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北朝鮮によるEMP攻撃は米国では可能性が低いが....



本当にそうでしょうか。20キロ半径の地域が被害を受けるのあれば、東京あるいはソウルの金融経済中心地を狙った攻撃で経済活動はマヒし交通通信機能も大きく傷つきます。自暴自棄になった北朝鮮が虎の子の核弾頭を高高度で爆発させない保証はないのでは。あくまでも米国が(今のところ)安全と言ってるにしか聞こえないのですが。

A North Korean Nuclear EMP Attack? … Unlikely

北朝鮮による核EMP攻撃の可能性は低い
38 North offers informed analysis of events in and around the DPRK.By Jack Liu
05 May 2017

北朝鮮が米国に向け電磁パルス(EMP)攻撃を実行するのではとの報道があり、直近のミサイル発射実験失敗もEMP攻撃の一環を示すと見る向きがある。ただし、北朝鮮によるEMP攻撃の可能性は薄い。もっと大型の核兵器とミサイル能力の向上がないと北米を攻撃できないからだ。
EMPの何を懸念すべきか
米国を狙ったEMP攻撃脅威の評価をまとめた委員会[1]の報告書は以下述べている。
高高度での核爆発からEMP信号が発生し、広範囲な地域へ核爆発と同時に到達する。ブロードバンドで高振幅のEMPが精密電子装置を広範囲かつ長時間にわたり破損させ、米国社会の基盤たるインフラストラクチャーが破壊される。
パルス効果は精密なデバイスに直接入り、または送電系統にサージ電流として入る。

下図はEMPの三段階をE1からE3の形で時間による変化を一般化したものだ。[2] このうちE1段階の破壊効果が一番大きい。残りは最初の段階の100分の一程度の被害を生じさせる。
Figure 1. The three phases of an EMP threat.
EMP Graph 17 0504
E1段階は非常に短いが強力な電磁場を生み、導体に高電圧を与える。装置の電圧限界を超えないど破損は発生しないが、非常に早く発生するため通常の保護装置でコンピューターや通信機器を守れない。ただし、この段階のEMPに対抗できる特殊保護装置の導入が進んでおり、重要装置をEMPから守ることは可能だ。
E1段階でガンマ放射線が核爆発後直後10ナノ秒(1ナノ秒は10億分の一秒)に大気中の原子から電子をはぎ取ることで発生する。電子はほぼ光速で移動し爆発下の場所に届く。地球自体の磁場により電子の移動方向が変わり直角で電磁場に到達するため非常に大規模電磁パルスが短時間で地域に降り注ぐ。
E2段階はガンマ光線と爆発で出る中性子の衝突によるガンマ放出で発生する。発生は電磁パルス発生後の1マイクロ秒から1秒にわたり持続し、落雷時に発生する電磁パルスと似ている。落雷による被害の防止策が広く普及していることからE2段階のパルスは対応が一番楽とみられる。[3]
E3段階のパルスは速度が遅く10秒から数百秒にわたり持続する。核爆発により地球の磁場が乱れることから発生するが、磁場はその後回復する。この段階は大規模な太陽フレアで発生する磁場嵐と極めて似ており長い導体内に電流を発生させ、送電系統で被害を起こす可能性がある。
問題なのは規模だ
核爆発が大きければ、影響を受ける地域も広くなる。核爆発で発生するEMPに関する研究は大部分が非公表扱いだが、カリフォーニア高等技術専門校のD・ハフェマイスターの論文で核爆発の大きさと影響を受ける地域の距離関係がわかる記述がある。同論文では以下のように想定している。
  • 爆発は完全な球状とする(現実には必ずしもこうならない)
  • 地球の磁場は考慮に入れない
  • ガンマ光線は爆発エネルギーの0.3パーセント相当で爆発後10ナノ秒で放出されたとする
  • 直後のガンマ光線からほぼ光速移動する電子が発生し、E1段階のEMP効果が生まれるとする
  • E1段階での電界被害発生の閾値は15千ボルト/メートル以上とする

上記の仮定で数字を入れるのは妥当といえよう。その結果は驚くほど簡単だ。D=Yとなり、Dが被害が及ぶ最大距離(キロメートル)でYは爆発威力(キロトン)だ。20キロトン核爆発を適正高度で実施すれば、EMP被害の最大距離は20キロとなる。1メガトン(1,000キロトン)爆弾なら1,000キロまで被害が及ぶ。北朝鮮が現在までのところ実験した最大の核爆発は20キロトン程度とみられる。
結論
EMPの物理原則と北朝鮮の現状の核開発状況を考慮すれば、報道にあるような北朝鮮のEMP攻撃ですべてお終いというのはおおげさといえる[4]。北朝鮮の核実験ではこれまでのところ大規模なEMP被害を生む核威力は確認されていない。また爆弾の保有数が少ない北朝鮮がEMP兵器開発専用の核実験を行うのは非現実的だ。
————–
[1] John Foster, et al., Report of the Commission to Assess the Threat to the United States from Electromagnetic Pulse (EMP) Attack—Critical National Infrastructures, April 2008.
[2] Edward Savage, James Gilbert, William Radasky. The Early-Time (E1) High-Altitude Electromagnetic Pulse (HEMP) and Its Impact on the U.S. Power Grid, Meta-R-320, Prepared for Oak Ridge National Lab., Jan 2010.
[3] 米EMP検討会は「総じて重要インフラ施設ではすでに落雷による予想被害に対応した保護措置があることから深刻な問題ではないといえよう。最も警戒すべきリスクはシナジー効果であり、E2段階が第一段階のほぼ直後に発生し、保護制御機能が第一段階で破壊されている可能性があるため第二段階で生まれるエネルギーが流れ込み損傷を発生するることにつながる」
[4] 1950年代初頭に地表核爆発実験が米国ではおこなれており、爆発規模は北朝鮮実験の規模とほぼ同等だった。ネヴァダ核実験場はラスヴェガスから65マイルしか離れていないが、停電の報告はない。カジノは通常通り営業を続けている。放射性降下物の方が大きな問題だった」

コメント

小林誠 さんの投稿…
私もこの記事に同意して北朝鮮のEMP攻撃は可能性として低いと思います。根拠は実験できないからです。EMPを核兵器の実機を持って実験することは北朝鮮はできていない(はず)です。

実験もできていないできるかどうかわからないようなことに虎の子の核弾頭を使うでしょうか?私はしないと思います。

EMPの被害というのは社会インフラを破壊することで人命を直接は破壊しません。そのくせリスク・コストは核兵器と同じです。EMPとして撃とうが核兵器として撃とうが核報復の対象になるという事実は変わりません。それならばわざわざ確率的に不確かなEMPとして使うより、直接破壊を狙った使い方のほうが「賢い」選択だと思います。

ただ、それでも対策や分析は必要だと思いますが。

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