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★ペリー級フリゲート艦の再復帰を狙う米海軍だが...



50隻以上を連続建造し、海外でもライセンス建造されたペリー級は旧式とはいえコストパフォーマンスの高いフリゲート艦だったのですね。つじつま合わせのような今回の再就役構想ですが、次期フリゲート艦への影響も与えそうです。限定された就役となりそうですが、その行方には十分注目する価値があると思います。設計がすぐれていたのでしょうね。日本の場合は計画的に護衛艦など用途廃止していますが、いかんせん同時大量建造しておらず、完全に解体していますし、かりに用途廃止艦を再復帰しようにも運用科員が不足しますので実施は無理でしょうね

 


The U.S. Navy Wants to Bring Back Some Old Frigates (That Can't Fight) 米海軍が旧式フリゲート艦の現役再復帰を企画中(ただし戦闘能力はなし)

September 25, 2017


  1. 米海軍が退役済みオリバー・ハザード・ペリー級誘導ミサイルフリゲート艦の最大7隻程度の再就役を真剣に検討している。米海軍の水上艦隻数を確保するねらいがある。
  2. だが海軍は各艦を近代化改修せず、兵装追加もおこなわないと海軍長官リチャード・V・スペンサーRichard V. Spencerが言明している。
  3. 中東や混雑し危険な西太平洋に派遣せず、排水量4,100トンのペリー級はカリブ海で「限定的麻薬輸送阻止任務」に就かせるとスペンサー長官は述べている。
  4. 麻薬密輸阻止任務に投入されれば現行の駆逐艦や沿海域戦闘艦(LCS)がもっと高度のミッションに使えるようになるが、議会は軽装備艦を艦隊に復帰させる案に懐疑的だ。
  5. ペリー級は1977年から1989年にかけ調達され、冷戦期で対空ミサイル、ハープーン対艦ミサイルと対潜ヘリコプター二機を搭載し使い勝手が良い艦として活躍した。
  6. また頑健な艦でもある。上部艦橋はアルミ製だが、1987年にUSSスタークはイラクのエクゾセミサイル二発の攻撃に耐えた。USSサミュエル・B・ロバーツは1988年にイラン機雷に接触したがこれも生き延びている。2016年の実弾園主杖退役艦サッチはハープーン4発命中に耐えヘルファイヤ、マーベリック各ミサイル数発も命中し、魚雷一発と爆弾2発が命中しても沈没まで12時間を要した。
  7. だが海軍はアーレイ・バーク級駆逐艦を優先し、フリゲート艦は退役させるに任せた。2000年からペリー級のミサイル発射装置撤去が始まり、各艦は防御用に砲しかつかえなくなった。
  8. 晩年にはラテンアメリカで麻薬阻止パトロールに投入されたほか、二隻にファイヤスカウト無人ヘリコプターが搭載されアフリカ沿海で特殊部隊支援にもあたった。最後の現役艦USSシンプソンの用途廃止は2015年9月だった。
  9. 海軍が一部ペリー級の現役復帰案を検討し始めたのはドナルド・トランプ大統領の就任式典があった2017年1月ごろだ。トランプはオバマ政権のレイ・メイバスRay Mabus海軍長官がすすめようとした第一線艦船280隻を最大355隻程度まで拡大する構想を支持していた。
  10. バーク級駆逐艦の追加調達、攻撃潜水艦や多用途海上輸送艦の建造が検討された。一時は2009年に退役した空母キティ―ホークの再復帰も検討されたが冷笑を買っただけだった。ペリー級の現役復帰に抵抗は少なかった。国防総省は一部ペリー級を海外に支給していたが7隻が国内に残っている。
  11. スペンサー長官からはフリゲート艦復帰費用は高額ではないとの発言がある。台湾がペリー級二隻を再就役させたが、費用は各艦35千ドルにすぎなかったという。
  12. だが費用には近代化改修は入っていない。「戦闘システムには手を付けず航行可能、レーダー稼働可能の状態とする」とスペンサー長官は発言。「これなら安価に性能証明済みの艦がすぐ使える」
  13. ペリー級を運用中の外国海軍は近代装備を追加しており、好例がオーストラリアだが、米海軍は再就役で重装備を導入する予定はない。「トマホークをいまさら装備しても意味がない」とスペンサー長官は述べている。
  14. 旧型ペリー級を再就役することの悪い点は使い勝手で制約がつくことだ。麻薬密輸の阻止には最適だが、フリゲートには自艦防御能力がない。そのため重武装の敵艦を攻撃できない。
  15. 同じ問題は沿海域戦闘艦にもあてはまる。ペリー級の後継艦として海軍が導入中の艦種である。当初は対空対艦ミサイル装備なしで導入されたLCSは危険地帯での第一線投入には不向きとされた。
  16.  2016年初頭にジョン・マケイン上院議員(上院軍事委員会委員長)はLCSでは敵艦を沈める能力が不足しており、「敵が軽装備の小舟艇で極端に近距離にない限り無理」と述べている。
  17. 議会の圧力に負けて海軍は2015年にLCSを計画52隻から40隻に削減し新型誘導ミサイルフリゲート艦を十分なミサイル武装付きで導入すると発表せざるを得なくなった。米国ならびに海外造船所が新型フリゲート艦20隻の建造を2020年に開始したいと競い合う。
  18. その一方でペリー級は艦隊規模拡大の一助として控えめかつ限定的な任務に投入される。だが海軍が同級に大規模改修を認めない限り、旧式フリゲート艦を再就役させても米海軍の規模拡大では短期間かつ部分的な効果しか期待できない。いかなる場所でも戦闘能力のある艦が必要なのだ。■
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