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台湾は中国の軍事侵攻にどこまで対抗できるのか。現状分析と提言をランド研究所最新レポートに見る。

 台湾は中国の大規模軍事攻撃に対抗できるか? 潜在的紛争における強みと脆弱性の評価


以下はランド研究所レポートの総括部分のご紹介です。



研究課題

  • 大規模な軍事攻撃に対する台湾の抵抗力をどう評価できるか?

  • 中国の大規模攻撃に台湾の抵抗能力はどの程度あるのか。

  • 危機や紛争が発生した場合、台湾の能力評価はどう変化するのか


 台湾は中国と米国の間の重要な潜在的火種のままである。 

 米国と台湾の間の地理的距離と、中国による大規模攻撃を撃退する軍事的課題を考慮すれば、台湾の防衛維持能力に関する正確な評価は、米国の意思決定者やプランナーにとって極めて重要な要素となり得る。大規模な軍事攻撃に対抗する台湾の能力を評価するための枠組みを構築した。この枠組みでは、そのような攻撃に耐える国の能力は、政治的リーダーシップと社会的結束、軍事的有効性、耐久性、同盟国による軍事介入という4つの変数で決まる。そして共著者は、この枠組みを用いて、中国による攻撃に台湾の能力を90日間抵抗できると評価した。90日間は、米国が東アジアで大規模な戦闘介入を実施する兵力を結集するのに必要な最小限の期間と想定される。中国による大規模な攻撃に対抗する台湾の能力を正確に評価することは、米国の意思決定者やプランナーがそのような事態をより的確に予測し、対応するのに役立つだろう。


主な結果

  • 台湾は中国に90日以内に敗北する可能性がある。

  • .共著者は以下台湾がハイエンド戦に対抗するため以下4つの変数が必要と結論づけた。

政治的リーダーシップと社会的結束力、軍事的有効性、耐久性(紛争の経済的・人的コストを管理・維持する能力)、同盟国による軍事介入である。

  • 台湾の能力を洞察するアナリストは台湾の政治的リーダーシップの質と強さ、および危機や紛争に至るまでの社会的結束の程度に細心の注意を払うべきである。その他の変数は二次的なものと考えるべきである。

  • 台湾の軍備や兵力が中国より少ないため台湾が敗北する運命にあるわけではない。しかし、台湾の軍隊が戦闘効果を劇的に向上させても、中国の軍事的優位は、中国の莫大な資源的優位のために、拡大し続ける可能性が高い。

  • 大規模戦になれば、深刻な死傷者と経済的損失の影響は二通りに分かれるだろう。当初、台湾国民はおそらく国家指導者の周りに結集し、攻撃的な中国に抵抗するのを支持するだろう。しかし、長期的には、紛争による多大な犠牲が、戦争継続に対する国民の支持を低下させる可能性が高い。

  • 台湾は軍事的に不利で耐久力が低いため、中国の大規模な攻撃に耐えるには、米国の軍事介入が必要だ。統率され、社会的にまとまりのある台湾であれば、長期にわたり断固とした抵抗を維持できるかもしれないが、米国の強力な軍事介入がないと、中国は軍事的資源で圧倒的に優位に立ち、最終的には台湾を征服してしまうだろう。


提言

  1. 米政府は台湾の軍事力強化を引き続き支援すべきである。プラットフォームや兵器の質、部隊の練度、部隊の統合、軍の専門的自律性の向上は、部隊の殺傷力を高め、それにより台湾防衛への自信を強化し、中国を抑止するのに役立つ。しかし、中国の軍事的優位が強まっていることから、台湾の防衛力を大幅に改善しても、中国の攻撃を抑止または撃退するためには、米国の介入が必要なことに変わりがない。

  2. 米当局は、中国の情報操作や経済強要に対抗する台湾を助けることができる。中国当局は、自国の目標を達成する低リスクの方法として、このような方法を頻繁に採用しているが、台湾ではこれまでこのような戦術はほとんど成功していない。台湾は一般的に、こうした非戦闘的な戦術への対抗で有利な立場にあるが、こうした取り組みに対する米国の支援は今後も重要である。

  3. 最後に、台湾の政治的指導力と社会的結束力が強く、中国軍に対する軍事的効果が期待できても、台湾が大規模な攻撃に耐えるためには米国の軍事介入が必要である。米軍による支援の迅速性、明確性、信頼性は、台湾の抵抗力を維持する上で極めて重要な要素である。



Can Taiwan Resist a Large-Scale Military Attack by China?

Assessing Strengths and Vulnerabilities in a Potential Conflict

by Timothy R. Heath, Sale Lilly, Eugeniu Han


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