コメントは下にあります。
Not So Scary: This Is Why China's Military Is a Paper Tiger 恐れるにたらず、中国軍事力は張子の虎だ
China is a large but fragile power ruled by a vulnerable party that can’t afford any economic or foreign policy disasters, let alone war with America. 中国は広大だが実態は無敵とはいえない政党の支配下にある脆弱な国家だ。経済や外交で袋小路になる余裕はない。ましては米国との戦争の余裕はない。
by Paul Dibb
October 15, 2015 Topic: Security Region: Asia Blog Brand: The Buzz Tags: ChinaPLAChinese MilitaryU.S.-China WarDefense
中国の軍事脅威の高まりと米国の軍事力不足を強調する傾向が高まっている。この論調には1980年代中頃の旧ソ連が米国を軍事面で凌駕下との主張を思い起こさせるものがある。現在の中国がUSSRのように崩壊への最終段階にあるというつもりはないが、人民解放軍(PLA)には脆さがあり軍事組織としての職業意識は限りなく薄く、近代戦の経験が欠如し自慢する軍事装備も実戦の洗礼を受けていないのは事実だ
中国では経済成長の鈍化と社会経済構造の悪化が明らかで大国とはいえ脆弱な構造であり、統治する党も無敵ではなく経済あるいは外交面で難局が発生すればたちまち危機的状況に陥るのは間違いない。まして米国と戦争を試みる余裕はない。中国経済は国際交易とグローバルサプライチェーンがなければ成り立たない。中国にとって開戦の選択は経済社会面の破滅となろう。
さらに中国に役に立つ有力な盟友国は皆無に近く、戦略的に孤立しており、状況はむしろ悪化しつつある。
また近代戦の経験が欠如している。最後の交戦は1979年にヴィエトナムに「教訓」を教えてやろうとしたものの失敗した事例だ。インド、USSRとそれぞれ1960年代に国境をめぐり緊張し、1950年代には朝鮮戦争に派兵したのが近代戦としてかろうじて数えられる程度だ。
PLA戦力は共産党の権力に依存しており、党に忠誠を誓っても国家防衛は誓わない。PLA将校は陳腐な共産主義教義学習に相当の時間を費やし、軍事教練は二の次とする。そこに軍上層部の汚職が加わり昇進のため幹部の好意を買おうとする。
ここ数十年でPLAが驚くべき技術進歩を遂げたのは事実である。だが習近平主席が中国を海洋大国にすると述べているが、地理条件は逆に働いている。大陸国家の強国が海軍力でも強国になった実例はあっただろうか。USSR、フランス、ドイツいずれもあてはまらない。
オーストラリアでは中国の接近阻止領域拒否能力について議論をくりかえしている。中国への接近路が危険になっているのは事実だろう。とくに本国近辺で中国が動員可能な軍事力を見ればこれは正しい。だが米国はがこのままなにもせずに正視しているだろうか。また極超音速機、レイルガン、ステルス、無人機、サイバーアタックといった技術分野でなにも進展がないままでありえるだろうか。
重要な軍事技術で中国はいまだに米国から20年あまり遅れている。中国の対戦技術は限定的であり、保有する潜水艦多数は騒音がひどい。中国には推進系の静粛技術が不足しており、米ロ両国の原子力潜水艦とは隔たりがある。最新の「晋」級弾道ミサイル潜水艦は1970年代のソ連デルタIII級SSBN並みに騒々しい。今後登場する95型原子力潜水艦でさえソ連の1980年代後半のアキュラ型よりうるさいと米側が把握している。
中国の防衛体制では技術面で強力な敵に有効対応できない。さらに中国はロシア製装備のリバースエンジニアリングに大きく依存し、高性能ジェットエンジンではロシア頼みが明らかでここ30年かけても国産化に成功していない。
弾道ミサイル技術では確かに進展があるもののDF-21は未だかつて一度も移動水上目標に命中させていない。また目標捕捉には衛星や水平線超え長距離レーダーに依存したままだ。こうした装備はソフト目標と呼ばれ米軍の先制攻撃の前に脆弱だ。
ペンタゴンによれば中国に正確な標的情報を収集する能力、発射部隊に伝え遠隔地の海上を移動中の目標を破壊する能力があるのか不明だ。
ICBMではDF-5Bが複数独立標的設定再突入体(MIRVs)を搭載するがこれも革新的な技術と言い難い。1974年時点で国家情報解析部門の長として筆者はCIAから説明を受けソ連のSS-18ICBMが搭載するMIRVについて知った。40年前であれば画期的な技術だった。
中国の軍関係者や学識者で核戦闘能力を自慢する向きがある。二次攻撃能力は確保しているとはいえ全面核戦争となれば大国としては一番脆弱だ。人口密度とともに東側沿岸への集中が理由だ。人口14億といっても大規模核攻撃では生存はできない。このため米国にとって大規模核攻撃能力の維持の根拠となる。
あわせて中国に登場する軍事装備については米軍装備並びに歴史的な背景と分別ある形で比較する必要がある。米国がイノベーションで世界最先端を行く国であり、中国の軍事力整備を黙って見ているわけでないこと、あわせて中国の軍事装備の多くが深刻な能力不足であることを忘れてはならない。■
This piece first appeared in ASPI’s The Strategist here.
