EMP攻撃が制御可能な形で実施できるのか不明ですが、シナリオとしてはもっとも恐ろしい影響を与えるはずで、我々の生活が電気中心となっているなか、テキサス州のように大規模停電が発生すれば飲水も確保できなくなります。防御策を強化しても攻撃側が出力を増やせば効果がなくなるといういたちごっこの構図になるはずですが、サイバー含め日本も真剣にこのシナリオを考えておかないとまたもや想定外として言い逃れをする状況を許すことになります。
Airmen prepare a B-2 Spirit for takeoff at Naval Support Facility Diego Garcia in support of a Bomber Task Force mission, Aug. 17, 2020. (U.S. Air Force/Tech. Sgt. Heather Salazar)
米空軍がB-2スピリット爆撃機で電磁パルスEMP攻撃への防御強化を目指していることが政府調達関連公表サイトから判明した。
空軍物資司令部が先月から「B-2をEMPから防御する技術の性能一式」及び関連提案を公募していることをMilitary.comに認めた。
情報開示の締切はすでに終わっているが、空軍は引き続き同機の「残存性増強」のため近代化改装を狙っていると同司令部は述べている。「B-2装備担当部門は近代改修を続け核攻撃の指揮統制通信 (NC3) の機能を維持していく」(同司令部)。
EMPとは核爆発の際に発生する膨大なエナジー放出で電気系統を機能一時停止あるいは破壊する効果がある。中国のEMP攻撃に米国は脆弱と警告する向きもあるが、EMPより核爆発そのものに注意すべきとの声もある。
EMPは自然現象の地磁気嵐でも発生するが、いずれにせよ爆撃機には脅威となる。ドナルド・トランプ大統領は2019年に米政府各省庁に対し、EMP攻撃への対応での調整を求める大統領命令を発出した。その内容では研究開発を続けて脅威が最も深刻な影響を及ぼしかねない機能の防御策を求めており、全国送電網や軍事装備品、基地を対象としていた。
B-2のエイビオニクスは一部兵器からの攻撃に「耐える」強化策を施されている。今回想定する改修では「画期的手段により接近阻止領域拒否環境でも兵装としての有効性を維持し残存性を高める」のが目的と物資司令部は述べている。A2/ADとは敵部隊の陸海空活動をさせないための軍事戦略であり実施体制を意味する。
B-2の性能を段階的に引き上げる計画だが、具体的な内容は保安上の理由で説明できないと物資司令部は説明している。
B-2は20機あり、B-21の供用開始となる2020年代中頃までは唯一のステルス爆撃機だ。ただし、空軍はB-2の退役を2032年より開始する予定。
B-52Hストラトフォートレスは2050年代まで供用予定で、現時点でEMP防護テストが行われている。
空軍発表資料によればティンカー空軍基地(オクラホマ)のコンパス・ローズテスト施設でアンテナから電磁エナジーを機体に放出する実験を昨年行っていた。
EMPで機体がどう反応するかを実証すると、同基地の第555ソフトウェアエンジニアリング飛行隊が説明していた。機体に何が発生するのか、性能への影響はどうなるのか、電子装備に影響が出るのかをテストしたという。
空軍は実験はトランプ大統領指令に沿うものであり、同時に2017年の国家安全保障戦略でも中国、ロシアの脅威の高まりを強調し、両国がEMP技術に関心を高めていると指摘していた、と説明している。■
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Air Force Wants to Harden the B-2 Bomber to Withstand an EMP Attack
22 Feb 2021
Military.com | By Oriana Pawlyk
EMP攻撃兵器は、核兵器によるものが一般的であるが、通常兵器もある。通常兵器としてのEMP兵器は、米国では2000年代に開発され、中露も開発中であり、一部は実用化していると推定する。いずれの国もEMP通常兵器の詳細は公開していない。
返信削除EMP通常兵器は、その有効範囲は10km前後内と推定するが、ミサイル搭載が可能ならば攻撃範囲内の航空機の電子機器は麻痺し、特に航空姿勢の安定制御に電子機器の援用が必要なステルス機に致命的な打撃を与える可能性がある。このため米空軍はB-2に対策するのだろう。
EMP通常兵器は、通常の対空ミサイルと異なり、精密な接近誘導が必要なく、数kmまで近づくだけでよく、次世代の対空兵器になるだろう。また、対地攻撃では電子機器を搭載する戦車や装甲車、ミサイル等の攻撃兵器を人的被害なしに無力化することができると考えられている。
この特性を考えれば、日本も保有すべき兵器である。