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空母打撃群、爆撃機の中東展開がイランへの軍事圧力になるとイランはどんな対応をするだろうか

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Carrier And Bombers Ordered To Middle East Without Any Details On Supposed Iranian Threat 具体的なイラン脅威が不明のまま

空母、爆撃機の中東派遣へ

The announcement came from National Security Advisor John Bolton in an official statement that lacked any specifics on what caused prompted it. ジョン・ボルトン国家安全保障担当補佐官の発表には背景理由が欠如したままだ

BY TYLER ROGOWAYMAY 6, 2019

ンカン空母打撃群(下コメント参照)および戦略爆撃機がペルシア湾地域に展開することで相反するメッセージが出ている。ペンタゴンでも大統領でもなくホワイトハウス報道官でもなく国家安全保障担当補佐官ジョン・ボルトンが最初に伝えた。ボルトンの公式声明文は以下のとおりだ。
「事態悪化の兆しが増えている状態に対応し米国はUSSエイブラハム・リンカン空母打撃群および爆撃機部隊を米中央軍に派遣し、明白かつ誤解の余地のないメッセージをイラン政権に送り、米国の権益あるいは同盟国の権益を侵害する事があれば容赦ない軍事力で応酬すると伝える。米国はイラン政権側と開戦を望むわけではないが代理勢力、イスラム革命防衛隊あるいはイラン正規軍から攻撃を受ければ全力で対応する準備が整っている」
マイク・ポンペイオ国務長官も今回の配備は「以前から準備立案されてきたもの」であり新しい情報が入ったためでも状況で何らかの変化があったわけでもないが「イラン側に状況を悪化させる対応が出ている」としながら実際の内容には触れなかった。
ここで疑問が出る。予め予定されていた配備を利用しイランにメッセージを伝える意図なのか。ボルトン声明にはイスラエルが受けたロケット攻撃の言及はなく、米軍展開が突然行われる背景を説明していない。イランの支援を受けるハマスがロケット弾数百発をイスラエルに数日前に発射し、イスラエルもハマスが拠点を構えるガザに大規模報復攻撃を加え、イランの連絡要員も殺害され、イスラエル軍が意図的に殺害を図ったのは久しぶりのことだ。
USSエイブラハム・リンカンおよび護衛艦艇は最近まで東地中海を遊弋しており今回はスエズ運河を通過し米中央軍の管轄地区に入る。地域内で要注意地点が2つある。マンデブ海峡とホルムズ海峡でともにイランとその代理勢力がいつでも封鎖できる。一旦封鎖されればグローバル規模で市況だけにとどまらない大きな影響が出る。マンデブ海峡は低度ながらミサイルが飛び交う海域になっており、イランにホルムズ海峡封鎖の能力が有ることを米国も承知しており、こちらも封鎖されれば米軍自体の補給活動が深刻な影響を受ける。
またキアサージ揚陸即応集団(ARG)がペルシア湾にいたことが判明しており、USAFのF-35AもUAE国内のアル-ダフラ航空基地に展開している。
USN
USSエイブラハム・リンカン艦上の航空機運用。地中海にて。

爆撃機を中東に再派遣する命令に興味を感じる。B-52とB-1B部隊は久しぶりに中東への常時派遣体制を解かれたばかりで、B-1Bはカタールのアル-ユデイド基地から3月に撤収し、機体整備の時間や改修作業が可能となり乗員もミッション訓練に当たると見られていた。
B-1B部隊は酷使されており、中東からの撤収が完了ししばらくは休養するはずでトラブルが報じられた射出装置もその理由だった。その機体が先週に入り飛行再開した。アラビア半島への再派遣の機種は不明だ。
今回の移動とメッセージ発信はイラン原油輸入禁止の特例扱いを受けてきた8カ国にトランプ政権が突如として措置停止を発表した直後である。ホワイトハウスはイラン制裁再実施にともない特例扱いを認めてきた。該当する原油輸入8カ国と切り離しイランに圧力をかければイランが悪行に走るリスクも増える。このことを念頭に今回進行中の出来事はすべてイランの脅威を想定して予め立案されていたのだろう。
最大の圧力をかける意図はジョン・ボルトン補佐官の考えで、イランに関し同補佐官は長年タカ派で知られ、イランのミサイル開発、核開発、さらに国外への戦闘員派遣をめぐり政権変更が必要と主張してきた。
米国や同盟国との長期戦となればイランに勝ち目はないが、代償も非常に高くつく。イランには弾道ミサイルを雨のように域内に降らす能力があり、米軍の集積拠点も狙うだろう。ペルシア湾は一挙に対艦ミサイルの飛び交う交戦地帯になり、大規模破壊とともに環境面でも大惨事が生まれよう。
ホルムズ海峡が機雷封鎖されれば掃海活動は戦闘が終わらないと実施できないだろう。これにより原油の大量輸送が停止され世界経済は恐慌に陥り特に貧困国が大打撃を受けるだろう。
AP
国家安全保障担当補佐官ジョン・ボルトン

