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F-15EX導入を急ぐ米空軍の姿勢に懸念がある理由

 

 

 

週の報道ではボーイングF-15EXは残存性テストを免除となるとあり、国防長官官房がテスト免除を決め、経費108百万ドルに加え実施期間まるまる一年以上の節約をねらっている。

 

ペンタゴン内部メモをもとにこれを伝えたInside Defenseでは、この措置は前政権で調達部門トップのエレン・ロードが退任数日前に承認したとある。

 

トランプ政権は新たに近代化改修したF-15EXの8機を11億ドルで導入する提案を昨年9月にしており、この後合計144機を調達する。空軍が同型機導入をかねてから模索し、1974年に導入開始したF−15イーグル旧型との交代を狙う。

 

空軍はF-15各型合計453機を供用中で、うち最新機体は2001発注分だ。F-15はその後も各国向けに製造が続いている。

 

 

新造機材を空軍が導入することにしたのは、F-15EXに「今後の寿命」が長いためで、既存機の改修より費用が節約できるためだ。合わせて、旧型機を用途廃止できる。新造F−15EXは今後数十年に渡り供用が可能であり、部品の7割ちかくが現行のF-15C型E型と共通すると空軍は見ている。セントルイスの生産ラインも残せるし、訓練施設、整備補給処等インフラをそのままF-15EXに使える。

 

問題はF-15EX導入を高ピッチで進めることでどんなしわよせが生じるかだ。

 

Inside Defense記事にあるように残存性試験免除でF-15EXがロシアや中国の地対空装備にどこまで対応できるのかが逆に疑問となる。さらに、ロシア、中国ともに防空装備の輸出を続けているので、F-15EXは世界各地で新鋭装備の脅威に直面する可能性がある。F-15で防空装備の脅威に対する脆弱性が試されたのは2008年が最後だ。

 

その後、ロシア、中国の防空能力は確実に改善されている。

 

空軍が第5世代戦闘機のみ整備するとした方針を再考している。F-15EXは費用対効果は高い機材だが、F-15EX導入を受け入れられない向きもあるのは事実で、長く供用されれば、敵の新鋭装備の前に一蹴される危惧がある。

 

「第5世代戦闘機は今後発生する危機事態対応で中心装備となり、第一、第二列島線の各所で必要となる機材だ」との上院軍事委員会での現状報告でインド太平洋軍司令官フィリップ・デイヴィッドソン海軍大将発言をInside Defenseが伝えている。■

 

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Rushing Boeing's F-15EX Fighter Into the Sky Could be A Big Mistake

March 10, 2021  Topic: F-15EX Test  Region: Americas  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-15EXF-35MilitaryDefenseRussiaChina

by Peter Suciu

 

Peter Suciu is a Michigan-based writer who has contributed to more than four dozen magazines, newspapers and websites. He regularly writes about military small arms, and is the author of several books on military headgear including A Gallery of Military Headdress, which is available on Amazon.com.

Image: Reuters


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