インドがF-35を導入する可能性....中印国境での中国の脅威の増大、J-20への対抗で考えられる選択肢。さらにインドはロッキードF-21(F-16改良型)の生産配備も予定しているので相乗効果も期待できる。
F-35コミュニティーの世界的な拡大により、多くの人々は統合打撃戦闘機を「自由世界」のための第5世代マルチロール戦闘機とみなしている
インド国境での中国の脅威が米印防衛・兵器開発協力を先に進める理由になる
F-35コミュニティーの世界的な広がりは、ジョイント・ストライク・ファイターを「自由世界」第5世代マルチロール戦闘機と見なす多くの人々を導き、さらに多くの予期せぬ顧客がF-35を加わりそうだ。
近年では、フィンランド、スイス、ポーランド、ドイツなど、F-35の新規顧客が爆発的に増えている。確かに、米国とインドの協力関係は、特に防衛面でさまざまな意味で非常に強くなっている。最近、インドとアメリカは、アメリカや同盟国軍とのインドの互換性や相互運用性を強化するため、防衛産業の共同開発契約をいくつか結んだ。
中国を抑止する
チベット越えの西側国境からインドを脅かす中国を抑止する必要があるのは明らかで、特に近年、国境紛争や紛争地域が発生していることから、インドはその危険を深刻に受け止めている。
中国の劇的な軍事近代化努力により、西側国境からの中国の脅威は近年拡大しいる。中国は、軍事近代化の一環として、中国西部の高原地帯用に特別設計された車両、プラットフォーム、兵器システムを構築していると、政府の支援を受けた環球時報が定期的に書いている。
中国のJ-20への対抗
インドを脅かす可能性のある中国のステルス第5世代陸上運用戦闘機J-20に対抗する必要もある。インドのF-35は、国境地帯で航空覇権をめぐる戦争が起きた場合、中国のJ-20に挑み、破壊することができる。この方程式の一部では、F-35のセンサーも考慮する必要がある。F-35のコンピューティングと長距離、高忠実度のセンシングは、中国国境沿いで重要なISR機能を果たすと同時に、必要であれば攻撃できる位置にいる可能性がある。
中国の軍事近代化には、J-20第5世代機の急速な追加が含まれる。J-20が増えていることから、中国の戦闘機がアメリカのF-35ライトニングIIに匹敵するかどうかを見極めることが重要になる。
国防総省報告書は、J-20がF-35やF-22ラプターの属性を反映しているか、模倣しているように見えると指摘している。しかし、少なくとも短期的には、人民解放軍空軍が運用するJ-20の数は、取得予定のF-35の数よりはるかに少ない。
これはアメリカにとって有利であることを示しているように思える。しかし、特に造船分野での中国の最近の生産率と能力は、いつか航空機の製造にも及ぶかもしれない。
J-20の外形は、丸みを帯び徐々に傾斜した構造を持つ水平の混合翼の外装を採用しているため、ステルスに見える。このデザインは、レーダー断面積をはるかに低くし、探知されにくくすることを意図している。垂直な構造物や突出形状は、電磁ピングに反応しより強いリターン信号を発生させる。興味深いことに、機体後部はF-35よりもF-22を反映しているように見える。機体には二重の排気口があり、二重エンジンを示唆している。エンジンが内蔵されている可能性が高く、熱管理技術の対策もあるが、コーティング材料、熱シグネチャ管理、エンジンに関する情報を入手するのは難しい。
中国の新聞は、J-20は国産のWS-15エンジンを搭載していると報じている。さらに最近では、中国紙や国防総省の2021年中国軍事力報告書は、J-20をF-22に匹敵する超巡航能力を持つようアップグレードする努力を挙げている。しかし、アフターバーナーなしで超音速を維持できるF-22のスーパークルーズを再現するのは難しいかもしれない。中国のエンジニアリングが実際にスピードと空中機動性でF-22に匹敵できるかは定かではない。これらの点でもF-35に匹敵しないかもしれないが、判決は未知数だ。
F-35とJ-20を比較する際には、他にも未知の部分がある。つまり、ミッション・システム、武器と照準、コンピューティング、センシングで優劣が決まる可能性が高い。J-20の外観構成がF-35とどこまで似ているかにかかわらず、J-20はコンピューティングとセンサー技術の点でF-35に匹敵しないかもしれない。J-20は、F-35に見つかって狙われる前に、F-35を探知できるだろうか?入ってくるセンサーデータを整理してパイロットに統合された見解を示すことができるよう高速コンピューティングで動作するのだろうか? AIM-9Xのようなオフボアサイト照準技術や、高度な誘導システムを備えた他の兵器は搭載されているのだろうか?最後に、J-20をアップグレードしてF-35に匹敵させる技術的な基準はあるのだろうか?F-35は、ストームブレイカーのような比類なき兵器を実戦配備する予定であり、今後数年間で利用可能になる新兵器、火器管制技術、誘導システムに対応できる設計だ。国防総省はF-35を数十年先まで飛行させる。
これら多くの疑問に対する答えは未知数かもしれないが、J-20がこれらすべての技術を誇っているとは思えない。もしそうでなければ、F-35にはかなわない。しかし、もしそれが可能なら、空中のパワーバランスが危険にさらされるかもしれない。
インドのF-35の利点
インドのF-35がもたらす最大の利点のひとつは、マルチドメインネットワーキングの可能性だ。共通の多機能高度データリンク(MADL)で国籍軍のF-35が瞬時に安全に接続されるからだ。インドのF-35は、インド洋やベンガル湾で運用される地上配備の米空軍F-35Aや飛行艇、あるいは空母から発射されたF-35CやF-35Bと接続できる。これにより、インド、アメリカ、その他の地域の同盟国は、分散した作戦範囲でネットワーク化された空中編隊を構築できるようになる。
