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中国軍の装備開発状況をまとめた米調査委員会報告の抜粋


タイトルが内容とかい離していますが、米議会の調査部門はいい仕事をしていますね。議員がばらばらに調べるよりもプロのアナリスト部隊を抱えた方が効率がいいに決まっています。中国については米国も経験のしたことのない事態(ハイテク、サイバー、宇宙等)での対立を想定せねばならず決して楽しい仕事ではないのですが、避けて通れないでしょうね。一方で冷戦時の映画Red Dawn(ソ連が米国占領)のリメークをPLAを悪役にしたところ「自主的に」北朝鮮が米国を占領したとのプロットに変えた事例もあり、米国の自由を活用する中国の動きにはこれまで以上に厳しい目が寄せられていくでしょう。

 


World War III Deathmatch: China vs. America's Military (Who Wins?)


October 9, 2017


米中経済安全保障検討委員会U.S.-China Economic and Security Review Commissionが中国の高性能兵器開発に関する報告書をまとめている。
報告書は公開型式でオープンソースを使った評価を中国の特定兵器システムや技術分野に行うのが目的で、以下を重視しているようだ。
1.極超音速滑空体や超音速燃料ラムジェット搭載機も含む制御可能再突入体
2.高出力高周波兵器、高出力レーザー、粒子ビームによる衛星妨害を含む指向性エネルギー兵器
3.電磁レイルガン
4.対衛星兵器に加え宇宙空間での電子戦能力
5.無人装備、人工知能搭載兵器

