Can Japan Lead Asia?
日本はアジアを指導できる
There is a feasible way for Tokyo to resume rhetorical leadership in formulating the Indo-Pacific strategy.
There is a feasible way for Tokyo to resume rhetorical leadership in formulating the Indo-Pacific strategy.
日本政府はインド太平洋戦略構築で指導性を発揮できる。
by Christina Lai
January 1, 2019 Topic: Security Region: Asia Tags: JapanChinaSouth China SeaThe QuadBelt And Road
ドナルド・トランプ大統領が「自由で開かれたインド・太平洋」free and open Indo-Pacific (FOIP) こそ米国のアジア政策の根幹と述べた。日本含む東アジアとインド含む南アジアをつないで法の支配に基づく国際秩序を構築する構想だ。FOIPは中国が南シナ海で発言力を増す中での対応であり、中国の一帯一路構想に対抗する狙いもある。
FOIPは急に生まれた構想ではない。安倍晋三首相が2006年に提唱していた。インド地域と太平洋地域を統合し戦略的に有志連合の民主主義国家で維持するとし、日本、インド、米国、オーストラリア等を想定した。その時点で米国は安倍構想を後押ししなかったがトランプ政権は支援し中国の経済軍事面での台頭に対抗しようとする。
インド太平洋構想は日本、米国他アジア各国に希望と機会を生みそうだ。ただし現時点で構想と現実の間に深刻なギャップがある。インド太平洋構想を現実に移せばアジアで学術面政策面で深刻な意見対立が生まれるだろう。とくにアジア主要国にとってやっかいな問題はインド太平洋構想の成功はひとえに共通概念の構築にかかっているからであり、インド、日本、インドネシアともに自国利益を超越して共通理解に到達できるかが問われる。このため日本の外交政策ではロードマップを示した上でインド太平洋戦略を希求する必要があり、その場合に焦点は各国連携、多様性の許容とともに協力関係の構築に当てるべきだろう。
日本国内では米国やオーストラリアがFOIPに加わると日本の役割が弱まるとの疑念がある。だがインド太平洋戦略の構築で主導権を握る方法が日本政府に残されている。「大東亜共栄圏」の残滓で西側諸国による支配を排除し多様性を認めながらの独立の獲得をめざしたことから今日の日本による政策で認められる、認められない内容がわかる。個別具体的には日本が汎太平洋を唱えれば安倍政権にとって日本国内のみならず海外でも同調する向きが生まれるはずだ。米中の力争いを目の当たりにして日本政府は海外拡張を目指す勢力とみられないようにしつつ途上国から有益な相手国と見られる肯定的なイメージをめざすはずだ。
第二次大戦勃発前の教訓とは
日本国内では米国やオーストラリアがFOIPに加わると日本の役割が弱まるとの疑念がある。だがインド太平洋戦略の構築で主導権を握る方法が日本政府に残されている。「大東亜共栄圏」の残滓で西側諸国による支配を排除し多様性を認めながらの独立の獲得をめざしたことから今日の日本による政策で認められる、認められない内容がわかる。個別具体的には日本が汎太平洋を唱えれば安倍政権にとって日本国内のみならず海外でも同調する向きが生まれるはずだ。米中の力争いを目の当たりにして日本政府は海外拡張を目指す勢力とみられないようにしつつ途上国から有益な相手国と見られる肯定的なイメージをめざすはずだ。
第二次大戦勃発前の教訓とは
1930年代40年代の日本は「大東亜共栄圏」を提唱し、東アジアから東南アジアを介しインド、オセアニアまで広がる地域構想を想定した。日本主導でアジア各国を欧米植民地勢力から解放するとした近衛文麿首相は「英米の価値観をもとにした平和観を排斥」すると強く主張していた。だがこの構想は領土拡大を正当化するものと日本国内の軍部により解釈された。日本敗戦で共栄圏は未完の夢に化しその後の経済成長を持ってしてもその結果は変わらなかった。日本が過去から学べるのは「世界秩序の変更を求めないこと」であり「自由体制に積極的に加わること」だ。
共栄圏構想には別の意味もある。多様性の中の開発もそのひとつで日本による今後FOIP戦略の構築で注目される要素となる。日本のアジア外交政策が過去の共栄圏の共存共栄構想、つまり統合しつつ独自性をアジア各国に認めればアジア各国から広い支持を期待できる。安倍首相はインド太平洋戦略を希求しながら上記成果を期待できるのだ。
連携と多様性
連携と多様性
安倍首相が共栄圏構想から学ぶとすれば各国がおしなべて広く開発の恩恵を享受できる仕組みを作ることだ。当時の構想ではアジア各国を西洋支配から開放し、独立させるのが主眼だったが、現在のアジア各国でも共感を得る余地がある。米中両国の競合を目の当たりにしているからだ。この点で日本は途上国と主要国との間にで双方から信頼される存在になるべきだ。
