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歴史に残る艦(3)ロサンジェルス級攻撃型原子力潜水艦は冷戦の兵士として大量建造され、今も現役の高コスパの大型潜水艦となった。

歴史に残る艦(3)

 

 

サンジェルス級攻撃型原子力潜水艦は冷戦期で最も成功した米潜水艦だ。62隻建造され、第二次大戦時のガトー級を除き最多となった。高速で重武装のロサンジェルス級はヴァージニア級攻撃型潜水艦に徐々に交代しつつある。

 

ロサンジェルス級は688級としても知られ、1970年代初期の設計だ。一号艦がロサンジェルス(SSN-688)で1976年起工された。冷戦時ということで年間3隻から5隻のペースで建造され、現在のヴァージニア級の年間2隻を上回った。建造は1992年まで続いた。建造期間が20年に及び、各種システムで変更が生まれた。推進系、艦首・曳航式のソナー、艦体素材で当時の最新技術を導入した。

 

 

全長360フィート、潜航時排水量6,927トンのロサンジェルス級は前のスタージョン級に比べ2割長く、排水量は5割増えた。速力も増したといわれる。スタージョン級が潜航時26ノットだったが、ロサンジェルス級は37ノットといわれる。

 

ロサンジェルス級の艦体にはHY-80鋼を使い、艦首はガラス補強のプラスチックがソナーアレイを覆った。公式には650フィートまで潜航可能とあるが、実用最大深度は950フィートとする資料がある。緊急時の最大深度は1,475フィートといわれる。

 

ロサンジェルス級潜水艦はスキップジャック級以来の涙滴型艦形で、セイルに潜舵につけた。後期の23隻では潜舵を艦首に移し、セイル構造を強化し北極海の氷を破る浮上が可能となったのは、ソ連のタイフーン級弾道ミサイル潜水艦が北極海運用を前提にしていたための対抗策だろう。

 

Combat Fleets of the Worldによればジェネラルエレクトリック製S6G加圧水型原子炉が搭載され、蒸気タービン二基を駆動する。原子炉は35千軸馬力を発生し、7枚羽プロペラー1基を回転する。最後期の建造艦ではポンプジェットに切り替えた。ディーゼル発電機とバッテリーを非常用推進に使う。

 

センサー装備はBQQ-5ソナーが中心で、建造時期によりBQQ-5A(V)1、BQQ-5C、BQQ-5Dに変更された。後者はシーウルフ級にも採用されている。艦側面はパッシブソナー探知が可能だ。曳航式ソナーも搭載し、なかでもTB-29細線曳航アレイが最新装備だ。艦尾から曳航ソナーを展開するほか、7セル方式の対抗装置MK 2音響装備を放出する。

 

攻撃手段は533ミリ魚雷発射管4門で、これは全艦共通だ。発射管は艦中央部に配置され、艦首はソナーアレイにあてている。各艦で26発の発射管運用兵装を搭載し、冷戦真っただ中にはMk.48ホーミング魚雷のほか、トマホーク巡航ミサイル、ハープーン対艦ミサイル、CAPTOR機雷を搭載した。最終建造分の23隻には垂直発射管12本が搭載され、トマホークミサイルを運用する。このコンセプトはヴァージニア級に引き継がれ、発射管は20本に増強されている。

 

これまでの水中、水上目標の攻撃に加え、ロサンジェルス級では特殊作戦での運用も想定された。一部艦にドライドックシェルター装備が追加され、潜水移動機を格納し、SEAL隊員20名までと戦闘用ゴム舟艇4基を搭載した。この任務はオハイオ級巡航ミサイル潜水艦とシーウルフ級のUSSジミー・カーターが引き継いでいる。

 

潜水艦に情報収集任務が長く期待されてきたが、1990年代以降の米潜水艦部隊は陸軍用語の「戦場情報準備」を使うようになり、地上戦支援で情報収集にあたった。水中に対抗する敵がいない場合は米潜水艦は敵国の沿岸にとどまり、電子データを集め、偵察行動を行った。ロサンジェルス級はこの任務で先頭に立ち、なかでもUSSアナポリスには写真撮影用マストが追加され、カメラ数台を収めた。

 

ロサンジェルス級62隻のうち、初期建造艦から退役が1995年に始まり、供用期間が17年と短期に終わった艦が出たのは、費用がかかる核燃料再充填を避けるためだったが、その時点でも同級の建造は終了していなかった。現在も38隻が現役で残る。シーウルフ級が北極海の深度潜航作戦に投入される意図で建造されたが、1990年代の「平和の配当」の中で費用超過のため3隻の建造で終わってしまった。そこで688級の真の後継艦はヴァージニア級になり、現在も建造が継続中だ。■

 

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by Kyle Mizokami

 

Kyle Mizokami is a defense and national security writer based in San Francisco who has appeared in the Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and the Daily Beast. In 2009 he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami


 

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