スキップしてメイン コンテンツに移動

韓国F-X3はF-15SE採用が濃厚に

   

South Korea Looks Ready To Order 60 Boeing F-15SEs

By Bradley Perrett perrett@aviationweek.com
aviationweek.com August 19, 2013
Credit: Boeing
韓国のF-Xフェイズ3選定でボーイングF-15SEサイレントイーグル60機を発注する見込みが濃厚で、実現すれば同機生産ラインが延命するとともにこれ以降の競合に弾みをつけそうだ。
  1. 韓国国防調達計画庁Defense Acquisition Program Agency によればEADS提案を却下したもよう。同社は提示価格を下げるべく、以前の合意内容を一方的に変更してきたのが理由だという。現地報道によれば同社はユーロファイター・タイフーン単座型を当初の45機を54機に複座型15機を6機にして提示したという。
  2. また現地報道によれば三番手のロッキード・マーティンF-35ライトニングも除外されたとし、提示価格が8.3兆ウォン(75億ドル)という予算を上回ったためだという。ただしロッキードはこの報道に反論している。「韓国政府から結果通知は未着であり、F-X選定は複数の段階をへて決定されるものであり、当社は米国政府と連携してF-35の採用を期待する」
  3. F-15SEはF-15の発展型でレーダー断面積の縮小が特徴だが、生産を実現するためには韓国の発注が必要だ。F-Xフェーズ3で受注できないと84 機受注したサウジアラビア向けF-15SAの最終号機が2019年で引渡しとなり生産ラインは閉鎖になる。これに対しF-Xフェーズ3で受注に成功すればラインは2021年まで延長となり、初飛行から実に49年間のライン稼動になる。
  4. ボーイング案には有利な点がある。同機は韓国で採用済みで、競合他社よりも安価であることが長所となり、これは国会による制約を受ける調達庁が予算額を超過する選択肢を検討する余地がない現状を鑑みると大きな強みだ。先回の選定では提案すべてを却下したのは各案が予算想定を超過していたため。そこで再提案を集めたわけだが、ロッキード・マーティンはF-35のそもそもの高価格があり、米国政府による海外軍事装備品販売制度を使わざるを得なかった。
  5. F-15でもうひとつ有利なのは同機の主要部材がすでに韓国航空宇宙工業 Korea Aerospace Industriesにより生産中であることがあげられる。したがって調達庁がめざす現地生産比率を引き上げても、競合案よりも価格引き上げ率が高くならないことになる。
  6. 現在供用中のF-15Kはシンガポール向けF-15SGと同じく2012年までに完了している。サウジアラビア向けF-15SAの引渡し開始は2015年以降の予定で、ボーイングはF-15S70 機をF-15SA仕様に改装する。韓国が導入したF-15K61機はF-Xフェイズ1および2の一環で、うち1機を墜落喪失している。
  7. F-15SEは傾斜つき尾翼が特徴で機体内部に爆弾あるいは空対空ミサイル4発を搭載する。これは一体型燃料タンクをオプションで機体側部に取り付けることにより実現した。BAE製の新型電子戦闘システムを採用したことで燃料搭載スペースが増え、機体表面にはレーダー波吸収材料が施される。F-15Kが以前のF-Xで採用された時点で機械式スキャンレーダーが搭載されていたが、その後レイセオンAPG-63(v3)アクティブ電子スキャン方式アンテナを採用したレーダーを搭載している。その搭載一号となったシンガポール向けに続き、韓国も同レーダーが利用可能になることになる
  8. ボーイング受注の可能性濃厚な理由として同社と韓国国内航空産業メーカー各社との産業協力の実態が大きく作用しているとの見方がある。受注成功すれば同社にとっては大きな成功となり、F-15の生き残り可能性も広がるとし、同機の航続距離、ペイロード搭載量はF-35を大きく上回るもの、とアナリストHoward Rubel は見ている。■



コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...

F-15ジャパン・スーパーインターセプター(JSI)プログラムの支援契約をボーイングが獲得(The Aviationist)―68機が米国で改修され、大幅な性能向上が実現する見込み。

AIM-120AMRAAM8機とAGM-158JASSM1機を搭載したF-15ジャパン・スーパーインターセプター。 (画像出典:ボーイング) 総 額4億5,100万ドルの契約は、ジャパン・スーパー・インターセプター・プログラムの一環として、航空自衛隊F-15J68機の改修を支援するもので、現在、米空軍のF-15EXイーグルIIで実戦配備されている機能の一部を導入する。  米国防総省(DoD)は2024年12月10日、空軍ライフサイクル・マネジメント・センターが ボーイング に対し、F-15ジャパン・スーパー・インターセプター・プログラムを支援するため、2024年11月22日の同様の契約(1億2920万ドル)に続き、4億5050万ドル相当の契約を発注したと発表した。この契約にはFMS(対外軍事販売)も含まれ、スーパーインターセプターに装備される新型レーダー、自己防御システム、ミッションコンピューターユニットの取得が含まれる。 F-15ジャパン・スーパーインターセプター計画 アップグレード ジャパン・スーパー・インターセプター(JSI)プログラムは、ボーイングが日本の老朽化した単座F-15J戦闘機68機を近代化するものである。 World Air Forces 2024によると、航空自衛隊は現在、155機の単座F-15Jと44機の複座F-15DJを保有しており、その一部はJ-MSIP(Japan-Multi-Stage Improvement Program)によって改修された。  JSIプログラムは、ボーイングのセントルイス工場(ミズーリ州)とエグリン空軍基地(フロリダ州)で取り組み、2030年2月までに完了する予定である。航空自衛隊のために163機のF-15Jと36機の2人乗りF-15DJをライセンス生産した日本の 三菱重工業 (MHI)は、アップグレードパッケージが終了した後、アップグレード作業を現地で実施する。 2024年5月15日、那覇基地でのサザンビーチ演習で離陸準備をする航空自衛隊第304飛行隊所属のF-15Jイーグル。 (イメージクレジット:USAF/Melany Bermudez) F-15ジャパン・スーパーインターセプター計画 日本の老朽化したF-15イーグル迎撃戦闘機の近代化プログラムでは、既存のF-15J/DJ戦闘機のうち68機がアドバンスド・イ...