なるほどマジュンダー編集員は貴重な体験をしましたね。広報用の体験飛行ではなく、空軍関係者向けのフライトでステルスの威力を体で体験したとのことでうらやましい限りです。最近は自衛隊への関心が高まっているのか安易な取材も増えているようですが、航空編集者、防衛編集者が確立されれば自衛隊側も広報の仕方を変えていかざるを得ないでしょうね。その前にF15などと平気で記載する記事の書き方を変えてもらわないとね。
“It's Like Fighting Mr. Invisible”: How I Went to War Against Stealth F-22 Raptors and F-35s (And Lost Bad)「透明人間相手に勝負したみたいだ」ステルスF-22やF-35相手の空戦でコテンパンにやられた編集者の体験
May 1, 2017
- 先週水曜日、米空軍のアトランティック・トライデント17演習の訓練飛行に参加を許された。ヴァージニア州のラングレー=ユウスティス共用基地でのことだ。
- 演習にはNATO主要三カ国の空軍部隊も参加し、機材はロッキード・マーティンF-22を演習ホストの第一戦闘飛行団が飛ばし、ロッキード・マーティンF-35A共用打撃戦闘機、英空軍のユーロファイター・タイフーン、フランス空軍のダッソー・ラファールが参加した。米空軍からはボーイングF-15Eストライクイーグルが391飛行隊から、ノースロップ・グラマンT-38タロン練習機が第一飛行団所属の71戦闘教育飛行隊から加わり、「レッドエア」として敵役に回った。
- ラプター運用部隊とは長い付き合いがあることから第一飛行団司令のピーター・「コーチ」・フェスラー大佐が記者をF-22、F-35、タイフーン、ラファール参加の演習を直接視察する機会を与えてくれた。このため空軍は記者を71戦闘教育隊のノースロップT-38Aに乗せ、アトランティック・トライデント第三週目で演習ピークの様子を見させてくれた。
- 最初の仕事はラングレー空軍基地内の病院で臨時の72時間有効飛行診察を受けることだった。内容は何度も経験した海軍のクラスI飛行前医学診察と似ていた。空軍軍医からは検査はクラスI内容を短く手直ししたものと聞いた。クラスIは海軍パイロットに必須だ。結果を受け軍医は飛行許可を出してくれた。
- 今回の飛行は空軍が「習熟課程フライト」と呼ぶもので広報向けフライトではなく他の任務につく一般の空軍関係者向けであり、編集者はパイロット同様にT-38A用の生存訓練を受ける必要があり、着水時の生存方法を装備すべてつけた状態で行い、各種通信装置の取り扱い方、またT-38A用の古めかしい飛行装備の装着方法も学んだ。とくに強調されたのがパラシュートとシートへのハーネス装着方法だった。
- 空軍教官は記者含むクラス(B-52パイロット一名、E-3パイロット一名、E-3レーダー要員一名)向けにT-38Aの射出脱出方法を細かく説明し緊急脱出方法を教えてくれた。脱出の手順が強調されたのはT-38Aにゼロ/ゼロ射出座席がついていためだ。パラシュート訓練もあり、仮想現実ゴーグルをつけての着地シミュレーションもあった。
- 翌日は第71戦闘教育飛行隊に赴き飛行装備を体に合わせた。空軍技官はまずOTS600イマージョンスーツをあてがったが、これは寒い大西洋上空を飛ぶことからの選択とはいえ、きわめて不快な着心地だ。次に難燃性ノーメックス飛行服とブーツをGスーツの上に着た。その後にパラシュート、ハーネス、シートキットを付け、ヘルメットとマスクを調整した。71FTSの技官は記者を飛行可能にすることにかけて完璧なプロとわかった。
- 翌朝に71FTSの飛行業務部に出頭しパイロットに会った。印象的な若者でコールサイン「ツァー」で(保安上の理由から空軍から飛行隊の中枢将校の実名は公表しないよう求められている)パイロット養成課程を出て初の任務とのことだった。26歳の彼はクラスのトップ近くの成績で第43戦闘飛行隊に赴任し次の課程のF-22「Bコース」でラプター操縦をフロリダのティンダル基地で学ぶとのことだった。
