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期待はずれに終わった装備品----実戦化したものの失敗した装備品から教訓を学ぶ----(1)米陸軍向けM551シェリダン軽戦車の場合

 

 

この装備品はなぜ失敗に終わったのか

失敗から学ぶ兵器史 M551シェリダン

 

現場部隊は必要な場面で現れるシェリダンを頼もしく思ったが、兵装に問題があり、機構上のトラブルが多すぎた。

 

M551シェリダン軽戦車は今となっては懐古の趣がある。登場した当時は画期的な兵器システムだったが、いろいろな要素がからみ、実戦で失敗作だと実証してしまった。しかし、同戦車数百両が戦役3回に投入され、それなりに有益さを発揮し、1990年代に用途廃止されると戦力構造でギャップを残し、米陸軍は今もその穴埋めに苦慮している。シェリダンは空輸で容易に移動可能で、パラシュート投下もできたためだ。

 

南北戦争時の北軍騎兵隊将軍の名前を冠した同戦車が導入された時点で米陸軍は主力戦車を優先し、軽戦車の概念そのものは廃止寸前だった。装甲、火砲を犠牲にし高速力を実現する軽戦車は、全てをバランスよく実現した車両が生まれれば無用の存在になると思われていた。

 

ただし、当時のパットン戦車は最大時速30マイル程度と低速で、空挺師団に軽戦車は不足していた。第二次大戦の経験から空挺部隊は敵装甲部隊の前には脆弱とわかっていた。米陸軍はこれ以前にグライダー搭載可能のM22ローカスト戦車を開発し、ライン河作戦で空挺部隊と投下されてていた。さらにソ連は水陸両用のPT-76軽戦車の配備を始めており、米陸軍も同等装備品の導入の必要を痛感した。

 

 

そこで13億ドルを投じ「装甲偵察/空挺強襲車輛」M551シェリダンが実質上の戦車として1,562両が1966年から1970年に量産された。車両重量15トン、時速43マイルのシェリダンは乗員4名を薄い鋼鉄装甲砲塔とアルミ車体に乗せた。浮体装備をつけ、時速3マイルで渡河通行が可能だった。

 

シェリダンで最も目を引く特徴がM81で152ミリ主砲・ミサイル発射装備だった。パットン戦車の90ミリ・115ミリ主砲より強力な薬莢なしの砲弾を発射可能な短砲身では必要な精度が長距離射撃で得られず、敵戦車の装甲貫徹も不可能だった。そこで、中長距離の敵装甲車輛にはMGM-151シレーラ対戦車ミサイルを発射した。射程は3キロ程度であった。シェリダンはシレーラを9発、砲弾20発を標準搭載し、.50機関銃、7.62ミリ機関銃も搭載した。強力な火力を軽戦車に詰め込むのはすぐれた発想のように思われた。

 

影響力の強いクレイトン・エイブラムズ大将がシェリダン構想を支持し、152ミリ砲弾が利用可能となると、第一陣として200両をヴィエトナムに1969年1月に送り込まれた。第4騎兵連隊第3戦隊ならびに第11装甲騎兵連隊「ブラックホース」の各戦車中隊に導入され、大型で鈍足のM48パットン戦車に交代した。だが、実戦投入されると新発想の兵装が欠点を露呈した。

 

シェリダンの軽量車体は主砲発射で飛び跳ねる事が判明した。車長がハッチから外を覗いていれば胸部負傷の恐れがあり、ミサイル用の電子装備が機能不全になった。これに自動装填装備の実行速度が低いことが加わり、毎分2発しか発射できなかったが、M48では経験をつんだ搭乗員なら毎分12発以上発射できた。さらに、無薬莢砲弾の推進剤が漏れやすく戦闘場面で危険な状況になることがあった。

 

ただしシェリダンの最大の欠点は軽戦車の宿命とうべき残存性にあった。M551の装甲は重機関銃なら跳ね返したが、地雷やロケット推進手榴弾には脆弱だった。更に悪いことに敵弾が貫通し車内で152ミリ無薬莢砲弾が誘爆すると致命的だった。アルミ車体は引火しやすく、乗員の生存は厳しかった。第12装甲騎兵連隊は渡河作戦で一度に3両のシェリダンを地雷で喪失した。第11装甲騎兵連隊では5両がヴィエトコンのロケット推進手榴弾で破壊された。あわせて約100両をヴィエトナムで喪失している。ヴィエトナムにはシレーラミサイルは投入されなかったが、この装備も失望ものだった。故障が多く、赤外線センサーは800メートル以上ないとロックできなかった。陸軍はM81とシェリダンをM60A2「スターシップ」パットン戦車の後継装備品として投入したが、供用期間は10年に満たず第一線を退いた。

