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★★歴史に残らなかった機体(9)ライアンXV-5



うーん、これはどうだったんでしょう。画期的な技術ともいえずパワーも不足気味だったのでは。しかしメーカーさんとしてはこのアイディアをどう展開するかそこはしっかり考えていたようで、夢の宴の後、といった感ですね。広告宣伝が先に行き過ぎたのですね。ライアンという会社は1960年代末に吸収合併されちゃいましたけどね。

RYAN AERONAUTICAL VIA THE SDASM ARCHIVES

Ryan Aeronautical Had Big Plans for the Vertifan Jump Jet ライアン航空機は自社ヴァーティファン技術に大きく期待をしていた


Company artwork shows proposals for vertical take-off and landing fighter jets, interceptors, sub hunters, and more. 同社イラストから戦闘機、迎撃機、対潜哨戒機他に展開する構想がわかる。


  1. 国防企業は自社製品売込みのためならなりふり構わなくなるものだが、対象製品が未来の戦争に直結しているとは限らない。とはいえ、冷戦たけなわの時期に公表された各社構想図をながめている中でライアン・エアロノーティカルが売り込もうとしたヴァーティファンVertifan・ジャンプジェットが気になる。
  2. ライアンの試作機XV-5Aヴァーティファンの初飛行は1964年5月25日で、試作機は二機作られ、米陸軍が発注したが、同社は試作機は次の段階へ進む一歩でジャンプジェット戦闘機を米空軍、海軍向けに西ドイツ空軍には迎撃機、対潜哨戒機、小型ゲリラ戦対応機材と各種用途で垂直離着陸技術の売り込みを期待していた。
  3. 1950年代末、米軍や同盟国の間にジャンプジェット技術へ関心が高まった。第二次大戦中の経験で滑走路を狙われれば、敵空軍の勝利は確実とわかった。さらに核兵器の登場でソ連により空軍基地が全部消去される事態を米国は恐れていた。
The two Ryan XV-5A prototypes. RYAN AERONAUTICAL VIA THE SDASM ARCHIVES
  1. 同じ懸念を共有していたのが西ドイツでソ連やワルシャワ同盟軍の隣にいるためだ。滑走路をつかわずに垂直離陸できる機体なら原爆投下含む攻勢を受けても有効に反撃できる。
  2. 垂直離着陸機はたくさんの国が実験しており、構想は多様だった。ライアンの設計ではジェットエンジンを複数装備し、離陸用のファン複数は水平飛行、垂直離着陸双方に使うねらいだった。ただしファン動力は独立していない。水平飛行から垂直飛行への切り替えにパイロットはジェット排気を一度遮断しファンの方向を物理的に回していた。
  3. ライアンは米陸軍向け試作機でジェットエンジン双発でリフトファンを主翼と機首に備えた。ヘリコプターの性能と固定翼機並みの巡航速度で陸軍は近接航空支援と救難任務を一緒に実現しようとした。
The COIN Vertifan RYAN AERONAUTICAL VIA THE SDASM ARCHIVES
  1. だがライアンは次も考えていた。想像図を見ると対ゲリラ戦用大型のヴァーティファン機が見える。図はXV-5とノースアメリカン・ロックウェルのOV-10ブロンコのハイブリッド版のようだ。図ではターボジェットエンジンで尾部プロペラを回している。場面は東南アジアのようで、当時米軍はヴィエトナムで戦闘拡大の最中だった。主翼下にはロケットポッドを搭載し前線基地から出動しゲリラを攻撃している。
Vertifan fighter jets for the U.S. Air Force. RYAN AERONAUTICAL VIA THE SDASM ARCHIVES
  1. ライアンは米陸軍以外の採用も想定した。別の図ではXV-5に近い機体が二機飛んでおり、空軍戦闘機への採用を想像している。手前の機体は主翼下に増槽二つを付けており、機関銃は四門のようだ。当時はF-100スーパーセイバーが現役で、同様の兵装だった。
A U.S. Navy Vertifan refuels in mid-air. RYAN AERONAUTICAL VIA THE SDASM ARCHIVES
  1. 別の図では胴体を延長した機体が海軍向け塗装でA-4スカイホークとF-4ファントム編隊と飛んでいる。A-4がヴァーティファンに「バディポッド」システムで空中給油している。図の機体が戦闘機仕様なのか不明で、攻撃機なのか、偵察機の想定なのか。武装搭載はないがポッドらしきものが主翼に見える。ライアンはもっと大型機の対潜機仕様も海軍に提案している。
RYAN AERONAUTICAL VIA THE SDASM ARCHIVES
Luftwaffe Vertifan intereptors. RYAN AERONAUTICAL VIA THE SDASM ARCHIVES
  1. 次が西ドイツ向けヴァーティファン三機の図だ。皆XV-5より胴体が長くファン二つずつが機体前方と胴体についている。前方にはM61ヴァルカン砲らしきものが見え、鋭くとがった機首は迎撃用レーダー搭載にうってつけだ。
  2. 当時のルフトバッフェは積極的に射出式離陸でF-104迎撃機を運用しようとしており、別途に国産でEWR VJ 101を開発中だった。ドイツVFW社は1970年代までこの開発を続け、 VAK 191B試作機にが生まれた。だがいずれもドイツ軍により採用されなかった。
  3. ヴァーティファンは結局失敗に終わった。信頼性の問題もあり、他軍との競争に勝てなかった。1965年4月にXV-5A試作機一機が飛行中に破壊され、パイロットが死亡している。翌年に残る試作機も事故でパイロットが死亡。事故は救難ミッションを再現し、マネキンを負傷者に見立て引き上げる途中でファンの一つにひっかかり機体安定性が失われた。
  4. ライアンはあきらめず、各種改良を施したXV-5Bを完成した。不幸としか言いようがないのは同じころに米陸軍は空軍との戦いに敗れ固定翼機運用を断念した。空軍とその支持派が陸軍のヴァーティファンを葬ったといえよう。
  5. 空軍は同技術に関心なく、試作機を廃止した。ライアンはヴァーティファンの買い手を見つけることはできなかった。ただ米海軍と海兵隊はホーカーシドレーP.1127のテストを開始し、その後海兵隊向けAV-8ハリアーに1971年として実現した。■
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