スキップしてメイン コンテンツに移動

ウクライナ攻勢が停滞する中、ロシアに勝ち目はあるのか。6つのシナリオ。

 

対ロシア戦争におけるウクライナ攻勢は、期待に反し停滞している。このため、ウクライナ援助に長年反対してきた人たちを中心に、欧米援助に関する議論が再燃してきた




 その主張は、反攻の遅いのはウクライナが勝てないことの証明というものだ。ロシアの勝利は避けられない。したがって、西側諸国は援助を減らし、ウクライナを説得して戦争を終わらせるべきだというわけだ。


戦争は一日にしてならず

この議論の多くは疑わしい。なぜなら、ロシアが勝つと予測している同じ人々(左派の「反帝国主義者」やドナルド・トランプ前大統領含む右派の親ロシア派)は、ロシアが勝つことも望んでいるからだ。彼らは方法論的に「ズル」をしている。彼らの規範的願望が経験的予測に伝染し、ウクライナが崩壊しそうだとか、ロシアの残虐行為はNATOのフェイクだとか、突拍子もない論評につながっている。

 また、攻勢が徐々に強まる可能性も高い。判断を下すのは時期尚早だ。ウクライナは現在、戦場を「形成」中だ。ウクライナはロシアの急速な増援を防ぐため、指揮、兵站、通信を叩いているのだ。支援反対派がウクライナに要求しているのは、一気呵成の電撃戦で勝つか、さもなくば支援打ち切りの憂き目に遭うかだ。戦争は一日で勝てるものではなく、劇的な勝利を要求するのは、戦略分析というより、失敗した後にウクライナを切り捨てるためのお膳立てに近い。


ロシアの「勝利論」は信用できるのか?

 それでも、遅々として進まないウクライナ攻勢に関する親ロシア派の解釈は、ロシアがこの期に及んでまだ勝利へ有効な道筋を持っているのか、という興味深い疑問を提起している。

 勝利とは、戦場での決定的な勝利を意味し、それによってロシアはほぼロシアの条件での交渉を余儀なくさせ、撤退することができる。凍結された紛争や「永遠の戦争」はロシアの勝利と考えるべきではない。それはプーチンの目標ではない。例えば、アメリカはアフガニスタンやベトナムで勝利したわけではないし、ソビエトも1980年代にアフガニスタンで勝利したわけではない。それどころか、アメリカとソ連は戦い続けることで敗北を回避しただけだ。対照的に、勝利とは、戦闘を終結させ、撤退と再建を可能にする戦略的勝利(すなわち出口戦略)を意味する。

 筆者は、ロシアがウクライナで勝利する可能性を6つ考えている。残念ながら、そのほとんどは、ロシアあるいは外部の関係者による、確立された行動を大きく変える必要があるため、可能性は低い。


シナリオ1:核による強制

ロシア支援派は、このシナリオに大きな期待を寄せている。第一に、核によるハッタリで西側諸国を脅しウクライナを援助させないようにすること、第二に、戦術核兵器を使い大規模な戦闘に勝利することだ。

 もしロシアが核兵器を持っていなかったら、NATOはもっと大きく関与していただろう。NATO諸国には、参戦する国さえあったかもしれない。しかし、ロシアの核兵器は援助を止めなかったし、援助の質的向上も止めなかった。NATOは、ミサイル防衛、ミサイル、戦車、戦闘機などを提供し、ゆっくりと、しかし着実に、ロシアによる殺傷援助のレッドラインを突破してきた。数カ月ごとに第三次世界大戦の脅威を与えることで、ロシアの核サバゲーの脅威は薄れている。この効果は今後も衰えることはないだろう。

 実際に核兵器を使用するとすれば、大部分が戦場である可能性が高いが、明らかな理由のため問題が多い。「翌日」に何が起こるかは誰にもわからない。NATOが参戦する可能性もある。中国とインドはロシアを見捨てるだろうし、ワグネルの反乱で明らかになっているロシア国内の分裂は劇的に深まるだろう。また、どの目標がそれだけの戦力に見合うのか、そして、放射線を浴びた戦場で、ロジスティクスに欠けるロシア軍が活動できるのかも明らかではない。もしプーチンが決定的な勝利を得るために核兵器を使うつもりなら、おそらく今頃そうしていたはずだ。


シナリオ2:プーチンは優秀な将軍を見つけるまで更迭を続ける

ロシア将兵のパフォーマンスが低いことは、今や明らかだ。侵攻はうまく計画されていなかった。軍備統合も不十分だった。ロシアの兵站は腐敗している。ウクライナに対するロシアの当初の物的優位は巨大だった。誰もがロシアがすぐに勝利すると期待していた。だが、戦争は泥沼化している。

