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防衛体制の今後、甘い期待の日本が米国に梯子を外される日



あくまでも現状の延長線を予期する日本側に対して米国はもっと先の選択肢を想定しているようです。都合よく考える日本側の論理(例 なぜ国境から遠く離れた地点の事態に日本が巻き込まれる必要があるのかとの一部野党主張)はどんどん現実からかい離していくとわかります。世界の(特に米中の)考え方を日本が正確に把握したうえで重大な決定をしていく必要があります。なかでも憲法改正特に第九条改正が待ったなしに思えるのです。日本のこれからの方向性は過去の延長線ではなく、あらたに設計する未来の設計図にあると思います。


Time to Let Japan Be a Regular Military Power

日本に軍事力整備を許す時が来た
American officials have forgotten the purpose of alliances: defense, not welfare. 米側は同盟関係の根本目的を忘れている。防衛であり、安泰ではない。
A Japanese Ground Self-Defense Force soldier takes part in an annual training session at Higashifuji training field in Gotemba, west of Tokyo, Japan August 24, 2017. REUTERS/Issei Kato
October 29, 2017


  1. 日本国民は安倍晋三首相を支持していない。首相には別の人物に務めてほしいと考えている。だが連立政権は衆議院選挙で三分の二議席を確保した。安倍首相はこの勝利をてこに防衛面での対米依存を終わらせることが可能だ。
  2. 第二次大戦終結後70余年たつが日本には先の戦争の負担がまだ残り世界における役割に制約が残っている。だが中国や北朝鮮の脅威が日本に向かい日本は積極的な外交防衛政策の採用を迫られている。しかるに米国が残した「平和憲法」がいまだに日本の手を縛っている。第九条が軍事力保有を禁じているのだ。
  3. 米国は大戦中のソ連との同盟関係の解消と中華人民共和国(PRC)の出現で態度を逆転し、日本の再武装化に理解を示すした。日本の政策決定層は憲法解釈により「自衛隊」(SDF)を創設した。現在も日本政府は憲法を変更せず戦争への強い嫌悪を示す国民とともに軍事支出に上限を課し、SDFの役割も変更していない。日本には都合いいことに米国が防衛してくれた。
  4. 日本の隣国は戦時中の日本軍の残虐な占領の記憶が残り、ワシントンが日本の完全軍備化を妨げたことを歓迎した。アメリカが「瓶のふた」の役目をしているといみじくも言ったのは海兵隊のヘンリー・スタックポール大将Marine Corps Gen. Henry Stackpoleである。日本に友邦国がないわけではく台湾がその例だが、韓国、フィリピン、中国、オーストラリアはおしなべて日本の安全保障面での役割拡大に警戒的だった。さらに二十年間の日本経済の不振でSDF予算の大幅増は困難だった。
  5. それでも日本は相当の実力のある軍事組織を整備している。予算支出は昨年は500億ドル近くになった。陸軍部隊は小規模ながら海軍空軍部隊は相当の能力があり近代装備を保有している。だが外部脅威は日本の支出規模を凌駕している。
  6. PRCは日本の四倍の軍事予算を使う。さらに核兵器も保有している。過去二回の対日戦では無力だったが、現在の軍事力は着実に伸びており、日本との差は開くばかりだ。東京のテンプル大学のジェフ・キングストンJeff Kingstonは「軍事競争では一方的に中国が有利だ」と解説している。チャイナデイリーUSA版は「好戦的な阿部」が軍事支出を増やしているが「日本にここまでの軍事装備は安全保障上不要だ」と述べている。
  7. 北朝鮮は別の課題だ。平壌の通常軍事力は朝鮮半島外に展開する能力は皆無に近いが、核兵器を整備中であり、化学生物兵器もある。ミサイルで日本を容易に標的にし米国同盟国も狙われる。
  8. 安全保障環境の悪化が日本に圧力となっている。安倍首相は2012年就任後から日本に強い役割を模索している。防衛予算増、新型兵器の導入、SDFの一層広い役割を提言し、自衛隊はイージスアショアミサイル防衛装備、トマホーク巡航ミサイル、F-35戦闘機を主な関心対象とする。
  9. 2014年には第九条の解釈変更で限定的ながら「集団的安全保障」に道を開き、攻撃を受けた米軍への防御が可能となった。日米防衛協力ガイドラインも翌年に変更している。