Image: Creative Commons.
米国にはいつも敵国が必要なのですね。特に国防分野ではどうしても「仮想敵国」の軍事力を実際以上に大きくし、警戒心から予算を確保してきた歴史があります。ただし、今回は初めて米国自身が国防予算の増額ができなくなりつつある事態となっており、その中で世界常識に反する国防予算増を毎年続ける中国(その経済の実態そのものが大いに疑わしいのですが)の不気味さが一層拡大している背景があります。本当に中国の軍事装備は張子の虎なんでしょうか。こればかりはやってみないとわかりません。
中国の潜在能力は高いです。間違いなく。しかし、中国の歴史を見れば明らかなように、身贔屓や汚職による国民の不満が爆発して内輪もめでダメになる可能性もまた高い国です。
返信削除この記事は軍事面のみに焦点を当てておりますが、今の米国の関税政策などの経済戦争で中国国内の不満を煽り、内戦に移行させる策が最も効果があると思います。
ただし、そうなった場合、中国依存度が高いドイツやEU諸国など、他国の経済危機をも引き起こしそうで、匙加減が難しそうです。米中は軍事衝突はせずに、この先も、中国が出すぎたマネをすれば、米国が経済で締め上げる構図が続くように思えます。
Paul Dibb氏の意見は、全くその通りだ。ただし、常識的に考えればの話だ。
返信削除中国の政治、経済は脆弱であるように見える。PLAは、中国共産党(CCP)の軍隊であり、第一の目的は治安維持だ。その通常兵器は、二流、三流であり米国に太刀打ちできる代物でない。つまり、今のところ通常の対外戦争を行える状態にないことは明らかかも知れない。
しかし、そのようなことはCCP/PLAも理解しているし、だからと言って戦争をしないと考えない方が良い。CCPの頭目の習が、「軍事強国」、「戦える軍隊」であるとか、「台湾を軍事解放することも有り得る」と叫ぶのは、国内向けだけの宣伝でない。
CCP/PLAは、通常兵器のみを用いた戦争を戦う気は無く、新たな様相の戦争の準備を行っている。先端兵器の開発分野ではAI等、米国を凌駕する可能性のあるものが出てきている。中国はこのような先端兵器に資金・人材をつぎ込み、近い将来、軍事的優位性を得たいと考えているだろう。
また、CCP、及びPLAを国際常識で理解してはいけない。記事では、核戦争になれば「大国としては一番脆弱だ。人口密度とともに東側沿岸への集中が理由だ」と述べているが、CCPはそのように考えていないかもしれない。
過去、「核戦争がなんだと言うのだ。(中略)中国人は6億人だから、半分死んでも3億は残る」と言い放った毛沢東の、自称後継者が習であることに注意を払うべきだ。現在なら、半分死んでも7億人も残る。習は、覇権を得られるなら、戦争を躊躇しないかもしれないのだ。