例として日本はアジア・アフリカ回廊(AAGC)構想にインドを巻き込み経済協力と持続的発展をアフリカで実現する役割を積極的に果たせる。エネルギーとインフラが中心の一帯一路と別に、日本とインドは「独立および多様性」を共栄圏で重視しながらAAGC開発を進められる。事前によく練った開発構想なら経済発展段階が異なるアフリカ各国のニーズに合うはずだ。
さらにインドも多様性と連携をうたう構想から得るものは多いはずだ。インドが外交政策で独自性を長年維持しているためだ。日印両国は米中間の対立にとらわれずに政策を自由に希求できる余裕を望むはずだ。
だが日本人でFOIPを大東亜共栄圏と同じ文脈で話す向きは皆無に近い。両構想が真っ向から対立するとみる向きが多いためだ。この根源に共栄圏の目的が西側勢力による国際秩序に対抗することにあり、文化的多様性や地域内連携、さらに経済開発といったもっと重要な要素に関心を払っていなかったとする見方がある。
インド太平洋戦略の将来では拡張主義を回避すべき
インド太平洋戦略の将来では拡張主義を回避すべき
大東亜共栄圏の文言から日本の戦時体制が国家主義の影響で「日本の国益」から自由でなかった、あるいは主張がアジア各国には単なる美辞麗句で終わっていた史実が浮かび上がる。したがってインド太平洋戦略構想では中国を挑発せずアジア各国には戦時中の占領体制への警戒心を巻き起こすべきではない。
重要なのは日本は中国を狙った公式発言を避けるべきという点だ。例として日本が以前提唱していた「自由と繁栄の孤」は中国を意識し、中国の台頭がアジアの脅威と暗示していた観があった。では現在のFOIPではどうか。西側の自由思想として民主体制、人権、法の支配をアジアに、さらにその外に広げるとする。これならFOIP陣営各国と中国に緊張を産まないだろう。日本はFOIP政策の整備に関与可能だし、すべきだ。というのは「連携と多様性」の目標を希求しても中国を排除することにならずむしろ同国の協力を引き出す効果があるからだ。
安倍総理が最近のアジアアフリカ会議で述べたようにアジアとアフリカは発展の余地が大いにある地域だ。日本とインドは信頼を集める共同国として両地域の発展に寄与できる。共栄圏構想から2つの点が日本に参考になるはずだ。日本はインド太平洋構想の構築でもっと重要な役割を演じる事が可能だし、歴史から学ぶこともできるはずだ。■
Christina Lai is a lecturer in Global Security Studies at Johns Hopkins University. She is interested in U.S.-China Relations, Chinese Foreign Policy, East Asian politics, and Qualitative Research Methods. Her works have appeared in the Pacific Review, International Relations of the Asia-Pacific, Journal of Asian Security and International Affairs, Asia Time, China’s World and Asian Security.
政治とは言葉であり、理念ですが、政局つまり自己の得点、相手の失点の計算ばかりしている人たちには理解できないのでしょうね。政治屋や職業政治家は必要ありません。未来をデザインできる視野を持った政治家が必要です。今や主要国で一番老獪なリーダーとなった安倍さんを抱える日本はどれだけ幸運なのかほとんど誰も理解していないのは実に不思議です。ましては韓国の非常識な行為さえ安倍さんの責任と決めつける人たちは一体どういう頭の構造なのでしょうか。国内でそれに同調する人たち、森友問題その他を利用して政権転覆を狙った人たちとは一体誰の利益を代表しているのでしょうか。それにしてもオバマ政権とは一体何だったんでしょうか。
インド太平洋構想は、自由と民主主義を標榜する国際協調であり、一帯一路政策により他国を膨大な債務に陥れ、影響力を行使しようとする中国に対抗するものだ。
返信削除他方、大東亜共栄圏は、アジアの多くの国が植民地であった時代の日本の西欧に対する対抗策であり、植民地の開放を目指すものであり、残念ながら国家主義的主張に利用された。
この二つの構想は、地域の多くが重複するものの似て非なる思想を背景にしているのは明らかだ。
個人的意見だが、日本を盟主とする大東亜共栄圏の国家主義的理解、即ち「生存圏」の確立は、むしろ、一帯一路政策に基づき中国の経済的侵略による朝貢国家群を形成し、それを通じた中国の「生存圏」の確立と相似して見える。
私のこの記事への違和感、日本を警戒し、中国を挑発するなとの主張は、中国に対する理解の相違によるものと考える。