報告書では中国の高性能兵器が米国にどんな意味を持つかさらに検討すべく、米国も対抗策や兵器開発の重要分野における対抗策で優位性を維持できるかを検討すべきとする。
米中軍事力整備競争
作業は議会関係者や政策立案部門に対し急速に進展中の中国の軍事近代化の内容を伝えることを使命とし、中国の次世代兵器体系整備の進展度に米国が懸念をいだいていることの裏返しでもある。一部報道では中国が極超音速兵器を開発中といわれ、実現すれば脅威の定義をひっくり返す効果が米水上艦艇など多方面に現れる。
中国が極超音速兵器の実験を行っていることは知られている。米空軍主任科学者ジェフリー・ザカリアス US Air Force Chief Scientist, Geoffrey ZachariasはScout Warriorに米国が極超音速兵器開発を加速化する必要について語っているのは中国の進展とペースを合わせる必要があると認識しているからだ。ザカリアスの説明では米側の努力は「階段を一段ずつ昇る」ようなもので極超音速飛行を実現してから極超音速兵器、極超音速無人機、最終的に再利用可能な極超音速機の開発を目指していると述べる。米国の目標は極超音速兵器の実用化を2020年代中頃、極超音速無人機を2030年代、再利用可能極超音速無人機は2040年代と目標を置いている。
さらに中国が対衛星兵器ASATのテストをしているへ国際社会の関心が高まっており、ペンタゴンや米空軍に衛星防護の戦略作りを急がせる圧力が増えて、センサー機能の冗長性やサイバー被害に対する強靭度を高めた指揮統制機能などで機能の維持が求められている。
中国の無人機開発、サイバー侵入行動さらに空母国産建造も米議会がこの報告書に関心を寄せざるを得ない背景理由だ。
さらに新型駆逐艦、揚陸艦、ステルス戦闘機、長距離兵器で中国の開発が進むのも米国には脅威と映るし、世界規模の作戦展開能力を整備しているのも同様だと同委員会はこれまでの報告書を通じ指摘している。
2016年版の委員会指摘内容は
2016年度版の米中経済安全保障検討委員会報告では中国が兵力投射能力を世界各地に展開する演習を行っていると指摘している。
報告書では中国が活発な軍事行動を示した例を列挙している。
- 2016年5月、人民解放軍空軍戦闘機編隊が危険な迎撃飛行を米軍EP-3にしかけてきたためEP-3は急降下し空中衝突を避けた
-  2013年、PLA海軍艦船が米誘導ミサイル巡洋艦カウペンスの進行方向を横切る操艦をしあっため巡洋艦は慌てて進路変更で衝突を避けた
- 2009年米海軍所属インペッカブルが海上民兵の小舟艇多数に南シナ海でいやがらせをうけた
- 2001年、PLA海軍戦闘機が米海軍EP-3偵察機と南シナ海上空で空中衝突した
さらに南シナ海の島しょ部に地対空ミサイルや戦闘機を配備したことと「航空排他圏」を一方的に宣言しているのも中国の挑発の近年の例だ。これに対し米軍はB-52爆撃機に上空飛行させ誇示したが、改めて中国の強硬な態度を浮き上がらせた。また中国の「陸地造成」と領有権主張が南シナ海で進み、米国も「航行の自由演習」で中国の主張に対抗している。
地球規模で兵力を展開することで中国が影響力を行使することに対して議会報告書は世界各地での中国演習の実施状況をまとめている。
- 2012年、中国は初の国連平和維持部隊として実戦部隊を南スーダンに送りPLA工兵隊医務部隊を護衛した。
- インド洋での展開として2014年初頭に中国水上艦艇が遠征訓練を行い、途中南シナ海を通過し、インド洋東端に到着してフィリピン海経由で帰国した。23日間の展開でPLA海軍は対潜、対空、電子の各戦闘訓練とともに補給活動を試した。
- アデン湾で海賊対策を続ける一方で中国は情報収集艦をインド洋に2012年派遣し、潜水艦四型式(原子力、通常動力双方)もインド洋に展開した。
2016年度版報告には中国の軍事近代化をとくに述べた章があり、艦船、兵器、航空機の改良や新造に頁を割いている。
米軍の世界的展開力に匹敵するだけの実力を中国が手に入れるには今後数年にわたる努力を怠れないとの指摘もある。
「各種作戦の支援、継続、防御のためPLAには大型揚陸艦、大型輸送機、兵站支援能力の整備に加え指揮統制能力の向上が欠かせない」
中国海軍
中国海軍の技術水準は米艦船より劣るものの、今後数十年以内に差は埋まるとみられる。中国が次世代ハイテク艦船や兵器等海軍装備の整備に向かっているためだ。
中国海軍の戦闘艦は2020年に351隻にする計画があり、地球規模での攻撃能力の整備を目指している、というのが報告書の指摘だ。
2014年度版報告では議会への提言として米海軍が建艦数を増やし太平洋地区でのプレゼンスを確保するのが望ましいとしたが、米海軍はすでにこの方向で作業を開始している。
ただしこの戦略への反対者は米海軍に空母11隻があるが中国の唯一の空母は空母運用航空戦力が劣ると指摘していている。それでも中国は国産空母の連続建造を開始しているが。
今後を展望すると2016年度版報告では「将来の中国空母は米空母と同様の艦容となりPLA海軍は艦載機に重装備を積み対艦、対地攻撃を行うだろう。DODは中国は15年以内に空母を5隻建造し、全6隻体制にするとみている」
委員会では中国が開発中の艦および兵装システムで米空母・水上部隊の活動で戦略構図が変わるとしている。
そこに加わるのが旅洋III級新型駆逐艦で今年就航するとみられる。同級は垂直発射式長距離対艦巡航ミサイルを運用し、HHQ-9対艦ミサイルは長距離射程が特徴だと委員会は指摘している。
同級は多用途駆逐艦として空母護衛にあたると見られ、米海軍が空母打撃群に駆逐艦を随行させているのと同じだ。
「排水量8千トンの旅洋III級はフェイズドアレイレーダーと長距離SAMで地域大の防空能力を実現する」と2016年度版報告が指摘する。
