予算確保のため米軍は厳しい状況を意図的に伝える傾向があるのですが、米空軍の状況は実際に悪いようです。予算削減が続く中でしわよせが人的資源に現れた結果と思われますが、再建に数年かかるでしょう。その間に北朝鮮とイランという最悪の組み合わせで戦闘が始まれば戦勝の実現はおぼつかないというのが今回の報告書の指摘でしょうか。
Influential Think Tank Warns Of Drop In Fighter Capability
有力シンクタンクが米空軍戦闘機兵力の減衰に警鐘を鳴らす
F-15: Boeing
- トランプ政権に近いワシントンの有力シンクタンクが米空軍の戦闘機戦力の低下に警鐘を鳴らしている。
- ヘリテージ財団による「米軍事力指標」によれ戦闘機数がば昨年から大幅減少し空軍の第一線戦術戦闘機は現在923機とある。昨年より236機の減少で、ヘリテージが算出した二大戦役同時勝利に必要な水準1,200機からも277機不足している。同財団はこの機数を基準にして米戦力を評価した。
- パイロット不足も1,000名の大台に近づきつつあり、整備陣が3千名も不足しているため米空軍の有事対応力は減衰中と報告書で指摘した。
- 総合評価では米空軍の戦力、規模、即応体制は「最低限」と評価し、いいかえると現時点で同時に二方面で大規模戦に米国が巻き込まれると現状の戦力水準では要求にこたえられない。
- 総合評価は昨年から大きくは変わっていないものの訓練・機体整備両面の不足に加えパイロット自身の自己評価でも退潮は明らかとしている。
- 米空軍が状況悪化の進行を食い止められない一方で海外の敵勢力は戦力整備にまい進しているとヘリテージが強調している。
- 「米空軍の総合戦力評点は下降を続けており、米国の航空優勢確保は潜在敵国の技術力向上により脅かされている」と報告書はまとめている。同財団が特に懸念するのはF-15Cの第一線配備が106機しかないことで同型が全機退役した場合に生まれる能力ギャップだ。
- 朗報もある。F-35Aは価格面、日程面、さらに技術面で苦労を経験してきたが新戦力として期待できる存在に育ってきたと同財団は評価している。「同機パイロットは機体に多大な信頼感を寄せており、同機事業にはずみがついてきた観がある」
- 総合するとヘリテージ財団の評価は米軍の現時点の姿を「最低限水準」で「弱体化」に向かいつつあるとしており昨年版から変化はない。つまり、現状の部隊戦力で大規模地域戦闘が一つ発生するなら対応は可能だが、「それ以上になると苦しく」なり大規模戦闘が二つ同時進行で発生すると「装備不足」は否めないとする。
- ヘリテージ採点では米陸軍・海兵隊は「弱体」としながら米海軍は「必要ぎりぎり」としている。
- 同時に米核戦力も「最低限」としたのは旧式化著しい装備に依存しているためで潜在敵国の「野心的な」戦力整備に比べると「著しい」違いがあるとする。ヘリテージはロシア、中国、イラン、北朝鮮の事例をあげ、とくに北朝鮮のミサイル試射のペースが急であると指摘している。■
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