  10. こうした変更は論議を呼んだが内容は中途半端である。集団的安全保障は合憲と解釈されるようになったが、極めて狭い範囲での実施しか想定していない。道下徳成政策研究院大学院大学教授は新措置では日本自体の安全が危険にならないと米艦船の防御はできないと見ている。さらに日本政府は第九条改正を実現していない。このため軍事行動の選択肢は狭まったままだ。インディアナ大のアダム・P・リフAdam P. Liffは「憲法改正がないままだと一層大規模に第九条の解釈を変更しようとるか、日本の軍事力の海外展開は国内政治再編でもない限り実現不能のままだろう」と述べる。
  11. 安倍首相は北朝鮮への対抗を名目に変更を推し進めようとし、有権者の恐怖を利用した。選挙公約を念頭に安全保障関連で政策推進を一層強く加速するかもしれない。リフは「憲法第九条の解釈の変遷は戦略環境や国内政治の動静が大きく推進してきた」と述べている。小野寺五典防衛相は防衛装備品取得のガイドラインに手をつけ、巡航ミサイル等の新兵器導入を検討し敵基地攻撃能力の整備を検討するとの発言があった。政府は再び憲法改正の政治課題を俎上に載せそうだ。国内エリート層には核兵器取得の検討も見られる。
  12. ただしこうした変更に対する抵抗も熾烈だ。連立政権の相手公明党は安倍の動きに加わることに及び腰だ。財務省は巨額政府債務を軍事支出増の反対理由に挙げる。憲法改正に向けた首相の努力は支持率低下につながったが金正恩の無謀な動きで助けられた格好だ。国民も揺れ動いているがまだ時は熟していない。「日本国民はまだ決心していない」とMIT国際研究センターのリチャード・サムエルスRichard Samuelsは述べている。
  13. さらに憲法の制約を緩和する努力が不十分だ。政府が部隊構成や外交政策を変更すれば支出増とともにリスク増大も覚悟する必要がある。だが劇的な変化は可能性が低い。安倍政権は米国の安全保障の約束がこのまま続くのか確信を持てないようだ。だからといって日本が防衛責務を全部負担するつもりはない。一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブの船橋洋一からは「米国の日本防衛への取り組みが弱体化する」可能性を上げてこの動きにくぎをさす。
  14. 対照的に安倍政権は従来以上のコミットメントを米国に求めている。匿名条件で外務省関係者は「戦略的環境は従来より厳しく、一緒にどう対応するのかを検討せざるを得ない」と述べている。つまりワシントンと一緒にいうのだ。「米国には防衛姿勢を再確認してもらいたい。核抑止力も含まれる」と小野寺防衛相は日米閣僚級会合で発言している。「北朝鮮の脅威を念頭に揺らぐことのない米国のコミットメントを抑止力強化に向けることを確認した」
  15. ワシントンも対応している。8月の日米安全保障協議委員会(いわゆる2+2)の共同声明では両国が「日米同盟のさらなる強化に向けた具体策とアクションの展開の意向を共有した」と述べ、「在日米軍の安定したプレゼンスの維持」を含むとした。同席したティラーソン国務長官からは両国が「日本防衛のため米国の大幅な抑止力が大きな意味を果たし、アジア太平洋地区での平和安定にも役立っている点を強調した」と解説していた。
  16. 米国の関与を深めようと日本は北朝鮮への国際社会の一層の対応を後押しした。河野太郎外相は北朝鮮が「非核化への姿勢を明白に示した」ことへの対応とし「対話はない」と発言。安倍首相は「北朝鮮に前例のない高いレベルの圧力をかけ同国の政策を変更させる」と主張し、各国は協調して北朝鮮への「物資、資金、人員、技術の流れを止めて核ミサイル開発を阻止する」べきと主張。さらに必要なのは「対話でなく、圧力」と、ワシントンが主張する「すべての選択肢」がテーブルにある、つまり戦争についても支持を表明した。
  17. このように強硬な政策を示す日本として国力相応の軍事力整備が適当になろう。しかし道下教授は「防衛とはリスクヘッジであり、完全な防衛体制を整備しようとすればとんでもなく大きな予算が必要となる」と懸念を示す。日本政府の視点からすれば米国に任せればいいのになぜ自分で支払う必要があるのかとなるだろう。
  18. 日本政府の戦略は日本には良いが米国にはそうはいかない。米政府関係者は米国民に負担をさせながら覇権をもて遊ぶ立場だがドナルド・トランプ大統領は違う見方をしている。二年前のトランプは中国の脅威について聞かれてこう答えている「もしこちらが一歩引けば、米国の同盟国は自国防衛を充実させるのではないか」「どうしてこちらが各国を守る必要があるのか」ただしそれ以降本人は前任者の路線に方向転換しており、本人が忌み嫌うバラク・オバマも例外でない。
  19. もちろん、米国が東アジアに駐留するのは米国自体の安全保障のためと説明する向きがあろう。ただしそれは第二次大戦終結時の話だ。冷戦は終了した。ロシアが旧ソ連に代わり、日本は経済復興を遂げた。日本には自国防衛能力は十分整備できるし、隣接国と協調すれば地域大の安全保障態勢が生まれる。
