スキップしてメイン コンテンツに移動

ノースロップ・グラマンがNGAD有人戦闘機型でプライムをめぐる競合から離脱。これでボーイング、ロッキード・マーティンのいずれかに絞られることへ。米空軍は2024年に最終選定を予定。

 



Nortrhop Grumman has dropped out of the running to be the prime contractor to design and build the US Air Force's future sixth-generation NGAD stealth combat jet.

Northrop Grumman capture

ノースロップ・グラマンは、海軍の第6世代戦闘機プログラムなどに集中する

ースロップ・グラマンは、米空軍の次世代航空優勢(NGAD)プログラムの第6世代新型ステルス有人戦闘機で、主契約者候補から外れた。これは、NGAD戦闘機の競争相手が3社から2社に絞られ、ボーイングロッキード・マーチンいずれかになるとの先月の報道と一致する。ただし、ノースロップには別の元請け企業のNGADチームに加わる可能性も残っている。

ノースロップ・グラマンのキャシー・ウォーデンCEOは、本日の決算説明会で、空軍のNGADプログラムをめぐる同社戦略の現状を語った。空軍は5月、NGAD戦闘機開発のエンジニアリングと製造段階に関する極秘契約募集を正式発表していた。同機は、表向きはF-22ラプター・ステルス戦闘機に取って代わるねらいだが、伝統的な戦闘機の概念をはるかに超えた、広範な能力を持つ期待がある。

「政府が同プログラムでRFPを発行する意向を正式発表するまで、当社は沈黙を守っていた。「しかし、プライムとしてNGAD RFPに応じる意向はないと米空軍に通知した。

「当社が追求している他の機会があると書いたが、もう少し情報が出るまで、それが何であるかは現時点では明かさない」と同CEOは付け加えた。「もし当社が十分なポジションにいると感じ、政府がリスクと報酬のバランスを適切に取れば、当社は参画する」。

ウォーデンはさらに、同社は「軍用機における他の機会」を追求していると語ったが、これは海軍のF/A-XXプログラムを指している可能性があると受け取る向きもある。F/A-XXは海軍独自のNGAD計画であり、空軍の同名プログラムと別物だが、大きく関連している。海軍と空軍は、各自のNGAD構想非常に緊密に協力している。

ウォーデンは決算説明会の後半で、同社は空軍のCCA(Collaborative Combat Aircraft)プログラムも「注視している」と述べた。CCAはNGADの別の要素であり、高度自律性を備えた先進的だが比較的低コストの無人機群の獲得をねらう。CCAはNGADのサブコンポーネントの1つで、空軍と海軍の間でもすでに大きな協力が行われている。

空軍は現在、NGAD戦闘機200機と少なくとも1000機のCCAの購入を計画している。この数字は、F-35A統合打撃戦闘機300機と同様に、NGAD戦闘機1機に2機のCCAをペアで配備する想定の作戦概念に基づいている。空軍はCCA部隊の最終的な規模はもっと大きくなる可能性があるとしている。

ノースロップ・グラマン発の今日のニュースは、必ずしも驚くべきものではない。Defense & Aerospace Reportの編集長兼ホストを務めるヴァゴ・ムラディアンと、The Defense Concepts OrganizationのディレクターでTeal Groupのシニア・アナリストであるJ.J.ガートラーは、5月にポッドキャストでNGAD戦闘機の競争相手の数が3社から2社に減少することについて話していた。

ボーイングとロッキード・マーチンが残りの2社になると広く思われているが、これはまだ正式確定ではない。ロッキード・マーチンの有名なスカンクワークス先端プロジェクト部門は、6月30日にインスタグラムに投稿したNGAD戦闘機案について、シルエットを予告した。

<em>Lockheed Martin Skunk Works</em>

Lockheed Martin Skunk Works

ロッキード・マーチン・スカンク・ワークス

NGADのデモ機は、おそらくノースロップ・グラマンも含めて、もう何年も飛行している。F-22がNGADイニシアチブをサポートする新技術のテストに使用されている。

ノースロップ・グラマンが、主要な米軍航空プログラムの初期段階でデモ機を飛行させた後、最終的に撤退を決めたのは今回が初めてではない。同社は2017年、海軍の空母艦載空中給油システム(CBARS)ドローンタンカーの競争から撤退したが、その前の無人空母発射空中偵察・打撃(UCLASS)プロジェクトでは大規模な仕事をしていた。ノースロップの子会社であるスケールド・コンポジットも、空軍のT-Xジェット練習機コンペティション向けに設計を行ったものの、参加は見送られた。

とはいえ、ノースロップ・グラマンにとって、今日のウォーデンのコメントは、同社の立場の変化を反映しているように見える。昨年の同時期に行われた決算説明会では、同社CEOはNGAD戦闘機募集への関心についての質問に対し、「当社は競争相手として位置づけられている」と答え、「政府は、これだけ大きなチャンスをものにできる幅広い産業基盤を望んでいると思う」と述べていた。

今年5月の時点で、ノースロップ・グラマンのプロモーション・ビデオにNGAD戦闘機の設計図と思われるものが映っていた。

ノースロップ・グラマンはもちろん、現在米空軍のステルス爆撃機B-21レイダーの主契約者でもある。これは両者にとって最優先事項の複雑なプログラムだ。

B-21に加え、ノースロップ・グラマンは、一般にRQ-180と呼ばれる先進的なステルス高高度・長時間耐久ドローンを開発していると広く考えられている。本日の決算説明会でウォーデンは、同社が主契約者の主要プログラム、空軍の大陸間弾道ミサイルLGM-35Aセンチネルについても強調した。

もちろん、ノースロップ・グラマンが下請けとして空軍のNGAD戦闘ジェット・プログラムに関与しないことを意味するものではない。

「ノースロップ・グラマンの先端技術とソリューションをどのように顧客に適用するかについて、規律あるアプローチをとっている。空軍のNGADプログラムではプライム・ポジションを追求しないと決定しましたが、NGADのチームには当社のミッション・システム能力を提供しています」と、同社の広報担当は声明でThe War Zoneに語った。「当社は、B-21やF-35のようなプログラムで実証ずみの、先進的な航空機プログラムで有利な立場にあり、プラットフォームやミッションシステムのプロバイダーとして、有人・無人の軍用機市場であらゆる機会を評価していきます」。

ノースロップ・グラマンは、ロッキード・マーティンF-35統合打撃戦闘機の主要な下請け業者であり、戦闘機製造とミッション・システムの両方を手掛けている。

とはいえ、NGAD戦闘機に対する空軍の要求と期待の多くは、秘密のベールに隠されたままだ。現在までに公開されている情報では、従来型戦闘機にはない機動性を持ちながら、新型兵器を含むペイロードを長距離で運用するため最適化された、高度に進化した深部貫通型広帯域低視認性(ステルス)設計であることが指摘されている。

空軍は、NGAD戦闘機コンペティションの勝者を2024年中に選びたいと述べている。

つまり、NGAD戦闘機が最終的にどのような姿になり、どのような能力を発揮するのか、そして誰がそれを設計・製造するのかは、まだ未知数だ。今わかっていることは、ノースロップ・グラマンはこのプログラムでの主導的な役割を追求しないと決めたということだけだ。■


Northrop Grumman Bails On Next Generation Fighter Competition

BYJOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED JUL 27, 2023 2:01 PM EDT

THE WAR ZONE


コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...