スキップしてメイン コンテンツに移動

★主張 日本が長距離攻撃能力を整備するのは当然のことだ



選挙が終わり「反対党」勢力の考えが国民に受け入れられないことが証明されました。一方、北朝鮮は不気味な沈黙を保っており、制裁が効果を上げているのか、「敵失」を待っているのか不明ですが、安全保障が争点になった今回の選挙を経て新政権は現実的な対応をしていくでしょう。今回ご紹介するのはランド研究所研究員の主張ですがこういう考え方を米国人から聞かねばならないのは妙な話であり、本来は国内から出て当然と思います。自衛隊の英訳はSelf-Defenceですが、英語感覚では犯人に向かい銃を使い犯罪を未然に防ぐ市民の言い分がself defenseですね。つまり海外からすればなぜ自衛隊が「専守防衛」の域を出ないのか不思議なのでは。日本の安全を真剣に考える風潮の中でSelf Defenseとして敵を先に攻撃する能力の整備(使う、使わないは別の問題)で抑止力を高めるのは至極健全な動きだと思いますが、みなさんはいかがでしょうか。

Why Japan Needs Long-Range Strike Capabilities
なぜ日本は長距離攻撃能力を整備すべきなのか



October 23, 2017



  1. 平和憲法があれば安全保障上の脅威は乗り切れると考える日本国民の頭の中を表現することばとして「平和ボケ」heiwa-bokeがある。北朝鮮がミサイル性能を引き上げ日本を核爆弾で沈没させると脅かす中での平和ボケは他国にはできない贅沢である。日本が存続すため何が必要なのか国内議論でも結論が出ていない。
  2. 日本がミサイル脅威に対応するには二段の弾道ミサイル防衛BMD体制が必要だ。海上配備は駆逐艦で中間軌道ミサイルを大気圏で狙う。陸上装備はペイトリオットで最終段階を迎撃する。総じて日本のBMDは高性能であるが対応には限界があるPAC-3として日本が配備中のペイトリオットの射程は12.5マイル程度しかなく、標的地に配備しない限り意味がない。駆逐艦のイージス戦闘システムは日本全土を有効範囲におさめるが正しい位置で正しい時間に艦がいなければ無意味だ。北朝鮮ミサイルが高速ロフテッド軌道をとるのが日米の想定する最悪の可能性でBMDで対応不能だ。
  3. 日本はイージスアショア導入をすすめ、陸上海上で高性能迎撃ミサイルを配備し、有効射程、高度、精度をあげるはずだ。ただし北朝鮮がミサイルを同時多数発射し複数再突入体で攻撃してきたら127百万人の防御は不可能だが今よりは迎撃効果があるだろう。
  4. 日本の選択肢は法律で狭められている。2015年に通過させた法案で集団防衛演習への自衛隊参加に道が開いたが安倍晋三首相は実際の運用に厳く制約を課している。必要最小限の軍事力行使が許され、しかも国家存続が危うくなった場合に限られ、日本自体が攻撃を受けるか、日本と緊密な関係を持つ他国が攻撃を受ける場合のみの想定しかなく、侵略勢力の撃退手段は他にない。
  5. 北朝鮮ミサイルの脅威は集団安全保障の行使の難易度が高いことを日本にあらためて示した。発射数秒で予想軌道を割り出さねばならない。標的が日本ではなく別の場所と判明すれば日本の政治指導層は集団的安全保障要件を満たすか協議する必要がある。だがミサイル迎撃の決断で話が迅速にまとまるだろうか。仮にそうであっても集団的安全保障の名のもと他国に先駆け日本が単独でミサイルを撃破できるだろうか。
  6. 抑止力整備で日本は積極策を検討すべきだ。長距離攻撃力を取得すべきだ。敵が攻撃準備する中、座して待ち死を覚悟するのか。鳩山一郎首相は1956年に敵ミサイル基地への攻撃は日本国憲法の自衛権の範囲内と答弁している。この解釈で日本はミサイル発射前に敵地を攻撃できる。歴代の内閣はこの解釈を継承し、長距離攻撃能力を保有することは憲法上許されるとしながら政策上はその整備に向かったことはないが、現実世界は法理論をこえたところにきているのだ。
  7. 日本が長距離攻撃能力を取得し、あくまでも防衛姿勢を保ち、日本政府も先制攻撃すると明言しないとする。そう、技術面では今と何も変わらない。法的解釈も同じだろう。「先制」だと攻撃に写るがミサイル着弾前に日本が行動したら「防衛」なのか証明が極めて困難だ。絶対の自信をもってミサイル発射が近づいており発射後に日本へ向かうと証明の上、これ以外に選択肢はないと説明する必要がある。言うのは簡単だが、行動は別だ。
  8. 安倍首相が攻撃能力取得に向かうだろうか。政治面で困難だ。平和憲法を踏みにじると批判されかねない。国内反対勢力は長距離ミサイルは憲法が禁じる「戦力」だと批判するだろう。また中国はじめとする近隣諸国は再軍備化だと安倍首相を批判するのは想像に難くない。
  9. だが政府には国民の生命財産を守る責任がり、北朝鮮のような国家は日本の脅威であり、政治指導層は日本の存在そのものを守る必要がある。現行BMDシステムで対応不能の空白があるならば補強策は当然歓迎されるはずだ。北朝鮮からの脅威が高まる中で新対応が検討されるのは当然と言える。
  10. 70年にわたる期間ほとんど通じ日本は平和国家で許される範囲内で防衛政策を向上させてきた。冷戦中はソ連の技術体系が迅速に向上せず対応は容易だった。冷戦後も日本の防衛政策は変化を続けているが速度がいかにも遅い。北朝鮮が迅速に軍事力を増強させる中で以前のような安閑とした対応を続ける余裕は日本にない。日本は攻撃能力の整備を政策上の最優先課題とすべきである。■

Based in Washington, Jeffrey Hornung is a political scientist at the nonprofit, nonpartisan RAND Corporation. He specializes in Japanese security and foreign policies, East Asian security issues, maritime security, and U.S. foreign and defense policies in the Asia-Pacific region, including its security alliance.


コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