- 71FTSでは若手パイロットが経験豊かなパイロットから学びながら、ラプターの強み弱みを学び、F-22の戦術、運用技法、手順も体得することでツァーや同輩の若手パイロットに有益な学び効果を実現する。一緒に飛ぶのは「スコア」のベテランF-16パイロットと旧知の「ファングス」で、彼とは10年以上前にネリス空軍基地で初めて会い、F-22の運用テストパイロットだった。こうしたベテランから学べばツァーは次の任地でF-22をうまく飛ばすことができるだろう。
- 今回のソーティーではT-38A三機がヴォトカ飛行隊として飛ぶ。スコアが編隊リーダーでヴォトカ1、ファングスがヴォトカ2でツァーと編集者がヴォトカ3だ。我々の前にはアグレッサー部隊がMiG役として飛び、後方にもF-15Eが敵役として飛ぶ。F-15Eを投入するのはF-22以下各機相手に現実的な高性能敵機の役をさせるためだ。タロンはロシアのMiG-29フルクラム、F-15Eはスホイのフランカー役だ。
- 装備を整え機体に搭乗しストラップを付けるとツァーは急いでチェックリストに目を通し、起動させた。機体は滑走路にタキシングし編隊離陸した。われわれ三機は編隊を組み上昇し演習空域に移動し戦闘を開始した。T-38Aのアグレッサーとしての通常の飛行空域は高度10千フィートから14千フィートだが当日は悪天候のため氷結を避けるため急いで22千フィートへ移動した。
- .戦闘になると三機のタロン=フルクラム編隊は青軍機との交戦を目指し機体を制御した。タロンはロシア第四世代機と同様のエイビオニクスも運動性能ももちあわせていないが、有視界範囲内なら戦闘機同様の行動をそれなりに示すことができる。
- そこにT-38をアグレッサーに使う意味がある。F-22に対してラプターの知識を使って弱みをどう活用するかを情け容赦なく考える敵になるのだ。有視界範囲に入るとタロンはひどく面倒な存在になった。タイフーンを飛ばす英軍パイロットもタロンが意味のある敵役になったと認めている。
- ツァーと記者の乗るヴォトカ3を撃墜したのは英空軍のタイフーンだ。開戦後数分間以内にヴォトカ1と2も撃墜されたが、こちらには攻撃を受けていることもわからなかった。ツァーは回避行動をとったが、タイフーンはF-22と連携して急速かつあっさりとこちらへ向かってきた。不運にも天候は荒れており基地にすぐ戻り燃料を補給するよう指示されたが、通常はT-38は演習中に数回「復活」し空戦に臨むのである。記者の結論は百聞は一見にしかず、であり、ラプターとタイフーンの組み合わせはそこまで強力なのだ。
- 「イーグルでもJ-20でも同じように感じたはず」と空軍高官がフライト後に記者に語っているのは目に見えない敵に攻撃されることの感想についてだ。「保安上の理由から説明できませんが、『敵装備を選択』することが可能なのです」
- ラングレー基地への帰還の途中で今回の体験には目を開かれる思いがした。記者はラプターやF-35を初期段階から取材してきた。ステルスの威力を頭で理解するのではなく、実際に体験するとはるかによく理解できる。こちらの編隊にはAWACSやGCIから攻撃をうけそうだとの警告は一切なかった。気が付いたら撃墜されていたのだ。目に見えない敵と戦えといわれても無理だ。
- ラプターはステルス以前に搭載性能そのものが理由で世界最強の戦闘機だが、F-35も操縦性能は中庸だがレーダー断面積の小ささやセンサー性能ゆえに極めて危険な敵になると記者は理解できた。「双方のパイロットが9ミリ銃を携行してキャノピーを飛行中に開いて決闘するとしたら」と上記の空軍高官が編集者に語った。「透明人間との勝負ですよ」■
Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter: @davemajumdar.
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