ここにきて目だつSR-72関連記事ですが、比較的まとまっているのでご紹介します。実際に機体が完成しており、飛行しているとしたらなぜ縮小機が飛ぶのでしょうか。あるいは全く別のプロジェクトなのか。こういう謎の機材の登場にはわくわくさせられますね。
The Enigmatic SR-72 And the Palmdale Sightings: What Do They Tell Us About America’s Secret Hypersonic Program?
謎のSR-72とのパームデール目撃談:米国は極超音速機を秘密裏に開発しているのか。
The Media is Full of Speculation, But What Do We Know and What Can We Predict?
観測記事が続くが、何が分かっているのか、何が期待できるのか。
Oct 12 2017 - 1 Comment
2017年最大の航空宇宙関連ニュースは米空軍第42製造飛行テスト施設(カリフォーニア州パームデール)で謎の新型機が着陸する様子が「複数の目撃例」が報告されたことだ。正体は何だったのか。
Aviation Weekのガイ・ノリスがまずスクープした。2017年9月27日にノリスはこう伝えていた。「Aviation Weekが得た情報では無人小型実証機が米空軍第42工場があるカリフォーニア州パームデールで目撃され、同機は数時間にわたる飛行を終えて7月末日付不明の早朝に着陸しT-38が二機随行していたという。同地にはスカンクワークスが本拠地を置いている。ロッキード・マーティンは目撃情報へコメントを拒否している」
カリフォニア州パームデールの米空軍の第42製造テストフライト施設、初期の様子 (Photo: USAF)
ノリスを受けて現れた記事はほぼ全数が目撃された無人機は新型全地球対応極超音速の遠隔操縦機(RPA)とみており、情報収集監視偵察機(ISR)開発に関連し、小型版から有人実寸大機体に発展するとみている。今回の目撃から完全版有人機へは飛躍があるが、ロッキード・マーティンが沈黙を保っていることから目撃談が余分な憶測につながるのを防ごうとしているのが分かる。
だがこれまでも話題に上っている新型有人機、多くのメディアが「SR-72」と呼んでいる機体についてはとんでもない誇張ではないはうで、マッハ6超で世界規模の航続距離を有し、低視認性機体で攻撃能力も有するといわれる。これらはSR-71後継機に求められる性能内容でもある。
米空軍の第42製造テストフライト施設はカリフォーニア州パームデールにあり、SR-71とF-117が屋外展示されている。 (Photo: USAF)
新型戦略偵察機の役割を考えると有人無人操縦を問わず、高速偵察飛行(攻撃も含む)のミッションをこなすため以下四つの性能が備わって戦略ISR/グローバル攻撃ミッションを実現するはずだ。
1. 高度の低視認性。敵側が偵察されていると悟れば収集情報の意味や内容が低下してしまう。ステルス超高速情報収集機で攻撃も行えれば情報を集め、画像情報も各種集めつつ探知を逃れられる。
2. タイミング。マッハ6超と伝えられる超高速機が偵察対象地区上空を飛行するのは一瞬で地上にすぐ帰還すれば収集情報の解析に役立つ。
3. 探知されても迎撃が困難。SR-71の最大の防御能力はマッハ3超の速力と高高度飛行能力だった。ミサイルのほとんどより高速かつ高高度を飛行し迎撃機も追いつけない。ただし探知能力、戦術、機材、兵装、地対空ミサイルも進歩しており、間もなく配備されるといわれるビーム兵器が中国にあることから一層高速かつ高高度飛行性能が求められている。
4. 有人機設定なら機内で意思決定が可能だ。有人機では乗員のリスクもある一方でミッション途中で柔軟な決定も可能だ。ISRではこのことは重要で戦略攻撃でも同様だ。ICBMや巡航ミサイルでは再攻撃や攻撃途中での中止は困難だが、有人機なら超高速、超長距離性能を維持しながら人間の力で意思決定が可能だ。この事は経験則ならびに戦意の双方で重要だ。
では上記四点の性能がわかったところで想定される「SR-72」機が投入される対象地と役割は何だろうか。現時点近未来の戦略状況をにらむと以下四つのミッションがSR-72に想定される。