 

とはいえ、シェリダンは現場部隊に好評だったとの報道がある。152ミリ砲弾は強力な威力を印象づけ、M625キャニスターにフレシェット弾数千発を入れ、タイニン、ビエンホアの両戦闘でヴィエトコン部隊に大損害を与えた。またシェリダンの低地上圧はパットン戦車では通行不能な場所でも有効でヴィエトナムの地形に合っていた。前線部隊ではシェリダンを改造し、.50機関銃に防御板をつけたり、地雷対策として追加側面装甲をつけていた。

 

装甲騎兵連隊の撤退が1972年に完了し、シェリダンもヴィエトナムでの供用を完了した。陸軍は1970年代末から順次この複雑な構造の車輛を騎兵部隊から廃止していった。しかし、空挺部隊では後継機種がないため、そのまま残り、M551A1 TTS仕様として熱探知機能で夜間戦闘に備えた改良型になった。

 

1989年のパナマ侵攻には73装甲師団第3大隊のシェリダン10両がC-130から初めてパラシュート投下されたが、これが唯一の事例となった。M551はさらに4両が戦闘開始前に送り込まれ、パナマ警備隊陣地を強力な火砲で攻撃した。その際に使われた低速空中投下用パラシュートの作動には困難がつきまとい、M551のうち2両は沼地に投下され、回収できなくなった。残りの車輛は稼働状態にされ、パナマ独裁者ノリエガの部隊と市街戦を展開した。

 

一年後にシェリダン51両が第82空挺師団とサウジアラビアに急派された。砂漠の嵐作戦で、米陸軍の軽歩兵部隊の防御にあてられた。この動きでサダム・フセインのサウジアラビア侵攻を食い止める期待があったが、大量の装甲部隊による侵攻シナリオが実現せず幸運だったと言える。その間に米国は重装甲部隊を現地に送り、戦力を構築できた。

 

シェリダンが実戦投入されていれば、イラク戦車の餌食になっていただろう。それでも同軽戦車にも湾岸戦争で活躍の機会がやってきた。イラク陣地にミサイル数発を発射し、T-59戦車一両を撃破している。これが88千発も生産されたシレーラで唯一の戦果となった。

 

シェリダン戦車は82空挺師団の急速展開部隊用にその後も共用されたが、1996年に用途廃止となった。多くが敵軍想定部隊として国家訓練センターで使われたが、これも2003年に廃止され、その後人工環礁として生涯を終えている。

 

空挺部隊にはシェリダン戦車を上回る後継装備品は実現していない。陸軍はM551に軽量105ミリ砲を搭載し、同様の火力を搭載したXM8と試用した。結局、車輪走行式のM1128ストライカー機動砲装備を採用した。

 

現時点の空挺部隊には対戦車装備としてジェヴェリンがあるが、他方で軽戦車があれば敵拠点の突破など歩兵部隊に頼もしい支援が実現する。小火器攻撃なら無傷でいられる。近年のアクティブ防御装備なら小型対戦車兵器にも有効だろう。

 

M1エイブラムズ戦車にはシェリダンと同等の高速走破性能があり、火力装甲ともに相当強力なうえ、C-5輸送機に搭載可能だ。だが、車重70トンの同戦車は橋梁も破壊しかねず、燃料補給や整備が負担となる。当然、パラシュート投下は不可能だ。■

 

 

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Tank Trash: Why the M551 Sheridan Ultimately Failed`

March 3, 2021  Topic: Technology  Region: Americas  Blog Brand: The Reboot  Tags: U.S. ArmyTanksArtilleryDefenseMilitarySheridan Tank

The tank had troublesome armament and inadequate armor.

by Sebastien Roblin

 

Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.

 

This article first appeared in 2019.

Image: Wikimedia Commons

 


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