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もし戦わば(14)26億人の戦争:インド対中国



もし戦わばシリーズも11回目になりました。インドが中国を攻撃するとは考えにくく、中国がインド国境を越えて進軍したらどうなるかという想定です。周辺国にストレスを与える中国の存在は中国に近いパキスタンという宿敵を持つインドには特に面倒な存在でしょう。

 

If 2.6 Billion People Go To War: India vs. China 26億人の戦争になったらどうなるか:インド対中国


The National InterestKyle Mizokami May 27, 2017


  1. 仮にインドと中国が交戦すればアジア最大規模の破壊絵図が繰り広げられるだろう。さらにインド太平洋地区全体が動揺をうけ両国の世界経済も影響を免れない。地理と人口構成が大きな要素となり、戦役の範囲とともに戦勝条件が制約を受ける。
  2. 中印国境で以下の地点が注目だ。インド北方のアクサイチンAksai Chinおよび北東部のアルナチャルプラデシュ州Arunachal Pradeshである。中国はともに自国領土と主張しており、それぞれ新疆省および中国が占拠するチベットの一部だとする。中国は1962年に両地点を侵攻し、両軍は一か月交戦し、中国がわずかに領土を確保する結果になった。
  3. 両国とも核兵器の「非先制使用」を是としており、核戦争への発展は極めて可能性が低い。両国ともそれぞれ13憶人ほどと膨大な人口を擁し、実質的に占領は不可能だ。近代戦の例にもれず、インド中国が戦争に入れば陸海空が舞台となるはずだ。地理条件のため陸戦の範囲は限定されるが、空での戦いが両国で最大の損害を生むはずだ。ただし海戦ではインドの位置が優位性を生み、中国経済への影響がどうなるかが予想が難しい。
  4. 次回両国が武力衝突すれば1962年と異なり、双方が大規模な航空作戦を展開するだろう。両国とも戦術航空部隊は大規模に保有し人民解放軍空軍は蘭州軍区からアクサイチンに出撃し、成都軍区からアルナチャルプラデシュを狙うはずだ。蘭州軍区にはJ-11、J-11B戦闘機部隊があり、H-6戦略爆撃機二個連隊も配備されている。新疆に前方基地がないため蘭州軍区からの北インド航空作戦支援は限定的になる。成都軍区には高性能J-11AおよびJ-10戦闘機部隊が配備されているが、インドに近いチベットに航空基地は皆無に等しい。
  5. 中国のインド攻撃には戦術航空機部隊が必ずしも必要ではない。航空攻撃力の不足を弾道ミサイルで補えばいいので、人民解放軍ロケット部隊PLARFが重要だ。PLARFは核、非核両方の弾道ミサイルを扱い短距離、中距離弾道ミサイルはDF-11、DF-15、DF-21の各種を発射できる。ミサイルでインドの地上目標を戦略的に電撃攻撃するはずだが、その間南シナ海、東シナ海の緊急事態に対応できなくなる。
  6. それに対しインドの空軍部隊は空では中国より有利だ。戦闘の舞台は中国領と言えども人工希薄な地帯だが、ニューデリーはチベット国境からわずか213マイルしか離れておらず、インドのSu-30Mk1フランカー230機、MiG-29の69機さらにミラージュ2000部隊は中国機材と互角あるいは上を行くはずだ。少なくともJ-20戦闘機が投入されるまでこれは変わらない。インドはパキスタンを仮想敵とし、二正面作戦も想定して十分な数の機材を整備している。航空基地や重要施設の防衛にはアカーシュAkash中距離対空ミサイルの配備が進んでいる。
  7. インドは空軍力による戦争抑止効果に自信を持つが、中国の弾道ミサイル攻勢は少なくとも近い将来まで食い止める手段がない。中国ミサイルが新疆やチベットから発射されればインドの北側内の目標各地が大損害を受ける。インドには弾道ミサイルの迎撃手段がなく、ミサイル発射地点を探知して攻撃する手段もない。インドの弾道ミサイルは核運用のみで、通常戦に投入できない。
  8. 一方でインド、中国の地上戦が決定的な意味があるように見えるが、実はその反対である。アクサイチン=新疆戦線とアルナチャイプラデーシュ=チベット戦線の両方とも岩だらけの過酷な場所で輸送用インフラは皆無に近く機械化部隊の派遣は困難だ。攻撃部隊は渓谷通路を移動せざるを得ず砲兵隊の格好の目標となる。両国とも膨大な規模の陸軍部隊を擁するが(インド120万名、中国220万名)地上戦は被害も少ないが得るものも少ない手詰まり状態に入るはずだ。
  9. 海上戦が両国の優劣を決するはずだ。インドはインド洋にまたがり中国の急所を押える格好だ。インド海軍の潜水艦、空母INSビクラマディチャVikramaditya、水上艦部隊は簡単に中国の通商を遮断できる。中国海軍が封鎖を破る部隊を編成し派遣するには数週間かかるはずだが、広大なインド洋で封鎖解除は容易ではない。
  10. そうなると中国発着の航路は西太平洋を大きく迂回する必要があるが、今度はオーストラリア、日本、米国の海軍作戦が障害となる。中国の原油需要の87パーセントは輸入に依存し、中東、アフリカからの輸送が重要だ。中国も戦略石油備蓄を整備中で2020年代に完成すれば77日分の需要に対応できるが、それ以上に戦闘が長引けば北京は終戦を真剣に考えざるを得なくなる。
  11. 海上戦の二次効果がインド最大の武器になる。戦闘による緊張、世界経済への影響、さらにインド側につく日米はじめ各国の経済制裁で中国の輸出が減退し、国内で数百万単位の失業者が生まれる。国内の騒乱状態に経済不況が火に油を注ぐ格好となり、中国共産党の支配に悪影響が生まれる。中国の選択肢はインドより少なく、ニューデリー等大都市に非核弾頭のミサイルを撃ち込むしかなくなる。
  12. インドー中国間の戦闘は短期に終わるが、後味の悪い相当の破壊が生まれる。また世界経済にも広範囲の影響を残す。力の均衡と地理上の制約条件のため簡単に決着がつく戦闘にならないはずだ。両国ともこの点は理解しており50年にわたり戦闘がないのはこのためだろう。このまま今後も推移するのを祈るばかりだ。■
Kyle Mizokami is a defense and national-security writer based in San Francisco who has appeared in the Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and the Daily Beast. In 2009 he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami.
Image: French Air Force Mirage 2000D at Kandahar Airfield. Wikimedia Commons/SAC Tim Laurence/MOD


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