1. 北朝鮮。危機は開戦寸前まで高まっているが、平壌がミサイル核開発を続けており論調も好戦的だ。北朝鮮のテストを正確かつタイムリーに監視できれば危機発生時の対応に重要だ。戦略偵察機でステルス、高速飛行可能ならば第一撃効果も事態の急速な変化があっても十分効果を上げられる。
2. イラン。米政策で方針転換がありそうでイランも核開発を断念する動きがない中でリアルタイム情報収集は必須だ。イランを取り巻く政治状況と外交選択が変更する中でイランの核開発の最新状況の情報収集、画像収集を秘密裏かつタイムリーに行う必要がある。監視衛星も視覚赤外線さらに電子情報等全域にわたる情報収集が可能だが、大気中での情報収集は不可能で、これが核実験の探知に不可欠なのだ。スパイ衛星の軌道を変更させるより高速低視認性大気圏飛行偵察機材が望ましいのは明らかだ。
3. シリア。シリア内戦をめぐりロシアとの関係は微妙なまま今日に至っている。だが事故の発生危険は残る。リアルタイム準リアルタイムでシリア、ロシア両軍の活動情報を収集することで各国との利害が調整でき同士討ちのリスクやその他偶発事故の発生を防げる。また情報が米国に独占的に入れば戦略情報優位性が確立される。
4. 今後発生する世界各地の危険。米国はアジア、アフリカ、中東の紛争と地理的に隔絶されている。だが戦闘地区から距離があることから機先を制した対応が世界規模での紛争に必要だ。このため長距離超高速飛行でタイムリーな情報収集が必要で新型低視認性ISR/攻撃機材が必要だ。この状況は今後も変わることはないだろう。
世界各地で紛争が発生し、米国にはステルス長距離高速性能の戦略偵察機の必要が今後も続く。 (Photo: Center for Preventative Action)
開発中の新型戦略偵察攻撃機は実戦化まで数年かかる段階なのかあるいはすでに就役している可能性もある。F-117ナイトホークは1981年に初飛行したが公式発表は1988年であったのを思い出してもらいたい。7年間もの間秘密のままだった。現在は秘密保持が従来より困難な時代だが公式発表の内容より実態がずっと先に進展している可能性は十分ある。
F-117の小型試作機は「ハブブルー」と呼ばれパームデールを秘密裏に富んでいたが目撃情報は出なかった。(Photo: USAF)
1985年の時点で国防予算に85百万ドルが「オーロラ」の呼称のプロジェクトに計上されていた。1987年までに23億ドルに増えている。一部報道では米空軍はSR-71後継機に1988年段階で着手していたとある。
その後の報道では Jane’s DefenseやAviation Week & Space Technologyといった信頼性の高いメディアが正体不明の機体がネリス試験場で飛行しているのを聞いた、見たとの報告を伝えている。
有名な目撃体験が北海で1991年に発生している。スコットランドの石油技師クリス・ギブソンが「完全な二等辺三角形」機体がKC-135ストラトタンカー給油機、F-111の二機と飛ぶのを目撃した。ギブソンは英軍監視部隊に勤務し経験豊かな航空機スポッターだ。ギブソンの目撃談には別の目撃者もあるがいまだに説明がついていない。
クリス・ギブソンが1991年に北海で目撃した機体からはSR-71後継機の初期の目的事例のようだがいまだに説明がつかない。(Photo: Chris Gibson)
各種目撃談や判明している情報をまとめてみたが、全地球範囲で求められる情報収集機材で必要となる性能との差が大きい。となると実際のプロジェクト内容が判明し公開されれば世紀の国防航空記事になるのは必至だろう。■
Top image: Distributed briefing slide showing conceptual image of SR-72 with SR-71. (Photo: USAF)
https://theaviationist.com/2017/10/12/the-enigmatic-sr-72-and-the-palmdale-sightings-what-do-they-tell-us-about-americas-secret-hypersonic-program/#iB2yLvjFkXEUMe7f.99 で詳細を読む
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