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★米海軍空母代替策検討より やはり小型空母ではよい結果は期待できない



 

フォード級が最後の超大型空母になるのか、革新的な小型艦建造が始まるのか、中間の新型艦になるのか、このRAND報告についてはすでにお知らせしましたがやや詳しい解説が入っていますのでNational Interestからお伝えします。小型艦では国防の役に立たないという結論ですが皆さんはどうお思いになりますか。

 


Why Building 'Baby' Aircraft Carriers Would Be a Bad Idea for the U.S. Navy

「小型」空母建造が米海軍に悪い結果となるのはなぜか
October 21, 2017


  1. 今回発表された米空母の将来像に関する研究は以下のように要約される。意味ある内容は負担なしでは手に入らない。
  2. 海軍は小型で安価な空母を130億ドルするフォード級のかわりに導入できる、とRAND研究所が新しい研究で発表した。だが小型かつ安価な空母は性能が限定され、海軍は有事の際に有効な航空戦力を地上作戦の支援に提供できないだろう。
  3. RAND研究成果は2016年の海軍委託研究の一部を公開したもので、議会がフォード級より安価な選択肢はないか調べさせたものだ。
  4. RANDは四つの選択肢を提示している。
- CVN-8X: フォード級(排水量10万トン)をやや小型化している。核燃料は交換不要で40年間稼働する。フォード級では20年ごとの交換が必要だ。カタパルトも現行の4基が3基に減らされる。
- CVN LX: 7万トンで1950年代のフォレスタル級(初の「スーパー空母」)に近い。核・通常動力のハイブリッド方式で推進し、原子炉はひとつだけでニミッツ級フォード級の二個と異なる。相当の航空戦力を搭載し、ニミッツ級を上回るほどだが、速力が下がり残存性はフォード級より劣る。航空戦力も出撃回数が減る。
- The CV LX: 43千トン通常動力で揚陸強襲艦アメリカ級を原型とする。カタパルトがなく、F-35B25機を搭載するが一日あたり50ソーティーしか実施できない。早期警戒機や電子戦機材を搭載せず、「従来型大型空母あるいは地上基地の支援が必要で、敵の航空戦力が強力な地点では運用できない」CV LXは有事に即座に第一線に投入できる装備ではない。航空戦力が不完全なためでAEWやEA機材がないのがその原因だ。
- CV EX: もっと小型の2万トン赤ちゃん空母で通常動力で短距離離着陸機6機から10機搭載するのはイタリア空母かヴォールに近い。CV EXは25億ドルと一番安いがフォード級の戦力を実現するには四隻が必要とRANDは試算している。「CV EXはCV  LX同様の制約があり、飛行甲板は小さく、燃料・弾薬搭載量も限られ低レベル紛争にしか対応できず、またはCVN補助にしか使えない」(RAND報告書)
  1. RANDは特定の選択肢を推奨することは避けているが、報告書からは建造費が安ければ性能も下がることになるのは明らかだ。現在の固定翼機としてF-35Cがあるが運用するには空母にそれなりの大きさが必用なのは格納庫や拘束ギアを見れば明らかだ。小型空母では短距離離着陸のF-35Bやヘリコプタ―を運用することになるがE-2早期警戒機やEA-18電子戦機の運用はできない。
  2. 性能が限定されると米国の戦争の仕方にも影響が出る。陸上運用機が到達できない遠隔地では空母航空戦力がどうしても必要だ。「フォード級の性能はフォード級の規模の投資が必要だ。代替策は低価格だが、一部機能が実現できなくなってもそれ自体で決定的に劣るわけでないものと(一日当たりソーティー生成量)とそうはいかないものがある」とRAND報告書の共同作成者ブラッド・マーティン(退役海軍大佐)が本誌に語っている。
  3. RANDが説明するような大型原子力空母のどちらかを選択しても海軍には大きな変化にはならないはずだ。だが残る通常型二型式の場合は異なる。ニミッツ級後継艦に選択した場合は米海軍の作戦能力が大きく下がる、とマーティンは見ている。「統合航空戦力を運用できるかがカギだ。攻撃、防御両面で戦力を形成できるからだが、艦船以外の手段による代替策も利用でき、陸上からの空中早期警戒やC2能力がこの例だ。
  4. では最良の選択肢はどれだろうか。ひとつではない。フォード級と大差ない大型艦を建造するのか、小型だが大幅に能力が下がる艦を建造るのかのいずれかだろう。■
Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook.
Image: Wikimedia Commons.


コメント

  1. 8~10万tクラスの能力を維持しつつパワーユニットの規模を抑えるためにマルチハル構造は活用できないでしょうかね。
    目下小型艦艇向けの技術として共同研究のさなかにあると思いますが、大型艦船に応用できれば速度性能や航続性能を落とすことなく能力を向上または維持できるのではないかと思います。
    どの案が良いかと言われればA案B案なんでしょうが、C案D案もミックスできる領域があるのではとも思います。
    空母のに期待される機能は1に打撃力、2にセンサー(AEWや対潜哨戒機等)提供能力、3に艦隊航続時間の延伸だと考えますが、打撃力もしくはセンサー能力に特化するのであれば、ひゅうが型護衛艦のように規模を縮小可能であると思います。
    センサー提供能力に特化した対空・対潜センサー機プラットフォーム(いわば純粋な「盾」)としての空母であれば、B案C案の中間程度のものでもかなり使えるのではないかと考えています。
    太平洋からインド洋においては、近い将来においてこの形態の空母を海上自衛隊が運用することに一定の合理性(米軍空母戦闘群の打撃力最大化)があるとも考えています。

    返信削除
  2. これってそもそも10隻しかない正規空母のやりくりが厳しいから小型空母を導入して正規空母を投入する程でもない案件に対応させようって話じゃなかったんですかね?
    要するに空母版LCS。
    記事を見ると大型原子力空母をまるっと代替可能か否かって話になってて趣旨が変わってるような・・・。
    電子戦機は改修型EF-35Bの兵器倉に内装出来る電子戦機材を作ればいいし警戒機はオスプレイAEWでいけるでしょうが、そこまではする気が無いって事でしょうね。

    返信削除

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