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衛星画像から大規模ヘリポートが中国国内で台湾海峡をにらむ地点に建設中と判明した。造成工事は続いており、建設場所は台湾から150マイルの地点で、その他台湾が占拠する諸島へはもっと近い。ときあたかも中国は米国、台湾と論戦を展開している。近い将来に台湾海峡を横断する侵攻作戦の支援基地として戦略的な地点にある。
オープンソース情報アナリストの@detresfa_,が、福建省漳浦県Zhangpu Countyで事態が進展していると先週紹介した。基地の正式名称は不明だが、工事は2019年5月から6月の間に開始していることがPlanet Labs公開の画像からわかる。
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福建省漳浦県で建設が進むヘリポート基地の様子。
現時点でヘリポートには長さは約2,140フィートとみられる滑走路一本があり、東端に機体回転用スペースもある。フライトラインは全長6,000フィートだが比較的狭い。衛星画像は2021年2月18日撮影でGoogle Earthが公開している。(上写真)ハンガーが18あり、さらに9基の建設が進行中だ。また滑走路北東にヘリパッドが10箇所見られ、ターマック上に大型四角にマークされたスポット17箇所がある。@detresfa_.はこれをヘリコプター起動用場所と見る。写真では人民解放軍で供用中Mi-8/Mi-17ヒップ型ヘリコプターが駐機している。
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滑走路、フライトラインをクローズアップするとヘリパッドがわかり、 Mi-8/M-17型のヘリコプター3機がランプ上にみられる。2021年2月18日撮影。
この基地の運用状況は不明だ。管理棟のような建屋、兵舎、小規模建造物が南西部分にみられ、建設が未完とわかる。2月18日撮影画像では施設内の道路が未整備なのがわかる。
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2月18日現在の支援建屋の様子では建築中だとわかる。
滑走路は作戦使用が可能な状態にあり、Planet Labsには低解像度写真がここ4カ月分あり、フライトライン上に暗く写る場所がみられ、ヘリコプターと思われる。2020年12月画像ではヘリコプター20機近くが見られた。
フライトライン機能が未完成とはいえ、この新造ヘリポートは訓練施設のほか、台湾海峡を狙う作戦の中間地点となるはずだ。立地場所から見て戦略的な価値は明らかで、台湾本土のほか、台湾が実効支配する諸島にも近い。
台湾から150マイルほどの位置だが、金門島へは50マイルに過ぎない。金門島は台湾が実効支配している。さらに同様に台湾支配下の 澎湖県 Penghu Countyには110マイルしかない。また台湾の戦略で重要な南シナ海の東沙諸島へは240マイルとなる。
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.新ヘリポートの建設地点を赤で示した。一番近いのが金門島で、澎湖が台湾海峡の東端、東沙諸島は南西にあたる。
漳浦県の新基地からPLAは大規模航空機動作戦を展開し、狙いを定めた地点にヘリコプターを集中投入し、台湾あるいはその周辺を短期間に制圧する能力が実現する。基地が対潜ヘリコプターにも活用されれば、台湾海峡を狙う作戦の陸上基地として理想的だ。また南シナ海北部をにらんだ作戦にも活用できる。台湾は現在潜水艦部隊を増強中だ。
さらに滑走路周辺の建設状況を見ると、大部分が完成しているようで、長距離無人機の運用にも活用できそうだ。同基地から無人機を発進させれば、台湾周辺の情報収集監視偵察(ISR)任務に有利となる。
台湾国内メディア報道には同基地がさらに拡張され大型有人機運用に使われるとの危惧があるが、@detresfa_は少なくとも現在の姿から見て同基地は戦闘機材特に有人固定翼機の運用に不適とみている。滑走路に折り返し地点がなく、その他支援施設も有人機用と異なっているからだ。
建設が二年前に始まっているが、すでにヘリコプター運用が始まっていることから基地建設が大きく進んでいることがわかる。台湾と中国、さらに米国を巻き込んで緊張が高まっている中での進展である。
