スキップしてメイン コンテンツに移動

SR-72ダークスターはいつ完成するのか。実在の事業なのか。(これは確か)極超音速ミサイルの時代に爆撃機として投入可能になるのか。なぜ、情報が出てこないのか。(理由がある)

 


SR-72 Darkstar: A Mach 6 Bomber Coming Soon?


March 5, 2021  Topic: SR-72  Blog Brand: The Reboot  Tags: SR-72MilitaryDefenseWarU.S. MilitarySR-71

by Peter Suciu

 

ッキード・マーティンSR-72には「ブラックバード二世」の愛称もついているが、実在するのかで意見が別れている。今後公開予定のトム・クルーズ主演1986年制作のトップガン続編 Top Gun: Maverickに登場するとの報道もある。

 

同機が生産段階にあるのは疑う余地がないが、飛行可能な状態にあるのかは別の話になる。同機の任務内容でも不明点が多い。

 

SR-72ダークスターでわかっていること(おそらく) 

 

SR-72ダークスターは複合サイクルエンジンを採用しているといわれ、タービンエンジンとラムジェットを組み合わせ、スクラムジェットとも呼ばれる。これによりマッハ6へ加速が可能となり、SR-71の2倍のスピードを実現する。

 

これだけのスピードがあればダークスターは記録を破る移動時間で世界中の地点に移動可能だ。さらに、兵装を搭載すれば宇宙一歩手前の高度から任意の地点を攻撃可能だ。SR-71後継機として情報収集偵察監視(ISR)任務につくとされるが、爆撃機としても極めて高機能機材になる可能性がある。

 

2013年からSR-72の性能について議論がにぎやかだ。一方で既製品の材料を使うなど予算環境の厳しさも反映した設計になっている。

 

ロッキード・マーティンF-35はいうまでもなく、B-2スピリット、さらにB-21レイダーのステルス性能が話題に上ることが多いが、もっと重要なのはスピードなのだ。

 

目に見えなければ撃墜できないのは確かだが、高性能レーダーに対空装備を組み合わせたロシア製S−400トリウンフのような装備ではステルス機の迎撃が可能といわれる。だが超高速は別で、超高速を「新しいステルス」と呼ぶ向きがあるが、実際にはステルスよりはるかに優れた性能となる。

 

ただし、少なくとも今はステルスに優位性があり、ロッキード・マーティンで高性能兵装の開発にあたるスカンクワークスはSR-72に関する限り高いステルス性を示している。いろいろな情報が飛びかったが、2018年になり縮小版の無人機として米空軍パームデール施設付近を飛行している様子を目撃されている。スカンクワークスも同地に本拠地をおいている。

 

消えない疑問

 

答えが出ていない疑問点のひとつに極超音速ミサイルの登場で爆撃機そのものが無用の存在になるのかという点がある。ただし、一つ言えるのは高高度で超高速飛行する爆撃機に極超音速ミサイルを搭載すれば、対抗措置はほぼ不可能となることだ。

 

高速ではないSR-72の要素が開発期間だ。SR-71含め、従来の機材では軍の要求を実現するべく、素材開発から実寸大機体の完成まで時間が必要だった。

 

予算も考慮の対象となるが、ステルスUAVがあればISR任務の大部分を実施できると主張する向きがある。一方で米空軍はB-21レイダーの実現に注力している。

 

こうしたこともありSR-72の話題が聞こえてこないのだろう。だがらといって同機の実現がないわけでもない。現時点ではステルスモードにはいっているといったところではないだろうか。■

 

この記事は以下を再構成し人力翻訳でお送りしています。市況価格より2-3割安い翻訳をご入用の方はaviationbusiness2021@gmail.comへご連絡ください

 

 

Peter Suciu is a Michigan-based writer who has contributed to more than four dozen magazines, newspapers and websites. He regularly writes about military small arms, and is the author of several books on military headgear including A Gallery of Military Headdress, which is available on Amazon.com.


コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...