Scorpion: Textron Airland
鳴かず飛ばずのスコーピオンですが、ここでひとつ当たりを付けたいところでしょう。しかし軽攻撃機の本命はターボプロップ機でしょうか。ここでも軽攻撃用途以外も想定しパイロット養成が米空軍の急務であるのがうかがわれます。
Scorpion, AT-6 and A-29 Chosen For Light Attack Demo
軽攻撃機実証の対象に選ばれた三機種はスコーピオン、AT-6、A-29
- 米空軍が今夏実施する軽攻撃機OA-X実証の対象機にテキストロンからスコーピオン・ジェット機およびAT-6ウルヴァリン・ターボプロップ機、そしてシエラネヴァダ=エンブラエルのA-29スーパー・トゥカーノの三機種が選ばれたのは業界で当然との声が強い。
- 各機は低コスト軽攻撃機として対テロ任務用に採用となる可能性がある。
- このうちスーパー・トゥカーノは米空軍軍用機型式証明を有する世界唯一の軽量小型支援機で本命といわれてきた。近接航空支援(CAS)用のターボプロップ機で低脅威環境での対ゲリラ戦や偵察ミッションを想定し、アフガン空軍が供用中だ。高温かつ過酷環境での運用を想定し、操縦性がすぐれ高温を放射しない。またジェット機のほとんどより運航経費が低い実績は、予算が厳しい中で有利だ。米空軍はOA-Xのねらいのひとつが経済性だと述べている。
- 「A-29は戦闘機パイロット養成にぴったりの機体です」とエンブラエル・ディフェンス&セキュリティの社長兼CEOジャクソン・シュナイダーは語る。「つまりパイロット訓練を念入りに行い、迅速かつ安価にこれを実施すれば他機材は本来の任務に専念できます」
- テキストロン・エイビエーションのAT-6も低価格ターボプロップ機で原型はビーチクラフトのT-6テキサン練習機だ。米軍で広く使われており、カナダ、ギリシア、イラク、イスラエルにも採用されている。
- これに対してテキストロン・エアランドのスコーピオンはOA-Xの想定の先を行く存在だ。2013年に初飛行したが採用例がない。同社は最近になり空軍のT-X高等練習機競作からスコーピオンの参加を断念している。軽ジェット機のスコーピオンはコスト面で不利になりそうだ。
- ただしテキストロンは両機種とも軽攻撃機として「傑出した機体」になると自信たっぷりだ。同社報道担当者がAviaiton Weekに5月15日に語っている。「両機種に高性能ミッション装備技術を投入しており、価格・適応性ともに優れています。設計、調達、組み立ては米国内で完結し、AT-6なら現政権の目指す目標にぴったりの強く前向きの経済効果が実現します」
- ボーイングとロッキード・マーティンはともにOA-Xは初期段階で参入を断念しており、ノースロップ・グラマンは論評を避けている。
- 空軍はOTA(その他取引権限)合意を選定業者と取り交わしてから参加条件の詳細を伝えるが、逆にOTA締結前は一切発表しないと空軍報道官が述べている。
- 実証はまず6月にホローマンAFB(ニューメキシコ)で実施の予定で中東の対テロ作戦用の低価格軽攻撃機の導入の第一歩となる。予想される調達規模は300機で訓練にも投入して空軍パイロットの不足を緩和させたいとする。
- ホローマン実証で空軍は軽攻撃機の導入の可否を決める。ただし、空軍はあくまでも試験段階であり、正式な調達事業ではないと強調している。ホローマン評価の次に戦闘場面での実証になるか即座に採用になるかもしれないと空軍調達次席責任者のアーノルド・バンチ中将が述べている。
- 空軍は今年初めに想定性能諸元を各社に配布し、未整備地から離陸して軽攻撃、武装偵察を行う想定になっている。採用機は年間900飛行時間を10年間続ける高テンポ運用を求められ、昼間夜間ともにミッション実施率90%の想定だ。
- また最大離陸長は6,000フィートで安全な通信装備、昼夜とわず静止・移動いずれの目標を攻撃できる能力が求められている。さらに燃料消費率は1,500ポンド/時間以下としミッションを2.5時間実施する。赤外線、目視両面で機体の生存性も評価対象だ。■j
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