「中国が米国と米国の指導的立場にとってかかわり、法が支配する国際秩序を崩す野望を加速化していることに危惧している。2050年までにこの実現を狙っている」とインド太平洋軍司令官のフィル・デイヴィッドソン海軍大将が先週議会で発言した。「台湾は野望の対象で、2020年代中に脅威が現実になるとみており、今後6年以内が危ない」
中国が台湾進攻の準備を着々と進めているのは秘密でもなんでもない。台湾を反逆地方とみる北京政府は台湾が独立宣言すれば、武力制圧に進むと公言している。内蒙古には朱日和Zhurihe基地があり、市街戦の訓練拠点になっており、総統府など台湾政庁の実際の建物を再現している。
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朱日和訓練基地で訓練する中国兵士。建物は台湾総統府を模している。
緊張は蔡英文総統の再選があった2020年1月から高まった。再選を決めた総統は台湾憲法の改正案を示し、正式に独立への道を進める姿勢だ。これを境に中台双方で台湾海峡付近で軍事演習が増えた。米国も軍事活動を同地区で強化し、中国の反発を招いた。米政府は台湾を独立国として承認していないが、台湾の地位が最終的に確立するまでは、外交面で介入する権利を保留し、大規模軍事装備売却を通じ、台湾の国防力を支援している。
李克強首相は今月の全人代開幕にあたり、台湾米国間の「共謀」を非難し、「高度の警戒姿勢を堅持し、台湾独立をめざす分離主義の動きは断固として阻止する」と発言した。
同上発言と同様の兆候が北京から出ており、中でも専門家が注目するのは中国政府が東沙諸島を占拠する可能性だ。台湾本島の南西部に位置する同諸島を台湾から遮断すれば、PLA航空作戦、海軍の活動が容易になる。
「中央軍事委員会委員長が米国との開戦は不可避と発言している」と米陸軍少将リチャード・コフマン(次世代戦闘車両機能横断チーム長)が先週の戦略国際研究センター主催のイベントで語った。「中国最高位の将軍が『不可避』と聞いたらどうなるか。先制攻撃に進むと思う。不可避なら、敵の攻撃を甘んじるはずがない」
コフマン少将が言及しているのは人民解放軍空軍 (PLAAF) の許其亮Xu Qiliang大将(中央軍事委員会副委員長)がPLAは「トゥキディデスの罠」に備えるべきと発言したことだ。これは新興勢力と既存勢力の間で交戦が不可避となる状況を指す。今回の全人代で許大将は米国を名指しこそしなかったが、米国以外にトゥキディデスの罠があてはまる国は考えにくい。ただし、同大将が米中開戦が不可避と考えているのか、あるいは中国軍に将来のリスクへ備えるべきと言ったのかは不明だ。
いずれにせよ、米国と中国は多方面で地政学上の摩擦に直面している真っ最中だ。台湾もそのひとつだが、南シナ海はじめとする領土主権問題もあり、国際貿易でも意見が衝突し、COVID-19の世界流行の発生源でも緊張は一層熱くなっている。台湾側も大陸との意見対立を一層強めている。
PLAの戦力増強にあわせ関連施設の充実も注目を集めている。今回のヘリポートがまさしくこの例で、建設は後期に入り、管制すれば、事態のエスカレーションが避けられず、言葉の応酬や軍事シグナルの強化につながるはずだ、当面は。■
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Massive New Chinese Military Heliport Taking Shape Right Across From Taiwan
BY JOSEPH TREVITHICK MARCH 18, 2021
記事の福建省漳浦県の基地は、台湾進攻の目的ならば距離が有り過ぎ、その目的ならばもっと北東側の沿岸に作るべきだろう。そう考えると、むしろ金門島等の台湾支配の中国沿岸の島々の攻略用ではなかろうか。
返信削除習やPLA高官の台湾進攻の放言は、言葉の過激さと裏腹に、ただの遠吠えかもしれない。先日の米中高官協議での一見激しい応酬は、中国側のパフォーマンスと考えるべきだろう。
米国(そして日本)が台湾を支援する限り台湾侵攻は簡単でない。CCP/PLA敗北の可能性も高く、敗退すれば不安定な中国社会で習とCCPの求心力は著しく低下し、少なくても習及びその一派は落馬するだろう。習がそのようなリスクを負うことは今のところ無いと思える。
日米は、現在のこの状態を維持し、CCP/PLAの現状変更を抑制することが当面求められる。