スキップしてメイン コンテンツに移動

KC-46の開発最新状況:フライトテストで課題解決を目指す


あれやこれやと色々問題が発生し思ったように進展しないKC-46A開発ですが、ボーイングも黙っているわけにいかず積極的な解決策に向け努力しているということでしょうか。もちろん自社負担分は同機導入を決めている日本向け機材に盛り込んで一部回収を図るのでしょうから高い買い物を日本は覚悟せねばならないでしょう。しかし日本の発表では3機導入というのは寂しいですね。

Aerospace Daily & Defense Report

Upcoming KC-46 Tests To Focus On Key Deficiencies

10月のKC-46飛行テストは重要欠陥の解決を主眼に

Sep 23, 2017James Drew | Aerospace Daily & Defense Report

ボーイングKC-46のフライトテストでは判明している給油機能関連欠陥三点のデータ収集が主眼か。
Boeing

  1. KC-46ペガサス給油機では10月のフライトテストで米空軍・ボーイングは欠陥三点の対処方針を決める。
  2. 固定価格開発は予定から遅れており、費用超過した分はボーイング負担となっている。空軍は給油業務で欠陥三点を指摘しており運用開始に先立ち解決を求めている。
  3. 喫緊の課題は二点で、給油相手機と接続解除するとブームが勝手に伸び燃料が流出すること、ならびに操作員が相手機の受け入れ口にブームが外れているか判断できず機体塗装に損傷を与えてしかねない点だ。
  4. この二点が認識されたのは今年早々だが、高周波(HF)通信機関連の問題が2016年末に見つかっている。
  5. HF通信では機体表皮をアンテナとして使うだがスパークやアーク電流の発生が見つかっている。空軍は通信が確実に作動し、かつ火災の恐れがあるため給油中は発信はできない構造にしたいと考えている。
  6. 各問題の解決は容易で安価に実現でき事業進展の支障につながらないはずだ。しかし米政府側は10月から11月のフライトテストでデータ収集が必要で最適解決策の決定はその後だとする。
  7. 空軍で給油機開発主査のドナ・シプトン准将Brig. Gen. Donna Shiptonおよびペガサス事業総括のジョン・ニューベリー大佐 Col. John Newberryからは各問題を注意深く監視しており、事業経費や日程への影響も間もなく把握できると発言した。
  8. 両名は9月22日に報道陣に対しボーイングが機体型式証明・引き渡しの前に各問題を解決する義務があると述べた。同社はすでに20億ドル超の追加負担が2014年以降に発生しているとの報道がある。原契約は2011年2月交付で仕様を実現するため必要な追加改修は全部同社負担となっている。
  9. 「システム検証を引き渡し前に行い、仕様を満たしているか確認します」とニューベリー大佐は述べた。「製造済み機体の後付け改修は全額同社負担となります」
  10. ただし問題点が当初のウェポンシステム仕様書で想定されていない場合は空軍予算で変更すべきか決定することになる。
  11. 政府支出増になりそうなのは「給油口以外での未探知コンタクト」 undetected contacts outside receptacle (UCOTR)の問題だ。この解決には高性能遠隔カメラの設置が必要となる。空軍報道官は9月20日にボーイングがカメラ費用を負担すると述べていたが、空軍は今は「フライトテスト完了後に仕様書準拠の決定を下す」としている。
  12. 空軍は過去の空中給油型式証明データを洗い出して給油口以外の箇所に接触した事例がよく発生しているのかを把握し、KC-46事例と比較しようとしている。空中給油テストが10月に再開されるとこの問題を精査することになりそうだ。
  13. この問題は特にステルス機の場合でリスクとなる。B-2、F-22、F-35の表皮が損傷すれば、敵レーダーに探知されてしまう。ペガサスはC-17、A-10、F-16、F/A-18へ給油したが、ステルス機への給油は未実施。
  14. シプトン、ニューベリー両名はボーイングが機体の型式証明取得に向け進展中と認めるが、政府想定の引き渡し開始は2018年春季で変更がない。
  15. ニューベリー大佐はKC-46開発は比較的「低リスク」事業とするが、いろいろ障害があり、遅延発生でボーイング負担が増えた。空軍の義務は49億ドル上限のままで、ボーイングが認めた固定価格契約の効果が生まれている。
  16. 大佐はボーイングは767-2C型を改装して軍用仕様KC-46としての型式証明取得を各問題を安易に考えすぎていたと述べている。
  17. 「複雑かつ広範囲の作業を低く見積もった結果で今同社は代償を支払っています。大局では進展がありますが、予定より遅いペースで進んでいます」
  18. ボーイングはまず34機を納入する契約に取り組んでおり、次の15機分の契約は来年1月に成立する見込みだ。最終的にKC-46は179機を空軍に納入する。■

コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...