あれやこれやと色々問題が発生し思ったように進展しないKC-46A開発ですが、ボーイングも黙っているわけにいかず積極的な解決策に向け努力しているということでしょうか。もちろん自社負担分は同機導入を決めている日本向け機材に盛り込んで一部回収を図るのでしょうから高い買い物を日本は覚悟せねばならないでしょう。しかし日本の発表では3機導入というのは寂しいですね。
Upcoming KC-46 Tests To Focus On Key Deficiencies
10月のKC-46飛行テストは重要欠陥の解決を主眼に
ボーイングKC-46のフライトテストでは判明している給油機能関連欠陥三点のデータ収集が主眼か。
Boeing
- KC-46ペガサス給油機では10月のフライトテストで米空軍・ボーイングは欠陥三点の対処方針を決める。
- 固定価格開発は予定から遅れており、費用超過した分はボーイング負担となっている。空軍は給油業務で欠陥三点を指摘しており運用開始に先立ち解決を求めている。
- 喫緊の課題は二点で、給油相手機と接続解除するとブームが勝手に伸び燃料が流出すること、ならびに操作員が相手機の受け入れ口にブームが外れているか判断できず機体塗装に損傷を与えてしかねない点だ。
- この二点が認識されたのは今年早々だが、高周波(HF)通信機関連の問題が2016年末に見つかっている。
- HF通信では機体表皮をアンテナとして使うだがスパークやアーク電流の発生が見つかっている。空軍は通信が確実に作動し、かつ火災の恐れがあるため給油中は発信はできない構造にしたいと考えている。
- 各問題の解決は容易で安価に実現でき事業進展の支障につながらないはずだ。しかし米政府側は10月から11月のフライトテストでデータ収集が必要で最適解決策の決定はその後だとする。
- 空軍で給油機開発主査のドナ・シプトン准将Brig. Gen. Donna Shiptonおよびペガサス事業総括のジョン・ニューベリー大佐 Col. John Newberryからは各問題を注意深く監視しており、事業経費や日程への影響も間もなく把握できると発言した。
- 両名は9月22日に報道陣に対しボーイングが機体型式証明・引き渡しの前に各問題を解決する義務があると述べた。同社はすでに20億ドル超の追加負担が2014年以降に発生しているとの報道がある。原契約は2011年2月交付で仕様を実現するため必要な追加改修は全部同社負担となっている。
- 「システム検証を引き渡し前に行い、仕様を満たしているか確認します」とニューベリー大佐は述べた。「製造済み機体の後付け改修は全額同社負担となります」
- ただし問題点が当初のウェポンシステム仕様書で想定されていない場合は空軍予算で変更すべきか決定することになる。
- 政府支出増になりそうなのは「給油口以外での未探知コンタクト」 undetected contacts outside receptacle (UCOTR)の問題だ。この解決には高性能遠隔カメラの設置が必要となる。空軍報道官は9月20日にボーイングがカメラ費用を負担すると述べていたが、空軍は今は「フライトテスト完了後に仕様書準拠の決定を下す」としている。
- 空軍は過去の空中給油型式証明データを洗い出して給油口以外の箇所に接触した事例がよく発生しているのかを把握し、KC-46事例と比較しようとしている。空中給油テストが10月に再開されるとこの問題を精査することになりそうだ。
- この問題は特にステルス機の場合でリスクとなる。B-2、F-22、F-35の表皮が損傷すれば、敵レーダーに探知されてしまう。ペガサスはC-17、A-10、F-16、F/A-18へ給油したが、ステルス機への給油は未実施。
- シプトン、ニューベリー両名はボーイングが機体の型式証明取得に向け進展中と認めるが、政府想定の引き渡し開始は2018年春季で変更がない。
- ニューベリー大佐はKC-46開発は比較的「低リスク」事業とするが、いろいろ障害があり、遅延発生でボーイング負担が増えた。空軍の義務は49億ドル上限のままで、ボーイングが認めた固定価格契約の効果が生まれている。
- 大佐はボーイングは767-2C型を改装して軍用仕様KC-46としての型式証明取得を各問題を安易に考えすぎていたと述べている。
- 「複雑かつ広範囲の作業を低く見積もった結果で今同社は代償を支払っています。大局では進展がありますが、予定より遅いペースで進んでいます」
- ボーイングはまず34機を納入する契約に取り組んでおり、次の15機分の契約は来年1月に成立する見込みだ。最終的にKC-46は179機を空軍に納入する。■
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