U.S. AIR FORCE
3月22日午前、米空軍のRC-135Uコンバット・セント電子情報収集機が台湾海峡上空に展開し、中国本土から25カイリ地点まで接近した。北京に本拠を置くSCS Probing Initiativeは中国本土にここまで接近した例は、公表されている記録中には見当たらないとしているが、実態はもっと複雑なようだ。
機体番号64-14849のRC-135UはトランスポンダーコードAE01D5を使い機体追跡ウェブサイトで確認され、米海軍P-8Aポセイドン哨戒機、EP-3Eエアリーズ情報収集機の後を飛行していたとSCS Probing Initiativeがツイッターで公表した。
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米空軍のRC-135Uは2機しかない。
RC-135Uは米空軍に2機しかなく、電子通信情報の収集用に特殊改造され、特に敵のレーダー防空ネットワーク中継点の情報収集に特化している。同機は相手の電子特徴を集め、いわゆる「電子戦編成」として敵の防空体制を現場指揮官が把握するのを助ける。電子情報には発信源を識別し、位置を特定することがある。
今回の飛行経路はバシー海峡を通過する点では通常のパターンで、台湾南端からルソン島北端を通過した。ただ、同機はその後、中国本土に向かい福建省、広東省間の境界空域に接近した。その後、方向転換し、嘉手納航空基地へ帰投した。
これは冷戦時の典型的な偵察活動パターンで、レーダー発信を誘い、機内分析官が「点灯した」様子から重要データを入手し、機体は現場を去る。南シナ海全体で米偵察飛行は日常的に実施されており、膨大なデータを解析にまわしている。
今回のRC-135Uの飛行で注目されるのは、中国へここまで接近したことだと、SCS Probing Initiative(北京大が主宰し、米軍航空活動を追尾監視している)は述べる。これまでのRC-135Uでの最接近は25.33カイリだったという。米軍偵察機は沿岸から20カイリまでの飛行を許されるが、実際には40マイルまでの接近とし、レーダーにで正確な位置を探知されるのを回避しつつ、国際紛争につながらないよう考慮するのが通例だ。
ROBERT S. HOPKINS III
主機体装備センサー(PPMS)がRC-135Uの情報収集の中心で、機首だけでなく...
ROBERT S. HOPKINS III
後部にも...
ROBERT S. HOPKINS III
...翼端にもつく
上記からデータ精度の不足あるいは欠如が考えられる。飛行追跡データが公開されているが、必ずしも正確ではない。つまり公開情報は絶対的なものではない。同期が実際に20カイリ地点の外に留まっていたのかは疑問の余地がある。より信頼性の高い情報源がないと当日の飛行経路を再現できない。
本誌お気に入りのオープンソース飛行データウェブサイトADS-B ExchangeによればSCS Probing Initiativeはマルチラテレーションmultilateration (MLAT)のデータから発表したようだという。この方法ではRC-135Uの位置を空域内で特定するのは困難だ。MLATとは「同じ場所内の受信機で信号受信の時差から計算することで、三角測量に似ている。ただし、非常に多くの要素に左右され、受信機が少ないと精度も落ちる」と同ウェブサイト管理者は説明してくれた。このことから追跡ウェブサイトで直線飛行しているはずの機体が突如別の地点に現れる現象が説明できる。
今回のRC-135Uのフライトは挑発行為に見えるが、公開ソースの飛行追尾データを見る限り、そう決めつけることができない。さらに公表情報はこれまでの米軍スパイ機の飛行パターンを反映しているようだ。さらに台湾海峡の問題がある。ここが米中間、また台湾と中国の間で緊張を生んでいる。
同地で中国の軍事力誇示が今年に入り増えており、戦闘機、哨戒機、偵察機多数が南シナ海北方の台湾防空識別圏に侵入している。台湾は同海峡上空にF-16Vなど戦闘機を都度発進させているが、中国の揚陸部隊の迎撃も想定されているのだろう。
米空軍RC-135Uが中国本土に接近する飛行コースをとったのは、防空体制を刺激する戦法だったとある程度確実に言えよう。とはいえ、どこまで沿岸へ接近したかは現時点の情報では正確に把握できない。今回を皮切りに新しい作戦パターンが続けば、新たな情報が今後入ってくるだろうが、そうでないと、当面は静観するしかない。■
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Did An RC-135 Spy Plane Really Make An Unprecedented Run At Chinese Airspace Near Taiwan?
Public flight tracking data showed the RC-135U spy plane very near Chinese airspace, but that info alone doesn't tell the whole story.
BY THOMAS NEWDICK MARCH 22, 2021
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