スキップしてメイン コンテンツに移動

YF-23へのカルト人気とは別に米空軍は同機開発事例から次期機材開発の教訓を得るべき


The Stealth Fighter the Air Force Said 'No' To: Why the YF-23 Still Matters

米空軍が不採用としたステルス戦闘機YF-23が今も注目をあびる理由
The development and flight-testing of the YF-23 offer important lessons for the Air Force as it begins studying a replacement for the F-22.
YF-23の開発、フライトテストは空軍は重要な教訓となる ときあたかもF-22後継機の検討が始まっている
L
May 24, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: YF-23MilitaryTechnologyWorldF-22StealthAir Force

1991年に米空軍の高性能戦術戦闘機採用でロッキード・マーティンYF-22に敗れた試作ステルス戦闘機がここに来てカルト的な人気を集めている。.
ノースロップ・グラマンYF-23を取り巻く謎めいた雰囲気には不健全な趣もある。米国人に技術信奉の傾向がありこの反映といえる。
F-22ではなくF-23を採用していても米国史の流れが変わっていたとは思えない。ロシアの台頭や中国の大国化は止められずイスラム過激主義の広がりを止めれたわけではない。
だがYF-23の開発の実態やフライトテストから重要な教訓が米空軍に得られるのはF-22後継機の検討が始まるためだ。空軍は2016年に「航空優勢2030構想」の検討内容を発表し、「侵攻制空」装備をおよそ180機あるF-22に代わり2030年代初頭から整備すべきと主張した
2017年には侵攻制空航空装備の代替策検討がさらに進み、各種装備の同時投入で航空優勢を確保する「反集合型」アプローチへ関心が高まった。
これは72年も堅持されてきたアプローチとの決別を意味する。空軍は航空優勢の実現を戦闘機で実現してきたのだ。
新型侵攻制空航空装備に戦闘機が採用される可能性は高いとはいえ今までにまして戦闘機と無人機が空、宇宙、地上の各ネットワークやセンサー、他の兵器体系と一体で運用されることになりそうだ。
だがYF-23が一つの証明なら新型航空優勢装備を白紙開発すれば15年では足りない可能性もある。空軍はF-15後継機の要求性能諸元の検討を1971年に始めていたが、その時点でF-15自体が開発段階にあった。これはノースロップ元主任テストパイロットでYF-23を飛ばしたポール・メッツのことばだ。
検討は10年余りも続き空軍はその後に業界に接触してきた。1981年に9社が新型戦闘機の原案を求められ7社が応じた。1986年にロッキード、ノースロップ両社がそれぞれ試作型2機の制作を許された。1991年が締め切りだった。
空軍の要求内容はあいまいかつ野心的だった。新型戦闘機に求められたのは高速で長距離飛行、操縦性高く、そしてステルスのみだった。「今までにない機体を求められたんだ」とメッツは語る。
空軍の名誉のため記せば「高速で長距離飛行、操縦性高く、ステルス」とそのまま求めたわけではない。メッツは「空軍は優れたリーダーとなった」といい、「われわれに実行させ実験させてくれた」のだという。
同様に空軍はYF-22とYF-23の試作機を直接対決させるのではなく両社それぞれにフライトテストを別個に行わせた。「飛行性能を同じ場所で比較したわけではない」とメッツはいう。
これが功を奏した。YF-22とYF-23はまったくちがく種類の航空機で各設計では高速長距離ステルス性能のため犠牲にした要素があった。YF-23は速力で優れていた。YF-22は敏捷さで一歩先にあり、YF-23はエイビオニクス技術の限界を引上得た。YF-22は生産が容易だった。「両機は単純比較できなかった」とメッツも言う。
YF-22とYF-23の教訓を空軍は次期戦闘機構想に活かすべきだ。計画の実施段階に先だって問題を根本的に検討し、大まかな形でまとめて業界に渡し実現を求める。そして解決手段の違いに気を取られるのではなくそれぞれのメリットに着目すべきだ。
また空軍は過ちを回避すべきだ。YF-22、YF-23の時点でロッキード、ノースロップ両社は敵のスパイ衛星に探知されないよう試作機を隠し機体公開は避けるよう指示していた。
当惑したノースロップ技術陣の「解決策」はYF-23に防水シートをかぶせることだったがカリフォーニアのエドワーズ空軍基地で強風が吹くとシートが吹き飛ばされた。
「こんなばかげた処置はやはり長く続かなかったがね」とメッツは述べている。■

David Axe serves as Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels  War Fix, War Is Boring and Machete Squad.

コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