中国は空母運用に新型戦闘機をJ-15の名称で開発中だ。
揚陸強襲艦として中国は玉昭YUZHAO級LPDの建造を続けており、各艦800名ヘリコプター4機さらに装甲車両20台までを運送できる。
「玉昭級はエアクッション揚陸艇4隻も運用でき兵員を長距離展開できることからDODは中国海軍がこれまでより遠距離へ作戦展開する能力が実現したことに注目している」
さらに野心的な次世代揚陸強襲艦の建造を狙っている。「玉昭級を上回る規模の揚陸強襲艦の建造を目指し、飛行甲板でヘリコプター運用を狙う。081型は4隻から6隻の建造となり、兵員500名をヘリコプターで運ぶ強襲作戦用だ」とあるが米海軍の最新鋭ハイテク艦アメリカ級揚陸強襲艦の実力には及ばないと見る向きもある。
055型巡洋艦は対地攻撃ミサイル、レーザー、レイルガンを搭載すると報告書は指摘。
水上艦艇を補完するのが少なくとも60隻あるといわれるHOBEI紅稗型誘導ミサイル艇であり今後就役するJIANGDAO江島級軽フリゲート艦だ。
委員会は中国の軍事近代化で攻撃型潜水艦、核ミサイル潜水艦SSBNにも注意を喚起している。中国のSSBNはJL-2核ミサイルを搭載した哨戒に出ており、射程は4,500カイリに及ぶ。さらに長距離のJL-3の搭載をめざしていると報告書は指摘。
委員会が中国の軍事支出の総額を把握するのは困難と認めているが、2014年時点で1,310億ドルと見られ、対前年比12.2%増だった。この規模は米国防予算のほぼ六分の一だ。中国国防予算は1989年以来二けた増を続けており、2008年比で二倍になっている。
米議会には前下院軍事委員会シーパワー・兵力投射小委員会委員長だったランディ・フォーブス議員(共、ヴァージニア)のように米海軍拡張とともに中国に厳しい態度に出るべきと主張する向きがある。
中国空軍
米空軍の中国に対する航空優勢は急速に減少しており、中国の空軍力の近代化がそれだけ早いことを意味する。戦闘機、ミサイル、空対空装備、輸送機、ステルス機が目立つとペンタゴンはじめ関係者が見ている。
2014年版報告書の提言は外部審議会を設け米中軍事バランスの評価とともに米軍事構想と予算規模に関する提言を募れというものだった。2014年の時点であるが、報告書は詳細かつ洞察力に富んだ指摘を中国空軍の技術水準、進展、開発ぶりにあてていた。
委員会は報告書作成にあたり各種証言、他の報告書、分析内容の他各種オープンソース情報を活用した。
報告書によれば人民解放軍に配備されている作戦機は2,200機でうち600機が新鋭機材とされる。
「1990年代初頭の中国にはPLA空軍を短距離防空専用の存在から多用途部隊として兵力投射用の航空戦力に変貌させる構想があった」と報告書は述べている。
ステルス機について報告書はJ-20試作機の飛行について述べ、同機はアジア太平洋地区でずば抜けた高性能機と評している。中国はJ-31のテストも続けているが、その用途は依然不明だとしている。
瀋陽J-31ステルス戦闘機が珠海航空ショーに展示されたのは2014年であるが、同機が米F-35に匹敵する性能を秘めていると断言できる専門家は多い。
それでも米技術の優位性は急速に失われつつあると指摘し例として報告書では米中の戦闘機を比較した専門家の所見を引用し、20年前と今日を比較している。
1995年のハイテク米戦闘機F-15、F-16やF/A-18の優位性は中国のJ-6に対して圧倒的だった。しかし今日ではJ-10やJ-11はほぼF-15に匹敵する実力があると報告書は指摘。
しかもJ-10、J-11にとどまらず、中国にはロシア製Su-27やSu-35があり、さらに新型Su-35もロシアから購入する一歩手前だとする。
「Su-35は強力で高性能機で航続距離、燃料消費で大きな進歩を遂げている。これで中国は台湾海峡での航空優勢を確保しながらリバースエンジニアリングで同機の部品装備を自分のものにするだろう。とくに高性能レーダーとエンジンがねらいのはずで、今後の中国国産機に流用するはずだ」
ステルス技術、ハイテク機、高性能エイビオニクスに加え中国は空対空ミサイル技術でもこの15年で飛躍的な進歩を遂げたと報告書は指摘。
「2000年時点で中国戦闘機はすべて有視界範囲でしかミサイル運用できなかった。それが15年で高性能短距離中距離空対空ミサイルを実用化し、精密誘導弾は全天候衛星誘導方式で放射線追尾型ミサイルもあり、レーザー誘導爆弾も加わった。さらに長距離高性能航空機発射式対地攻撃巡航ミサイル、対艦巡航ミサイルもある」
報告書が注目するのはY-20新型戦略輸送機だ。テスト中だが米空軍のC-130の三倍の空輸能力を誇る。空中給油機に改装すれば空軍機の活動範囲が飛躍的に伸び、空中兵力投射能力がさらに遠距離で実現する。
現時点での中国には近代的な給油機はそろっておらず、機材も空中給油能力を前提にしていないものが多い。到達距離に限定が生まれている。
「PLA海軍の初の空母航空戦力が実戦化するまでに空中給油機で中国本土から離れた地点での運用能力確保が必要だ。現在は給油機として1950年代のH-6U給油機が12機あるに過ぎない。これでは作戦支援の継続は無理だ」
報告書ではロシア報道を引用しロシアが新型S-400地対空ミサイルの中国向け売却を承認したと指摘している。
「売却交渉は2012年以降続いていた。S-400で中国の防空範囲は現行の125から250マイルが倍増し、台湾全土もカバーできるほか、尖閣諸島や南シナ海一部も同様だ」
報告書ではカタログ情報だが中国の核兵器、長距離大陸間弾道ミサイルで運用中のDF-31、DF-31Aに加えDF-41の開発が始まっていると指摘。
道路移動式ICBMも運用中だが、DF-41は再突入体を10個搭載すると専門家はみている。■
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