.27兆元(1,790億ドル)だった。2016年以来、中国は国防予算の一桁増のままだ。

 

この点で2021年度の予算増に特異性はなく、順調かつ自制がとれている。中国が自国の国防力整備を続けるのは当然のことであり、コロナウィルス後の経済回復が全国的に進み、中国を取り囲む軍事脅威がある中できわめて普通の対応と専門家は見ている。

 

Infantrymen assigned to a combined arms brigade under the PLA 78th Group Army get well-prepared in positions during a tactical training exercise in early August, 2020. (eng.chinamil.com.cn/Photo by Feng Cheng)

Infantrymen assigned to a combined arms brigade under the PLA 78th Group Army get well-prepared in positions during a tactical training exercise in early August, 2020. (eng.chinamil.com.cn/Photo by Feng Cheng)

 

中国軍事専門家でテレビ解説者のSong Zhongpingは環球時報に対し、微増となった国防費6.8%増はGDP成長率と同程度であり、説明がつくものと解説した。全人代開幕で発表された政府資料では2021年のGDP成長率を6%を上回ること、としている。

 

中国には国防予算増額の客観的な理由がある。いまだに旧式装備を多数供用しており、新規装備へ更新の必要があり、一方で高性能装備品の開発も進み、新型空母やJ-20ステルス戦闘機に予算投入の必要があると別の専門家も環球時報に語った。

 

訓練を強化し、装備品と人員を統合しつつ、軍事脅威への対応をすすめるためにも予算が必要だし、COVID-19対応のような非戦闘活動でも相当の予算が必要となると指摘している。

 

国内経済の発展に呼応し、隊員の待遇改善も必要だと同上専門家は国境警備の厳しい環境では物質的に恵まれた条件が必要と例示した。

 

中国共産党第19中央委員会の第5総会(2020年10月)で発表されたコミュニケでは「国防力、軍組織の大幅近代化を今後5カ年で進める」とし、第14次5カ年計画(2021−2025年)の大きな柱としており、経済開発と並行し軍事力強化を目指すと強調している。

 

Photo: Xinhua

Photo: Xinhua

 

PLA創設100周年が2027年にあり、それまでに軍事力増強の主要目標の達成をめざす。また2035年までに国防体制軍事力の近代化を完成するとの発表も出た。

 

昨年、COVID-19封じ込めを全国レベルで成功したことで経済成長を維持した中国は2020年の経済のプラス成長を世界で唯一達成した国になったと専門家は見ており、昨年5月時点でパンデミックの行方が見えない中でさえ、国防費6.6%増目標を設定していた。このため2021年の目標は極めて自然な姿という。

 

中国軍備管理軍縮協会で上級顧問をつとめるXu Guangyuは環球時報に3月5日、米国は中国を競争相手とみなしており、軍事分野でもこれが反映されていると指摘。中国は圧力に屈することなく、国防予算増を加速し国家目標の実現に向かうべきと述べた。

 

昨年は米国の軍事挑発が連続し、中国の沿岸部や軍事演習地点に米軍は艦艇航空機を多数送り込んできた。一部は南シナ海で中国領海に侵入し、台湾海峡通行も行い、台湾の分離主義勢力への支援姿勢をあからさまに示した。

 

また米国は台湾島へ高性能米製兵器を繰り返し売却し、こうした装備品は攻撃的な性能があり、他方で米政府高官の台湾訪問は中国への挑発である。南西部ではインドが挑発行為に再度踏みきり、数ヶ月にわたる軍事にらみ合いの結果、双方に犠牲者を出した乱闘にまで発展した。

 

環境時報が接触した中国の専門家各位は外部脅威の発生は今後も続くと見ており、一層の国防予算増額がないと中国軍は課題に対応できなくなり、国家主権の防護、国境線や開発案件音維持もままならなくなる。

 

政府資料では2021年に軍事訓練と即応体制を全般的に強化するとあり、安全保障上のリスクには全分野全状況で対応するとある。また戦略兵力の強化により主権、安全保障、開発案件を守ると同時に国防関連の科学技術、産業力の整備で国防動員力を引き上げるとある。

 

成長率こそ伸びたものの、中国の国防支出総額は世界第二位の経済規模としては低水準と専門家は指摘している。

 

中国の軍事費はGDPの1.3%相当を数年来維持しており、全世界平均の2.6%を遥かに下回る。

 

世界最大規模の軍事費を支出する米国は中国の約4倍の規模をここ数年示している。2020年2月時点での米国防予算要求は7,405億ドルでこの内国防総省関連は7,054億ドルだった。

 

経済成長を反映し国防予算増を続けるのは中国にとって当然のことであり、強力な国防体制は従来型の安全保障リスクの戦争のみならず非通常型の安全保障脅威となるテロ活動、自然災害やパンデミックの双方から経済成長の果実を守るためにも必要不可欠だ。

 

中国の国防予算支出傾向は全般的経済開発と歩調をあわせたものと全人代第4次年次総会の報道官Zhang Yesuiが3月4日記者会見で述べた。

 

「適正かつ順調な国防支出増を維持することが国家主権ならびに開発権益のため、中国の国際責務の達成のため、また中国の軍事力を中国の特性に合った形に変革するためにも必要だ」

 

中国の国防支出は透明性を保ち、公開されているとZhangは強調した。

 

国防予算は毎年の全人代で審査承認され、2007年から中国は前年の国防支出実績で基礎データ全点を国連に提出していると同報道官は発言。

 

一国が軍事脅威を与えるかはその国の国防政策が鍵となるとZhangは述べた。

 

「中国の場合は平和的な開発への道を堅持している。中国の国防政策は防衛的な性質のままだ。国防力増強はいかなる国を標的にしたものでも、脅威をあたえるものでもない」と繰り返した。■

 

うーん、価値観の違いが明白で、まるで宇宙人の作文のような内容ですね。環球時報が中国語原文記事をそのまま英語にしているとは思えないのですが、主張は中国語の論理そのものですね。疲れました。

 

China hikes defense budget by 6.8 % in 2021, faster than 6.6% growth last year

By Liu Xuanzun

Published: Mar 05, 2021 10:19 AM Updated: Mar 05, 2021 09:31 PM

 


コメント

  1. ぼたんのちから2021年3月9日 8:52

    中国の軍事費には、PLAの支配下となった武警、海警の費用、それに軍事技術の研究開発費が含まれていないであろう。武警の費用は軍事費を越え、海警の費用は増々増加し、研究開発費は軍民一体化しているため推定が難しいが軍事費の半分程度とも言われている。このように考えると、軍事費の実質は公式発表の3倍程度になるだろう。
    中国の軍事費がGDP比で1.3%と言うのは欺瞞でしかなく、実質4%前後だろう。
    さらに水増し操作と過剰過ぎる固定資産投資により作り上げられたGDP公表値は、実質公式の7割程度と考えれば、軍事費はGDP比約6%が実態を表す数値だろう。これはまさしく軍事国家の姿だ。ロシアでさえ今は4%前後であることを考えれば、異常な数値であり、この支出の目的は戦争以外に無いであろう。
    つまり習は、今の著しい装備拡充を継続し、兵士の練度が上がれば戦争に踏み切るつもりなのかもしれない。

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