スキップしてメイン コンテンツに移動

戦後最大の危機と日本の最新の防衛白書が現在の状況を伝える中、日本国民は無関心でいられるのでしょうか。新型イージス艦ASEVのイメージ図も公開。

いつも思いますが、米系国防関係サイトの中でUSNI Newsが日本について一番敏感に報道しているようです。米海軍と日本の切っても切れない関係も背後にあるのでしょうね



本の防衛当局は、国際社会が戦後最大の試練に直面し、新たな危機の時代に突入したと警告している。同時に「日本の防衛2023」白書は中国、ロシア、北朝鮮を日本の脅威となる国として挙げた。


今回の発表は、日本が反撃能力を保有する必要性、防衛費の増加、調達計画、軍事力の増強を求めた国家防衛戦略の最新の改定に続くもの。


白書で浜田靖一防衛相は序文で、国際社会は第二次世界大戦後最大の試練に直面しており、ロシアのウクライナ侵略を含め、世界は新たな危機の時代に入ったとの認識を述べた。「国連安全保障理事会の常任理事国が、主権国家への侵略を開始し、核兵器使用の威嚇と解釈される暴言や行動を繰り返すことで、国際法を軽視している」とある。中国は核戦力やミサイル戦力を含め、数と質の両面で急速に軍事力を強化している、と付け加えた。同時に北京は、東シナ海や南シナ海での武力による一方的な現状変更とその試みを増幅させている。白書はまた、台湾情勢を懸念材料に挙げ、中国が2022年8月4日に弾道ミサイル9発を発射し、うち5発が日本の排他的経済水域(EEZ)内に着弾するなど、台湾への軍事的圧力を強めていると指摘した。


記者会見で浜田防衛相は、日本政府の立場は常に、台湾情勢は対話を通じ平和的に解決されるべきだというものだと述べた。日本は外交努力を優先するが、同時に邦人の生命と生活を守るためには、日本が自力で国を守り、抑止力を高めることが不可欠、と記した。


「言い換えれば、日本を攻撃しても目的を達成できないと相手に思わせる必要がある」。12月に発表された戦略文書3点では、抑止力を高めるとともに、日本がどのように自力で防衛可能になるかが明示された。これら文書に基づき、防衛省は優先事項に重点を置く。すなわち、運用率を向上させることによって現行装備を最大限に有効活用すること、弾薬を十分に確保すること、主要防衛施設の回復力を向上させる投資を加速させること、そして反撃能力として活用できるスタンドオフ防衛能力や無人資産など、将来の防衛能力の中核分野を強化することだ。


防衛省・自衛隊がいくら先進的な装備を調達しても、「それを運用する人材がいなければ防衛力は発揮できない」。防衛力の核となるのは自衛隊員だ。隊員の生活、職場環境、待遇を改善を加速させる」と記した。近年、外交努力も防衛にとって重要性を増しているとある。浜田防衛相は、相手国多数と話し合いを行った。日本はこうした話し合いを基に、日本、イギリス、イタリアによる次世代戦闘機の共同開発など、防衛における様々な協力的取り組みを進めていく。防衛白書2023には、「激動の時代:変革の10年」と題した特集も組まれた。岸田内閣の防衛力・抑止力増強計画は、実施にかかる財政コストや、反撃能力の保有が防衛的軍事行動のみを行うという日本の方針に反するかどうかなど、日本国民に懸念をもたらした。また、日本の南西諸島にレーダーや兵器システムを駐留させ、軍事的プレゼンスを高める計画は、軍事的プレゼンスで自分たちの故郷が戦場に変わってしまうのではないかという懸念も、一部住民に再浮上した。過去10年の分析では、2012年以降、中国、ロシア、北朝鮮の現在の軍事能力と活動が増加していることが指摘されている。■


Japan Warns World Facing its Greatest Post-WWII Period of Crisis - USNI News

By: Dzirhan Mahadzir

July 28, 2023 4:56 PM



白書はまた、日本が2028年までに就役させる予定のイージスシステム搭載護衛艦(ASEV)2隻のコンセプト画像も掲載した。イメージは、ASEVがまや級護衛艦の進化版であることを示している。日本は現在、「こんごう」型4隻、「あたご」型2隻、「まや」型2隻の計8隻のイージス艦を保有しており、弾道ミサイル防衛(BMD)任務を主任務としている。ASEV2隻は、中止となったイージス・アショア・システムの代替で、また、現在の8隻のイージス駆逐艦を他任務に解放する。新たな任務には、いずも型護衛空母2隻がF-35ライトニングII戦闘機の完全運用にむけた改造を完了し、空母打撃群(CSG)として配備後の護衛任務もここに含まれる可能性がある。


正確なトン数は明らかにされていないが、ASEVが垂直発射ミサイルセル多数を搭載し、より長い海上展開期間を容易にすることを考えると、「まや」クラスの全備重量10,250トンより大きくなる予想がある。■

 

コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...