The Shutdown Is Doing Lasting Damage to National Security 政府機能閉鎖で国家安全保障へ悪影響が長く残る
With every passing day, America’s defenses are weakening. 米国の防衛力は日一日と弱体化している
- BY CARRIE CORDEROTHE ATLANTICREAD BIO
- JOSHUA A. GELTZERTHE ATLANTICREAD BIO
史上最長記録となる米政府機関の閉鎖が続いたままだが、連邦政府職員の士気低下に加え米経済全般への影響も懸念される。安全保障も例外ではない。政府機能が再開しても以下4点で影響は長く残りそうだ。
まず短期での安全保障や国土防衛で弱点が生まれている。空港では検査官が不足し、FBIでは捜査官・分析官・事務官数千名が休暇扱いとなり、サイバーセキュリティ部門でも半数が自宅待機だ。捜査活動に身が入らず処理が遅れ解決できなくなっている。またサイバーセキュリティもせっかく組織ができたのに活動できない状態だ。さらに移民対策や国境警備を重視する政府の動きと裏腹に国土安全保障省(DHS)の警備担当者は重責にもかかわらず給与が支払われていない。
DHSは民間サイバーセキュリティ分野の調整に加え、連邦・地方の法執行機関の調整も役目だが今回の閉鎖で大きく打撃を受けている。政権、議会共にサイバーセキュリティの脅威を最大の優先事項と認識しているものの、業務が止まっているため敵意ある国家勢力が米国の個人情報や企業の知財を盗みかねない。本来はDHSがこうした企みを阻止するべきで民生部門と情報を共有しつつ各レベルの政府機関と調整する。さらに連邦、州を問わずDHSは選挙投票の安全を高める支援を期待されているが、今や投票結果が危険にさらされている。
だが長期的に見た国家安全保障への影響のほうが大きい。ひとつは連邦政府公務員だ。経験豊かな外交官が辞職している。政府は養成に何年もかかる人材をみすみす捨てているようなものだ。各機関は人材育成訓練を経て有能な職員により運営されている。だがそうした優秀な人材が民生部門へ流れつつある。
連邦政府職員も家族がある身であり、安定収入が必要なのは変わりない。公務があるとはいえ、給与のめどがつかない状況ではキャリア中ばの安全保障専門職が転職を目指さざるを得ないストレスを感じている。
二番目が未完成の業務が山積することだ。法律では公務員は閉鎖期間中は危急の事態が生命財産に見られる場合に限り職務につけることになっているが、情報分析や政策選択は中長期的な業務であり国家安全保障に不可欠な業務である。通常の場合でさえ、そうした公務員が日常業務に忙殺されがちであることを著者はよく知っている。今こそ通常時にまして長期的視野が欠如していると言わざるを得ない。
三番目に国家安全保障関連の法律実務家として著者は安全保障関連の政府職員が財務上苦しい状況だと外国勢力による脅迫やそそのかしに脆弱になることを熟知している。閉鎖が長引けば外国情報機関が財政上苦しい政府職員を悪用し米国の安全保障に悪影響を与えることは疑う余地がない。
四番目が最悪だ。米国は国内分裂で麻痺状態にある状況を世界に露呈している。これを見てロシアは米国弱体化を国内外でねらってくるだろう。クレムリンはドナルド・トランプを大統領として望んでいたようだが、ロシアでさえ当選すると見てなかった。
トランプ当選以上にクレムリンはアメリカの分裂を望んでいたのだ。そうすればロシア外交に反対できず、民主改革を求めることもなくなるためだ。トランプ政権の最初のニ年間で米国はロシアの戦略的な国益追求を心情的に支持する政策により同盟各国とのつながりを弱体化してしまった。今や政府機能閉鎖により国防体制が日毎に弱体化している。
大統領に言わせれば我が国の安全のため政府機能閉鎖が必要だという。だが現実は閉鎖こそが国家安全保障上の脅威であり、その傷は長く残りそうだ。■
- Carrie Cordero is the Robert M. Gates senior fellow and general counsel at the Center for a New American Security. She is also an adjunct professor of law at Georgetown University Law Center, a CNN analyst, and a contributing editor of Lawfare. FULL BIO
- Joshua A. Geltzer was the senior director for counterterrorism at the National Security Council from 2015 to 2017. FULL BIO
コメント: 今回は民主制度の弱点が露呈しており、民主政体と無縁のロシア、中国、北朝鮮、イランは敵失を意識し、小躍りしているのでしょうか。防衛体制ではただでさえ遅れることが多い装備品の開発、配備がさらに遅れることが懸念されますね。それ以外に防衛の第一線につく各人への影響も懸念材料です。なんとか事態が解決に向かう、邪悪な企みを現実に移す勢力が手を出してこないことを祈るばかりです。先日、米国から日本へ入国しようとした女性が拳銃を持ったままであることが露呈しましたが、これも保安体制の緩みの一例なのでしょうか。
コメント
コメントを投稿
コメントをどうぞ。