スキップしてメイン コンテンツに移動

ウクライナはAIでロシアに勝とうとしている。西側水準を超えるAIによる戦闘能力を安価に実現。ウクライナ戦はAIの実験場になっている。

ウクライナは独自の人工知能(AI)プラットフォームで西側水準を超える戦力を実現した


「ウクライナはとんでもないことをやっている」と、ウクライナに駐在するFox News寄稿者、ブレット・ヴェリコヴィッチはFox News Digitalで語った。「戦場での技術革新は、いまやこの世のものとは思えないレベルだ。正直なところ、米政府も西側諸国政府も、このような革新が起こっていることを知らない。

「追いつけない。ウクライナの動きは速すぎる」。


ウクライナがロシアという、より大きく、一見強そうな相手に対してこれほどまでにうまく立ち回る上で、AIが重要な役割を静かに果たしている。


ナショナル・ディフェンス誌は、ウクライナ戦争を「前例のないAIの実験場」と呼び、「両陣営によるドローンや浮遊弾薬の使用」や 「飛行、照準、発射におけるAIによる自律能力の強化」を挙げている。


ウクライナのデジタルトランスフォーメーション担当副大臣であるジョージ・ドゥビンスキーは、同国が独自のAIプラットフォームの構築を決定し、エンジニアが特定用途に合わせAIをカスタマイズできるようになったことが鍵だとFox News Digitalに語った。


同省は、10種類のAIプラットフォームを検討した結果、独自のAIプラットフォームがより有益であると判断し、2022年半ば頃に開始し、年末までに配備した。ドゥビンスキーは、同省が常に改良と開発に取り組んでいることを明らかにした。オリジナルのプラットフォームでウクライナは必要なデータを、営利企業に間違った情報を送ることなく利用することを可能にした。


「マックス」と名乗り、ドゥビンスキーと並び話をしたウクライナのエンジニア専門家は、軍がコンピューター・ビジョンを広範囲に使用することを可能にした、閉回路テレビカメラやその他監視インフラの膨大なネットワークについて語った。


AIに関する報道は、GoogleのBardやOpenAIのChatGPTのような大規模な言語モデルや生成AIプラットフォームが主な焦点だったが、AIプラットフォームを通じ視覚データの解釈と分析に焦点を当てたコンピュータビジョンは、幅広い産業やタスクに大きな利点を示している。


自然保護活動家は密猟者を追跡し、絶滅危惧種を保護するためコンピューター・ビジョン技術を利用してきた。一方、自動運転車メーカーは、トラックや自動車、そしていつの日か貨物船などの性能を向上させるためこの技術に注目している。


ウクライナでは、無人航空機(UAV)やドローンを多用することで、ロシアの侵攻や部隊移動の際に戦争犯罪の疑いがある人物を追跡するのに役立っている。撮影した映像から、AIは個々の要素を特定し、分類することができる。


「グーグルマップや占領地のレジスタンス部隊のスクリーンショット、メッセージの量は本当に膨大だ」とマックスは説明する。「この自動化が必要だと考えたのです」とマックスは説明した。


「名前と認識とオブジェクト文字認識(OCR)を使用しています」と彼は付け加えた。「GPS座標、場所、日付......我々はさまざまなソースから多くのデータを持っている。シャヘド無人機と他の一般的な認識を識別する最良の方法を理解した」。


この技術は、ウクライナ軍が神風ドローンとして知られるイラン製のシャヘド136ドローンと標準的なミサイルを区別するのに役立った。AIはまた、誘導レーザー爆弾の照準と有効性の向上にも役立った。


ウクライナがAI開発で成し遂げた最大の偉業は、エンジニアたちがアメリカ企業の数分の一の予算ですべてを成し遂げた事実だ。


「彼らは数百ドル単位でやっている......ガレージでやっているんだ」とヴェリコヴィッチは主張する。「グレムリン・ガレージと呼ぶ小さなガレージだ」。


「彼らはフィードバックを得て、キットを作り上げ、iPhoneのカメラを取り外し、ラズベリーパイと呼ぶデバイスに取り付けるだけで、ターゲットシステムを作成でき、何が必要かを知っている」。


これらの工場は、開栓後にウクライナが組織した「IT軍団」約25万人の助けで発展した。


ドゥビンスキーとマックスは、「常に砲撃を受けている」ため、「非常に、非常に速く」学ぶ必要があると説明した。


「ウクライナのエンジニアは攻撃を受けており、この戦争に勝つため最善を尽くしている。彼らはこの戦争に巻き込まれるのを避けようとしているのだと思う」とマックスは言った。「今になって、ロシアのテレグラム・チャンネルで、彼らがデータを収集していることがわかった」。


ウクライナが自国プラットフォームの訓練や能力向上に役立てるために、ロシアのデータセットに何らかの形でアクセスしているかとの質問に対し、副大臣とマックスは、「こちらはうまく仕事をしているとだけ言っておこう 」と答えただけだった。


ウクライナは「大企業やプロジェクト」と常に連絡を取っているが、副大臣は企業名は明言せず、システムの「特定の」要素を開発するためEUやインドの企業と話をしているとだけ述べた。「我々は一般的な情報や見解を交換できる。...大手ハイテク企業の協力と、オープンコードソリューションのいくつかの要素に感謝している」。■


Ukraine gained advantage in war against Putin with custom-built AI: 'unprecedented testing ground' | Fox News

By Peter Aitken | Fox News


コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...