一見すると韓国の防衛を放棄するような話ですが、よく見ると米陸軍が即応体制の高い部隊を交代で各地に派遣する体制づくりに投入されるのですね。朝鮮半島の危機はまだ続くと思うのですが、もっと大きな視野で運用を考えているようです。
Pre-positioned US stock leaving South Korea to create armored brigade 前方配備装備品を韓国から米本土に送り装甲旅団編成に投入する米陸軍
WASHINGTON — 米陸軍は韓国国内に集積した事前装備を米本土に呼び戻し装甲旅団戦闘集団(ACBT)の編成にあてる検討中と米陸軍参謀総長マーク・ミレー大将が明かした。
- この動きは旅団戦闘チームで軽装備歩兵中心から強力重装備の装甲旅団戦闘チームに再編成する意味がある。米陸軍は歩兵旅団戦闘チームを第15装甲旅団戦闘チームに再編成し、第16旅団用には韓国内の事前配備装備を活用する。
- 陸軍の事前集積装備はAPSと呼ばれ、各戦闘司令部下で迅速即応が必要な事態で緊急作戦用に使う想定だ。ただし陸軍は装備品セットを訓練で消費した分の補充に振り向け、さらに必要に応じ部隊規模を拡大する。このため事前配備装備を払い出し以前よりも頻度が高くなっている演習に投入する。
- 参謀総長の発言では従来の中心が対テロ作戦や国内治安確保作戦がイラク、アフガニスタンにあったが、部隊戦力を再構築し再び大国を相手にした本格戦闘に備える必要を実感しているのだという。
- 議会公聴会ではテッド・クルーズ上院議員(共、テキサス)がミレー参謀総長に韓国内装備を米本国に送還する必要について問いただした。参謀総長は装備品の本国送付で編成する第16ABCTは交替配備で後日韓国に展開され、陸軍の戦略方針の一環となるとし「リスクもたしかにあるが、許容範囲のリスクだ」と答えた。
- 韓国内にABCTを順繰りに配備するのは陸軍が進める交代方式の部隊配置方針と合致し従来のような継続前方配備はとらない。さらに陸軍は交代部隊は完全装備状態にさせる。
- 1月に交代配備による初のABCTを欧州に派遣したが、ドイツのブレーマーハーヴェン港到着からわずか14日でポーランドで装備品すべてを運用可能になっている。
- 米陸軍の迅速交代部隊派遣戦略では長年保管したままの装備品も使い作戦能力を誇示する。
- 前方配備部隊に装甲旅団規模の重装備を常時配備すべきかで論争があるが、ミレー大将は迅速な部隊派遣体制を維持するほうが良いと見る。「戦闘能力を高いままで、全部隊を恒久配備した際の固定費が不要になる」からだという。
- また同大将は下院軍事委員会委員長マック・ソーンベリー議員(共、テキサス)から欧州の前方配備ABCTの見直しを交代派遣の費用との比較で進めるよう求めがあったと述べている。
- ただミレー大将は「当方の提言として交代派遣をこのまま続け、...一国から別の国への移動を続けるべきと考えるのは部隊を一か所に貼り付けておくわけにいかないため」と述べた。さらに旅団を恒久的に駐留させると購買部や学校まで含めた体制の維持につながり、軍属家族を戦闘発生の可能性ある地帯に送ることになると述べている。
- 交代で配備する旅団は「戦闘を視野に入れた訓練体制を維持し、訓練内容も意味のあるもになる」と付け加えている。■
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