 エイブラハム・リンカン米大統領は、南北戦争の初期に同じような不満足な結果に直面した。彼の対応は、戦場で成功を収められる将軍を見つけるまで、北軍の将軍を何度も解任することだった。これが功を奏し、将校の質における南軍の当初の優位性は失われた。ロシアが戦場でより多くの勝利を得るため、おそらくこれがプーチンにとって最も賢明な道だろう。

 しかし、独裁政権下では将校の忠誠心が能力より重要であるため、プーチンはリンカンの選択肢を危険にさらすことはできないだろう。実験的で自由な発想を持つ将校は、プーチンにとってより良い結果をもたらす可能性が高いが、ワグネル指導者エフゲニー・プリゴジンに見られるように、独裁政権の気まぐれさと腐敗に憤慨する可能性も高い。そして、彼らの軍事的成功が政治的脅威に発展する可能性もある。

 プーチンにとっては、ウクライナで勝利するよりも政権を維持することの方が重要で、だからこそ凡庸だが忠実な将軍たちをこれまで維持してきたのだろう。ソ連の独裁者ヨシフ・スターリンは、1930年代に忠誠心を求め赤軍将校団を粛清したことで悪名高い。このため、1941年にナチス・ドイツが侵攻した際、ソ連の戦場での成績は悲惨なものとなった。スターリンはその後、有能な将校を呼び戻した。しかし、それはソ連の国家存立が脅かされたときだけだった。ウクライナ紛争はロシアにとって存亡の危機ではなく、だからこそプーチンは1年以上もこの明白な選択肢を拒否してきたのだろう。


このエッセイのパート2(明日掲載予定)では、4つの可能性について考察する:

-ロシアが総力戦の態勢に入り、圧倒的な力で勝利する。

-トランプが当選し、ウクライナを切り捨てる。


-ヨーロッパが戦争のコストと混乱に疲れ、ウクライナを見捨てる。

-中国が何らかの形でロシアを助けに来る。


エッセイのパート1では、ロシアにウクライナ戦争で勝てる6つの可能性があると示唆した。

 しかし、いずれも可能性は低い。まず、核による威圧でNATOやウクライナを脅して取引に応じさせるかもしれない。しかし、これは非常にリスクが高く、これまでうまくいっていない。

 第二に、ロシアのプーチン大統領は、アメリカのリンカン大統領が南北戦争中に行ったことで有名なように、有能な将校を見つけるまで将校を解任し始めるかもしれない。しかし、プーチンにとって将校の政治的忠誠心は、その能力よりも重要である。だから彼はこのようなことはしていない。

しかし、他にも4つの可能性がある:

シナリオ3:無期限動員

作戦的には、プーチンがもっと有能な将校を選んだ方がいいのだろうが、その代わりに、彼の現在の戦略は、ウクライナを動員し尽くすという消耗戦のようだ。これも親ロシア派の主張だ。ロシアは大きい。ウクライナが疲弊するまで、より多くの人々を動員して戦い続けることができる。これはシナリオ1や2より実行可能だが、明らかな限界がある:

限られた価値しかない周辺戦争に勝つために、軍国主義化し、ロシア経済を疲弊させる価値があるのか?ロシアは大国となり、中国や西側諸国と競争することを目指している。いつまでも泥沼の戦争を続ければ、ロシアは中進国と中国の下僕に転落することになる。

 ロシアの市民社会は、国家的重要性の低い選択戦争で総動員を受け入れるだろうか?「永遠の戦争」は日常的に国民の反感を買っている。プーチンはそれを抑圧することができるが、ウクライナ東部のスライスのためだけに広範な疎外感、場合によっては反乱のリスクを冒す価値があるのだろうか?プーチンが傭兵や外国人、囚人に頼っているのは、ロシアの中産階級が自分たちの犠牲の上に長期戦を容認しないことを知っていることを示唆している。

- 西側諸国がウクライナを支援し続ければ、総動員体制は機能するだろうか?おそらく無理だろう。欧米のGDP合計はロシアを大きく上回る。制裁が続けば続くほど、それは悪化する。

- 全面動員は、ウクライナの民族主義的な深いコミットメントに打ち勝てるだろうか?可能性はあるが、おそらく長い時間がかかるだろう。私たちは、独立のため戦うナショナリストで動員された民衆が、非常に不均衡な紛争で恐ろしい数の犠牲者を出しても、それでもあきらめないことを反植民地戦争から知っている。高い犠牲を払うことを厭わない姿勢は、これまでのウクライナの行動も特徴づけている。ロシアは何年もウクライナを叩き、肉挽き機に人を投入し続けることができるが、それがうまくいく証拠は今のところほとんどない。ロシアがこのアプローチを試したバフムートは、ピュロスの勝利だった。