  20. 一部にはさらなる日本の役割を期待する向きがある。ディヴィッド・フェイスDavid Feith はウォールストリートジャーナルで在日米軍5万人は「ワシントンで一番価値のある地域内紛争抑止効果」と述べている。そのほかにも同様の主張をする向きがあるが支持は得られていない。米軍が予防するという戦争はどんなものなのか。
  21. 中国と日本は尖閣諸島をめぐり対立中だが今すぐ開戦する状況ではない。だが武力衝突が発生したらどうなうか。豊かな日本が発生抑止に動かないはずがない。沖縄駐留の海兵隊遠征軍は日中戦というより朝鮮半島対応を想定しており、韓国が補助する想定だ。さらに中国台湾間の衝突をワシントンは回避する必要がある。台北は良き友人だが核装備している大国との戦いに巻き込まれる価値はない。台湾防衛に携わるより台湾を武装させる方がよい。
  22. これ以外の可能性は米国が完全に距離を置くべき小規模武力衝突となる。ミャンマー、タイ、カンボジア、ヴィエトナム、インドネシア、マレーシア他で戦争・衝突・崩壊の組み合わせで事態が発生するかもしれない。各事案で犠牲者が発生し不安定化が生まれるだろうが、米国の根源的な利益が危険になる事態ではなく、軍事介入の正当化はできない。アメリカがすべての問題解決にかかわる必要はない。
  23. 日本は自国防衛を全面的に進めるべきだ。だが日本の通常防衛力のみに責任を期待するのでは不十分だ。米国は核の傘を再考すべきだ。日本防衛で米国は東京防衛のためロサンジェルスを犠牲にするリスクを負っている。北朝鮮が米本土を直撃する能力を整備しても米国は無謀な動きに対抗して行動するのみだ。
  24. 明らかに米国は報復力で攻撃を抑止しようとしている。もし歴史上に見られるように抑止力にほころびが出ると戦闘は米本土に及ぶだろう。日本の軍事力整備力を考えればこのリスクを取るのは健全でない。日本国民は核戦力整備には抵抗があろうが、わずかな危険の可能性で防衛支出は米国が自国民に費用負担させる間は最小限に抑えられる。存亡のため今以上の努力が必要と理解できれば、日本は今と違う路線を選択するだろう。
  25. 残念ながら米関係者は同盟関係の意義を忘れてしまっている。安泰ではなく防衛だ。ワシントンは米国防衛のために条約を結ぶべきであり、他国防衛が目的ではない。第二次大戦後の米国は友邦国を専制勢力から適度に防御してきた。この戦略自体は成功してきたが、もう過去の話だ。ワシントンは外交政策で調整を必要としており、軍事力も呼応させるべきだ。今や強力で成功している米国の同盟国が十分に機能できる。米国は各国と利害が一致する範囲で協力を続け、各国では対応できない脅威に目を光らせばよい。各国で可能な内容を米国が自分で実行する必要はない。
  26. 米関係者は日本政府にいちいち指示するのはやめるべきだ。日本国民は自国の権益を考えて国防外交政策を決定すべきであり、アメリカの要望を満足させるのが目的ではない。ワシントンは意向を伝えるだけでよいのでありもっと大事なのは望まないことを伝えるべきだ。つまり安全の保証ではなく、部隊配備せず、日本のために戦闘に入る約束も不要だ。
  27. 米国は70年余も世界の警官の役目をはたしてきた。世界はその間に大きく変化している。そのため米国の政策も日本関係含め変更すべきだ。安倍首相は日本防衛で対米依存を一層強化する姿勢のようだ。ワシントンは逆に安全保障で自立化を日本に諭すべきなのだ。■
Doug Bandow is a Senior Fellow at the Cato Institute. A former Special Assistant to President Ronald Reagan, he is the author of several books, including Tripwire: Korea and U.S. Foreign Policy in a Changed World (Cato Institute) and The Korean Conundrum: America’s Troubled Relations with North and South Korea (co-author, Palgrave/MacMillan).
Image: A Japanese Ground Self-Defense Force soldier takes part in an annual training session at Higashifuji training field in Gotemba, west of Tokyo, Japan August 24, 2017. REUTERS/Issei Kato​


コメント

  1. 何だか偏った記事ですね
    安倍首相は支持されているし、沖縄の海兵隊は対朝鮮より台湾有事対応の意義が大きいでしょう

    返信削除

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