朝鮮戦争終結から70周年を迎え、ロシアとウクライナの血なまぐさい紛争も同様に解決されるないかとの憶測が広がっている。
そう考えるには、それなりの理由がある。 朝鮮戦争では、軍事的膠着状態が長期化し、双方が過大なリスクを負わずに勝利することはできないと判断し停止した。
NATOがロシアを弱体化させるためウクライナを利用し代理戦争を進めていると、同じようなジレンマが起こっているのかもしれない。
ウラジーミル・プーチンは、NATOがキーウに提供する軍事支援を過小評価していたこともあり、戦闘の深刻さと期間について確かに誤算を犯した。 しかし、ロシア軍の最初の挫折の後、ウクライナの決定的な勝利が目前に迫ってきたとの西側指導者たちの思い込みも蜃気楼であったと証明された。 それどころか、戦争は泥沼化し、ロシアの人口、軍事力、大量の兵器がウクライナの初期の成功を侵食し始めている。 現在のキーウの攻勢は失速しており、ロシア軍をウクライナから追い出すというウクライナ勝利へのNATOの期待が妄想であったことを示す最新の証拠となっている。
双方が不愉快な現実に直面せざるを得ない中、停戦を求める圧力は高まる。 戦闘が続けば、最も可能性の高い結末は、血と財産の犠牲がさらに大きくなるとはいえ、最終的にはロシアの勝利だ。 さらに、NATO指導層が、自分たちのクライアントが敗北するのは受け入れられないと判断し、同盟軍を介入させることを決定に至る可能性もある。 しかし、そのような動きは、第三次世界大戦とその恐るべき結末の危険を大幅に増大させるはずだ。
朝鮮戦争の休戦協定が第三次世界大戦に発展する危険を阻止したように、休戦協定はその危険を大幅に減らすだろう。 しかし、その解決策の限界とマイナス面も、過去70年の間に明らかになった。朝鮮半島は冷戦期を通じて、西ベルリンに次ぐ危険な火種であった。現在も大規模な戦争がいつ勃発してもおかしくない舞台である。 北朝鮮が核兵器と、核兵器を運搬する弾道ミサイルの増強を続けているため、危険性はさらに高まっている。 朝鮮半島の家族はいまだに離散したままで、国民の3分の1は世界で最も抑圧的な体制のもとで暮らしている。 休戦は血なまぐさい紛争を止めたが、万能薬にはほど遠かった。
ウクライナでも、戦争が休戦で終わった場合、同じような事態が予想される。 ロシア軍とウクライナ軍は、朝鮮半島を隔てる非武装地帯よりもはるかに長い停戦ラインに沿って対峙し続けるだろう。 このような状況は火薬庫のようなものだ。 NATO要員を含む国際平和維持軍が、敵対する2つの軍隊の継続的な分離を取り締まる任務を負えば、さらに緊張が高まる。
残念ながら、NATOとウクライナがなんとしても避けたい、ロシアの勝利で終わる戦争の長期化に代わる最も可能性の高い選択肢として休戦が浮上している。 西側、特に米英の指導者たちは、現在の状況について自分たち自身を責めるしかない。フィオナ・ヒルとアンジェラ・ステントによる『フォーリン・アフェアーズ』誌2022年9-10月号の記事によれば、「ロシアとウクライナの交渉担当者は、暫定的な交渉による解決策の概要について暫定合意したようだ」。その合意では、「ロシアは2月23日にドンバス地方の一部とクリミア全土を支配していた当時の位置まで撤退し、それと引き換えにウクライナはNATO加盟を求めず、代わりに多くの国から安全保障を受けることを約束する」。
仲介役を務めていたイスラエルのネフタリ・ベネット元首相によれば、英米の指導者たちはそうした和平努力を思いとどまらせ、あるいは完全に阻止したという。 欧米の強い圧力を受け、ベネットはその後その主張を軟化したが、元のバージョンの方がより率直で正確だった可能性が高い。
事実ならば、非難されるべき行為である。 たとえ不完全でも、モスクワとキーウ間に正式な和平合意の機会が再び訪れた場合、このような妨害行為を繰り返してはならない。 決定的な和解ではなく休戦に固執すれば、ウクライナを、韓国人が70年間耐えたのと同じような危険な戦略的空白地帯に追いやることになる。 ワシントンが北朝鮮と正常な関係を築こうとしないことが、朝鮮半島の不満足な状況を永続させる大きな要因となっている。
米国の指導者たちは、今回はもっとうまく対応し、政策の硬直化を避ける必要がある。 バイデン政権とNATO同盟国は、ウクライナでの戦闘の停止だけでなく、平和をもたらす条約の交渉を積極的に促進すべきである。
The Korea Armistice: A Flawed Model for Ending the Ukraine War - 19FortyFive
By
Ted Galen Carpenter is a contributing editor at 19Forty Five, a senior fellow at the Libertarian Institute and a senior fellow at the Randolph Bourne Institute. He also served in various policy positions during a 37-year career at the Cato Institute. Dr. Carpenter is the author of 13 books and more than 1,200 articles on international affairs.
コメント
コメントを投稿
コメントをどうぞ。