シナリオ4:トランプがウクライナを切り離す

ロシアが勝つ可能性が最も高い方法がこれだ。ドナルド・トランプ前米大統領はロシアの勝利を明確に望んでおり、ロシアはトランプを勝たせるため2024年の選挙に介入する可能性が高い。しかし、ウクライナを支援するアメリカ国民の支持は高い。議会も支持している。トランプはそれを克服しなければならないが、彼は怠け者で有名だ。

 さらに重要なのは、トランプはおそらく勝てないだろう、ということだ。彼は人気投票で勝ったことがない。支持層は高齢化し、縮小している。2020年にはジョー・バイデン現大統領に敗れ、2024年には2人とも2020年と基本的に同じ顔ぶれで出馬する。だから、結果が変わると考える理由はほとんどない。共和党員の多くもこれを理解しているからこそ、トランプ以外の出馬者を探すことに躍起になっているのだ。また、欧州の一部国はウクライナを支持し続けるだろう。また、ウクライナがあきらめる可能性もなさそうだが、トランプ大統領が援助を撤回すれば、ウクライナにとって戦争が難しくなるのは明らかだ。


シナリオ5:欧州が疲れてウクライナを捨てる

この可能性はあるが、この話は以前にも聞いたことがある。寒い冬に弱虫のドイツ人が平和と安価なロシアのガスを懇願したことを覚えているだろうか?- しかし、失敗に終わった。今年の冬までにロシアのガス兵器はかなり弱まっているだろう。ヨーロッパには準備する時間があったはずだ。

 欧米の世論、特にエリート層の世論は、相変わらず持ちこたえている。どちらかといえば、ロシアにさらに傾いている。フィンランドは最近NATOに加盟したし、スウェーデンもおそらく加盟するだろう。ウクライナのNATO加盟も真剣に議論されるようになってきた。ヘンリー・キッシンジャーでさえ、昨年はヨーロッパの安定のためウクライナは負けるべきだと主張していたのに、今はウクライナのNATO加盟を支持している。


シナリオ6:中国が何かする

これは自暴自棄になったロシアメディアのタカ派の願望に過ぎない。中国がロシアを救うことはない。戦争に勝つ見込みのない経済的に衰退した中堅国のために、西側諸国との重要な経済関係を崩壊させることはないだろう。この紛争は、ロシアを中国の従属国へと変え、中国は化石燃料を安く買っている。ロシアが膠着状態を打破するために、中国が軍事的に何ができるのかさえ明らかではない。

 どれもうまくいかず、ロシアは行き詰まる

ロシアが戦争を逆転させる可能性のある方法は6つある。いずれも可能性は低く、3つはプーチンがほとんどコントロールできない外国の行動が劇的に変化するかどうかにかかっている。

 筆者自身の感覚では、ウクライナはロシアを出し抜くことで、やがて戦争に勝つだろう。つまり、この戦争は反乱に近い。反乱軍は負けることなく、侵略者が疲弊するのを待てば勝利する。ある時点で、疲弊し、不満を募らせた侵略者は、タオルを投げ家に帰る方が安上がりだと気づく。これが、1970年代にベトナムがアメリカを打ち負かした方法であり、1980年代にアフガニスタンのムジャヒディンが赤軍を打ち負かした方法である。

 現在のウクライナの攻勢は劇的に成功することはないかもしれないと-批判は正しいかもしれないが、的外れだ。ウクライナは献身的に戦い続けるだろう。重要なのは、ロシアにはただ耐え忍ぶ以上のことをする必要があるということだ。ウクライナに交渉を強要し、事態を終わらせ、出血を止めるため、断固として勝利する必要がある。対照的に、ウクライナは耐えるだけでいい。

 少なくともドニプロ川以東、そして理想的にはキーウを手に入れることだ。それがなければ、戦争は泥沼と化し、表向きは弱体であっても、決意の固い勢力がより大きな勢力を消耗させ、その代償に見合わなくなるまで続くことになる。

 決着は、ソ連・アフガン戦争と同じなものになるだろう。長期にわたる不確定な戦闘、明白な転機がないこと、どうしてもやめようとしない粘り強い敵、国民と治安当局の両方における国内での不和の拡大、外交的孤立の悪化、経済的消耗の悪化、疲弊の拡大、撤退だろう。■


Does Russia Have Any Way to Win The Ukraine War? - 19FortyFive

By

Robert Kelly


Dr. Robert E. Kelly (@Robert_E_Kelly; RoberEdwinKelly.com) is a professor of international relations in the Department of Political Science at Pusan and a 19FortyFive Contributing Editor.


コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...