米シンクタンク新アメリカ安全保障センターが実施した机上演習は2030年に中国が米国-日本と大規模戦闘を2030年に展開する想定で、潜水艦、揚陸作戦、水上艦艇、第五世代戦闘機と多様な要素を盛り込んだ。
これを伝えた Foreign Policyによれば、机上演習は以下の通り。
「中国が尖閣諸島の魚釣島に兵員50名を上陸させた。中国は尖閣諸島から50マイルの排他水域を宣言し、水上艦艇、潜水艦、軍用機、無人装備を展開し、本土から弾道ミサイルを支援に投入した...」
日本は反撃手段として揚陸艦、潜水艦、水上艦艇を送り、水陸両用部隊を投入した。
日米安全保障条約に基づき米国は空母打撃軍等を日本支援に派遣したが、中国軍と交戦を回避するよう厳に指示した。だが、机上演習のシナリオではこの方針は守られない。
そのため、中国対米国-日本連合軍で交戦状態が発生する。試算では過去100年で最大規模の戦闘になり、マルチドメイン戦となる。
米中の海上対決は複雑かつ危険な要因を含む。2030年の中国海軍力は米海軍並みとなり、米国の地位を脅かすと想定した。
この戦闘では複雑な要素の絡み合いで結果が決まる。たとえば、イージスレーダーや長距離センサーの精度がどこまで向上するかだ。米中双方の艦艇に長距離攻撃兵器が大量に搭載されるが、雌雄を決するのはセンサー能力となる。
今日の戦闘で勝利するのは情報、探索、偵察で敵を「アウトレンジ」する側で、水上・空中の無人装備やセンサー能力が高いF-35を投入する。このため航空支援で優秀な側が勝利に近づく。中国の第五世代戦闘機J-20やJ-31がF-22、F-35と同等の性能あるいは優越した性能があるかが試される。空の交戦の勝者がアウトレンジで敵部隊を一方的に攻撃する立場に近づく。
AIを利用したセンサー、長距離兵器、水上空中水中ネットワーク化で優れる側は当然こうした機能を駆使する。ではどちらがセンサーやネットワーク技術にすぐれているのか。それを決めるのは宇宙空間、電子戦で優れ、通信機能の「防御性」を確立した側だろう。
どちらの陣営の通信が妨害を受けるだろうか。GPSより優れた手段を活用するのはどちら側か。低地球周回軌道で攻撃能力を展開し、ネットワーク力も優秀な装備をそろえるのはどちらか。有利な立場の側が相手陣営の軍事力に大きな損害を与えるべく戦闘開始直後に宇宙で行動を開始するはずだ。
2030年には、衛星から発射可能な兵器が実用化されているはずで、規模を拡大したレーザーを大気圏内外で運用し、衛星搭載のセンサー能力は飛躍的に伸び、衛星兵器が勝利を左右する要素になっているだろう。
Foreign Policy記事には机上演習では中国の通信体系を妨害あるいは攻撃する決定が、物理的な攻撃より優先されたとある。
同様にイージスレーダーはじめ米海軍の艦載多層防衛体制が、米空母他水上艦艇の撃破を狙う中国の巡航ミサイルの効果を左右する。
米海軍が高度な多層艦艇防衛体制の実現をめざし、レーザーなど新技術の導入で2030年までに目標を達成できていれば、中国による攻撃は阻止できるはずだ。中国にもこれはあてはまる。つまり、海上で最良の防衛体制を整備した陣営が主導権を握る。
こうしてみると単なる隻数は兵装の性能精度の前に意味が薄いとわかる。
戦闘の行方は航空部隊にかかる。米ステルス戦闘機・爆撃機が中国領空内に侵入し、地上装備を破壊すれば、艦艇の防御態勢が著しく有利になる。水中戦も勝敗を左右する要素となり、水中を支配する側が前方攻撃や偵察任務で有利となる。
少なくとも開戦直後は日米同盟の攻撃対象は列島線の奪回や東シナ海から中国のプレゼンスを排除するなど、限定されたものになる。これで百万の兵力を誇る中国相手に大規模かつ長期にわたる地上戦を回避でき有利だ。ただし、短期戦のはずが全面戦争に発展すれば、本格対決の地上戦は回避できなくなる。その結果は極めて予測不能だ。
強襲揚陸作戦への展開も十分予想される。両陣営にとってこれは大きな挑戦であり、課題になる。中国が強襲揚陸艦を大量建造している。ハイテクの075型強襲揚陸艦の二号艦が完成し、2030年になれば中国の揚陸部隊は拡張し危険な存在になる予測がある。■
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Could a Joint U.S.-Japan Force Beat China in a War?
March 19, 2021 Topic: War Games Blog Brand: The Reboot Tags: ChinaAmericaJapanPLAPLA NavyWar GamesWorld War III
This war game offers some clues.
by Kris Osborn
Kris Osborn is defense editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.
Image: U.S. Navy
尖閣のCCP/PLAの侵略の想定を見ていつも感じるのは、不法占領するのは簡単であるが、どのようにPLAはそれを維持するつもりなのだろうかということである。
返信削除日本の国土を侵略するのだから、日中戦争は不可避となる。部分的な紛争で終わる可能性もあるが、全面戦争になる可能性の方が高い。そうなれば米軍の介入は避けられないだろう。後は概ね記事のような展開になる。
CCP/PLAは、自己に都合よく限定的な紛争にしたいと考えるかもしれない。それならば日本は、尖閣をエサにして艦艇・航空機をおびき寄せ、損耗を強いるべきであろう。
また、日米中戦争では大規模な地上戦は行われないと考える。PLANとPLAAFを損耗させた後は、時間はかかるが、シーレーンを遮断し、戦略的ポイントを継続的に攻撃し、必要ならば三峡ダムを壊し、中国経済を破壊して、CCP支配を自壊させるべきだろう。
日本は、戦略を明確にして、それに必要な準備を行えばよい。これは強い抑止力となると考える。