スキップしてメイン コンテンツに移動

エリア51から太平洋にかけ高高度の制限飛行経路が設定されていた。利用した極秘機材とは何か

  

A map showing the route outlined in an unusual airspace restriction notice in March 2021.

FOREFLIGHT

 

週末、連邦航空局の航空関係者向け通達つまりNOTAMのデータベースに興味深い告知が加わっていた。米軍の極秘テスト施設、エリア51として知られるグルーム湖、トノパ試射場空港からサンフランシスコ南西を経由し太平洋に至る経路上の高高度飛行に注意喚起していた。

 

このNOTAMに気づいたのはDreamlandresort.comの掲示板で発出は2021年3月12日の日付だが実際に公表されていたのは翌日の現地時間5:45PMから8:15PMのみだった。通常は時間帯を最小に限定する軍の訓練やテスト活動としては不自然だ。通達では幅20カイリ、全長426カイリでフライトレベル450、600つまり45千フィートと60千フィートの設定で、ウェイポイント数カ所を設定し、ウェブサイトForeFlightは下のように図示した。

 

FOREFLIGHT

今回のNOTAMで設定した経路の全体像。

 

 

太平洋からはサンフランシスコへ104カイリ伸びて、次にモンテレイ西から54マイル先でカリフォーニアでも人口密度が低い地点で内陸上空に達し、ネヴァダ西部に入っている。

 

この飛行経路はネヴァダ上空の制限軍事空域R-4807Aの端で終わっている。R-4807Aは米空軍の広大なネヴァダ試験訓練施設の一部で、その北部にはR-4809としてトノパ試射場と空港がある。また南部にはR-4808Nが設定され、中にR-4808Aが「The Box」の設定がある。ここが極度に制限されているエリア51付近の空域だ。

 

実際の公示は以下の通りだった:

!CARF 03/165 ZOA AIRSPACE STNR ALT RESERVATION DEFINED AS 10NM

EITHER SIDE OF A LINE FM BEBOP TO PIRAT TO CYPRS TO CANDA TO RUSME

TO LIDAT TO TPH168031. FL450-FL600

2103140145-2103140415

 

今回の飛行制限は静止ALTRVとよばれ、ALTRVとは高度事前承認要求の略だ。今回はNTTR(ネヴァダ試験訓練施設)を太平洋と接続させ、高高度を飛行する対象用に設定したようだ。ALTRV対象経路を飛行中の航空機は交信が不要で、トランスポンダーを作動させる必要がない。

 

FOREFLIGHT

今回の飛行経路の東端を拡大した。ネヴァダテスト訓練施設(NTTR)の各種飛行制限空域がわかる。ここでKTNXはトノパ試射場空港のコードで、KXTAはエリア51専用のホーミー空港のコード

USAF

NTTR全体の地図で、エリア51付近の飛行制限空域もわかる。「The Box」と呼ばれるのは4808A。

 

 

今回の飛行ルートで興味を感じる理由がある。ここ数年のNOTAMからThe War Zone が推論した内容に非常に似て、NTTRとカリフォーニア北部沖間をいつも通過している。

 

もう一つ興味深いのはモンテレイ付近を通過する極秘の機体についてThe War Zone に語る航空機追跡愛好家があらわれたことだ。こうした機体が高高度の飛行回廊を通過し、太平洋東に設定のある米軍試射場に安全に移動できるよう手配されているのか。また極秘機材を米本土の外へ可能な限り効率よく迅速に東太平洋上空へ移動させ、回収したのか。

 

問題の飛行回廊を利用した機体が有人機とは限らない。こうした経路を無人極秘機が海上移動に利用する場合がある。では機材は何か。RQ-170の可能性がある。試験機はパームデイルから飛行しているが、その際はチェイス機が一緒に飛び、交信しながら通常の空域を一貫して利用している。

 

また、RQ-170が太平洋演習区域で何回も飛行していることがわかっている。さらに秘密に覆われた大型の「RQ-180」の可能性もあるが、カリフォーニア沖合の高高度を飛行する機体が実在するのは公然の秘密だ。今回は単独飛行で、給油機も付近におらず、また時間帯も夜間だった。

 

NTTR周辺の無線交信を熱心にモニターする航空機スポッターはエリア51、TTRで今回の飛行経路に関連する動きはなかったと言っている。これまでも同様の投稿があっても、スポッターから不自然な交信や動きの報告はなかった。

 

いいかえれば、今回の機体は全く存在を知らせない点で完璧だったことになる。■

 

この記事は以下を再構成し人力翻訳でお送りしています。市況価格より2-3割安い翻訳をご入用の方はaviationbusiness2021@gmail.comへご連絡ください

 

Mysterious High-Altitude Flight Corridor Was Opened Up Between Area 51 And The Pacific

The restricted strip of airspace bridged the Nevada Test and Training Range with the Pacific Ocean during a few-hour window last Saturday evening.

BY TYLER ROGOWAY AND JOSEPH TREVITHICK MARCH 15, 2021

 


コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...