イランも代理勢力も動員し米権益や同盟国の権益を全面的に攻撃してくるだろう。ヒズボラもレバノンでロケット弾数万発を発射しており、その他高性能兵器も保有しイスラエル北部に第二戦線を開くだろう。ヒズボラの戦力を考えるとこの戦線だけでも深刻な事態になるはずで、ヒズボラにシリアでの戦闘経験が豊かなことを留意する必要がある。
これですぐに政権交代にはならないがイラン国民も開戦に興奮しこそすれ指導部は国民の不安を払拭に腐心するはずだ。米国民にも中東でまた戦火を開くことに積極的になる理由はなく、まして長期間にわたり占領者になるつもりもない。だが事態が劇的にエスカレートすれば限定的な対立で始まっても次第に選択肢が狭まっていくはずだ。
イランと戦争になればイラク侵攻など可愛く見えるはずだ。局地的ながら政権変更を目指す作戦は信じられない代償を人命と予算で求めてくるるだろう。ジョン・ボルトンのタカ派外交政策によりイラク戦の破滅的結果に我々は導かれたのだが今回も本人はイランで同様に動こうとしている。各方面から警報が鳴り響いている。無視してよしくない。
米国権益を脅かすイラン行動で現実の情報がったのであれば、軍事装備を大量動員して恐れが現実になるのを防ぐのは理にかなう。だがもし現政権がボルトンが永年に渡り熱望しているようにイランをぶちのめすつもりなら、実施には代償がついてまわり一度始めれば止まらなくなるのではないか。■
Contact the author: Tyler@thedrive.com

日本はイランというか中東情勢に鈍感ですね。しかし事態はどんどん進展しています。日本にとっての安全保障ラインでもあり決してのんびり見物というわけにいきません。空母打撃群一個でも相当の戦力がありますが、これ以上の軍事力投入は当面不可能ではないでしょうか。今後も動向に注意すべきです。

なお、カナカナ表記に読者から疑問が出ていますが、当方は原語発音となるべく似た表記に変えるべきとの主張なので、このブログでは自由にさせてください。その場合慣用表記とは自由にさせてもらっています。これで英語を話す際にもいちいち思いっきり発音を変える必要が減るかなと思いますか、いかがでしょうか。

  アビオニクス → エイビオニクス
カリフォルニア → カリフォーニア
エネルギー → エナジー
リンカーン → リンカン

話はかわりますが、日本には駆逐艦はない、護衛艦だとの読者の声が以前ありましたが、ちゃんとDestroyerと日本も表記しているのであり、護衛艦などということばは国内向けに作られた「便宜用語」に過ぎないのです。こうしたごまかし、日本戦後の閉ざされた言語空間に穴をあけたいとのささやかな希望を持っていますのでこういう「わがまま」を許していただきたいと思います。さらに言えば自衛隊員が公務員扱いという制度上の落とし穴(戦闘で捕虜になったらどうなるのか)も「護衛艦」につながる時間稼ぎ、ごまかしで肝心の問題を先送りしてきたつけを払わされるのでしょうね。しかし最大の先送りは憲法改正ですね。

コメント

  1. ぼたんのちから2019年5月9日 11:24

    ボルトンは、イラク戦争の二の舞を起こすほどおバカさんではないだろう。それに幸いなことに戦争を望むメンバーは政権内に多くない。
    また、イランもイスラム独裁政権の存続を賭けてまでの戦争を望んではいないだろう。
    今回の緊張状態の背景は、記事のイスラエルとハマスとの戦闘以外に、イランがミサイルを船舶に積み込んだ程度の情報しかなく、詳細は不明である。米国が空母部隊の派遣や爆撃機の再配備を判断する根拠も明らかでない。
    イランは、「北京ブロック」の一員であるが、中国は、石油の主要供給ルートであるペルシャ湾での戦争を望まないだろう。ロシアは、原油価格が上昇するペルシャ湾での緊張を望むかもしれないが、イランの後ろ盾になる気は無い。
    これらを考慮すると限定的、小規模であっても戦争になる可能性はかなり低いと常識的に推測することが妥当に思える。
    しかし、突発的戦争は、いつも想定外のところから発生する。イランは、中東での覇権を狙い数多くのイスラム過激組織・グループを影響下に置くが、それらの組織・グループは、イラン政権より革命防衛隊の影響力が強く、米国にテロ組織と指定された革命防衛隊は、米国に打撃を与えたいと望んでいるだろう。
    また、中国は、米国の中露に対抗する戦略に転換した軍事的圧力と劣勢にある経済戦争の圧力を緩和するため、米国の対イラン戦争と再度の対テロ戦争を望むかもしれない。
    そのように考えると、単なる軍事的緊張と見做すわけにいかないだろう。

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