F-21と呼ばれるF-16のアップグレード型を特別構成で製造することに関しては、ペンタゴン、インド防衛当局、ロッキード・マーティンが共同研究を進めらている。ロッキード・マーチンは近年、この地域における産業基盤の能力強化に取り組んでおり、インドんにとってF-35は受け入れやすくするかもしれない。F-35の維持、メンテナンス、アップグレードが必要になった場合、産業界のプレゼンスは非常に重要になる。
おそらく、国防総省にはF-35を台湾に輸出する可能性について立ち止まったりためらうのと同じ懸念があるのだろう。しかし、純粋な抑止力と、中国がF-35の強大な戦力と交戦し、制空権を争うことをためらうはずという現実を考えれば、インドにF-35を持ち込むことが理にかなう強い論拠がある。F-35は、シンガポール、日本、オーストラリア、韓国などのF-35パートナーにより、アジアではすでにインパクトのある数で存在している。中国の西側国境におけるF-35の脅威は、非常にインパクトのあるものとなるかもしれない。
インドのF-35は、おそらくF-21と呼ばれるインドの特別なF-16の亜種とネットワーク化するように設計されるだろう。インドは現在、ロッキードや米国防総省と協力し、F-21を製造する産業インフラを整備中だ。F-21には、電子戦兵器やトリプル・ミサイル・ランチャー・アダプターと呼ばれるものなど、インド独自の技術が組み込まれている。
F-21の新しいAESA(Active Electronically Scanned Array)レーダーは、基本的にレーダー範囲を倍増させるだけでなく、海軍のIRST(Infrared Search and Track)照準技術のような最近の技術革新を利用していると開発者は説明している。海軍のF/A-18で最初に設計されたIRSTは、「ジャミング」や電子戦の脅威環境で複数のターゲットを同時に追跡し、正確な空対空照準に対応できるパッシブな長距離センサーである。
F-21のようなF-16の大規模性能強化、アップグレード、アップガン化は、インドが特に国境地帯で中国を抑止し封じ込めようとする際に、より有利な戦略的状況をもたらす可能性がある。中国はかなり以前から、インドとの国境沿いの西方高原地域を軍事化する具体的な措置をとっており、これは一種の戦力態勢と戦略的作戦である。
中国西部の軍備増強
インドのF-35は、中国の西部高原地域における急速な軍事力増強から防衛するために必要な努力に不可欠だと証明されるかもしれない。中国人民解放軍(PLA)は、大規模な近代化を推し進め、軍備増強中と見られ、西部の高地高原地帯に新しい兵器システムを導入し続けている。
『環球時報』によれば、移動式大砲や新型装甲車に関する発表に続き、PLAは現在、「移動式、ヒット・アンド・ラン射撃陣地」を実施するため新型自走式速射迫撃砲の配備を発表している。
迫撃砲は放物線を描く弾道で発射されるため、山岳地帯では特に有用である。しかし、ヘリコプターで空輸しても、大量の迫撃砲弾を高高度まで輸送することは、不可能ではないにせよ、ロジスティクスの負担で非常に困難であるため、精度が極めて重要となる。
同紙によれば、この自走迫撃砲システムは「四輪オフロード強襲車」をベースにしており、高原地帯での山岳戦の可能性を示しているようだ。中国西部の高原地帯における大規模な戦闘能力と戦争技術の構築は、PLAから加速度的に注目され続けている。自走迫撃砲の登場は、PLAがこの地域に持ち込む4番目の新型兵器システムであり、新型122ミリ口径自走榴弾砲、装甲強襲車両、長距離多連装ロケットランチャーシステムの追加を含む取り組みである。
『環球時報』は、「PLA新疆軍団は、特に高原での戦闘に重要な、完全で近代的な地上戦闘システムを形成している」と指摘している。
インドと中国の国境地帯の緊張は、時折小さな小競り合いや銃撃戦に発展していることがよく知られている。同時に、中国がインド国境付近でハイテク設備を大規模に増強していることは、少し不思議に思える。もちろん、インドが考えているような侵攻に対しては、どんな種類の有能な陸軍でも抑止力として機能するだろう。この地域の高原、凸凹の鋭い山岳地形、高地は、陸上進攻も寄せ付けない。どんな機械化部隊や占領軍であっても、この地域での前進は極めて困難で、陸戦の脅威の信頼性を低下させるだけである。
インド=中国国境の両側に山があることを考えると、どちらの軍も相手国に実質的に進攻できる可能性は非常に低いと思われる。おそらく中国は、機械化された陸上部隊が国境付近を越えて測定可能な距離を通過することができない可能性が高いにもかかわらず、単なる「プレゼンス」に価値を見出しているのだろう。しかし、インド=中国国境には係争中の国境地帯や領土が多数あり、大規模地上部隊が国境地帯に集結すれば、係争地域を攻撃し占領することは可能である。■
Stopping China: The Pentagon Should Sell the F-35 to India - Warrior Maven: Center for Military Modernization
By Kris Osborn, President, Center for Military Modernization
Kris Osborn is the Military Affairs Editor of 19FortyFive and President of Warrior Maven – Center for Military Modernization. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in /lComparative Literature from Columbia University
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