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今年の展望 中国に警戒を。習近平体制は不安定化に向かうのか。


Will a Failing China Attack America? 
失速する中国が米国に攻撃を仕掛ける可能性はあるのか

"That’s an especially disturbing possibility now that belligerent Chinese officers are convincing themselves they can launch surprise attacks on the U.S. Navy and kill thousands of Americans."
「米海軍を奇襲攻撃し数千名の米国人を殺せると公言してはばからない中国関係者を見ると心穏やかではいられなくなる」


by Gordon G. Chang
December 31, 2018  Topic: Security Region: Asia  Tags: ChinaXi JinpingAmericaPLAU.S. Navy

「米国は死を最も恐れる」と海軍少将羅願Luo Yuanが2018年12月20日に深センで講演した。「こちらには東風-21D、東風-26ミサイルがある。空母キラーだ。あちらの空母を沈められる。一隻で5千人だ。二隻なら死傷者一万人になる。米国が恐怖を感じないはずはない」
羅少将は毒舌で知られるが、中国上層部の思考を反映している。1月1日の米国との国交回復40周年を直前に米艦船攻撃を公言する二人目の軍関係者となった。
戦争の話題は中国で軍以外からも聞こえる。今一番ホットな記事は1938年の毛沢東演説の再録だ。
中国国営メディアが米国への憎悪でいっぱいのときに毛沢東の言葉が人気を集めていることは要注意だ。中国指導部は内部抗争に勝つためにも戦争の話題を口にしている。
中国共産党は混乱しているようだ。中央委員会は第19回人民代表会議で第四次全体会を開けなかった。
昨秋、中国経済が厳しい状況ため習近平が年末までに全体会を招集し構造改革問題を取り上げると外部は見ていた。
中央委員会には全体会を開催すべき理由が別にある。「米国の対中政策が競合に方向を変え現体制の存続が危なくなっている」と中国問題で定評のあるサイトSinoInsiderが10月に評した。「そのため習近平には党エリートを集め国内外の危機に一致して対応させる必要がある」
ではなぜ四次全体会が開催されなかったのか。「習が権力集中を完成したため全体会を開催し不必要な波を立てたくなかったのではないか」と中国ウォッチャーが匿名条件で教えてくれた。「一人で全部決められるのは毛沢東時代と同じだ。つまり全体会は都合よく開催できるので、党から追放したい同志がいれば開催するのだろう」
習は毛への心酔で知られ、毛の発言をなぞっているので、現在の中国が習により完全に統制されている可能性は高い。
だが中国ウォッチャーの大部分は別の見方だ。習の地位は従来より不安定というのだ。Sinoinsiderがこのことに触れていた。「四次全体会が開催されないのは派閥抗争が激化し習も危うい状況にあるためだ」
香港中文大の中国ウォッチャー、ウィリー・ラムは「一部アナリストは習が地方幹部に不人気で四次全体会開催を見送ったと見ている」と記した。
この説明だと反習勢力が経済失速や米国との貿易摩擦など習の政策失敗を責めている現状と合う。前例のない権力集中を得た「全案件全地点全国民の主席」は逆に誰の責任も問えない。
そうなると2018年12月18日に習が内容の乏しい演説を第11次中央委員会の第三次全体会40周年の席上で行ったのも当然か。これは中国の「改革時代」の始まりとされている。中身がない演説に終始したのは党がそこまで分裂しているためだ。さらに分裂が進みそうな兆しがある。習の前任者かつ今もライバルの江沢民、胡錦濤がともに習の90分におよぶ13千語の演説に同席しなかった。
習の権力基盤が危うくなったとの観測は正しく、四次全体会開催に失敗したのは明らかだ。習が2012年末に就任後の党は淡々と定期的に運営されてきた。人民代表会議は五年周期に、全体会がその間に開催される予測どおりの展開だった。共産党へ関心を有する向きからはこの規則正しい実行を好意的に見てきた。
だが共産党はもはや規則正しい実行ができない。三次全体会は通例の秋にでなく2月に開かれた。習はこの機会を乗っ取り統治問題を取り上げ、任期上限を取り払った国家主席となった。また四次全体会の議題を三次でとりあげたため、四次全体会が未開催なのは上述のとおりだ。
中国軍関係者が米海軍を標的とする発言を普通に行うのは良くないがもっと悪いのは共産党トップが不安定になっているのが明らかなときにこうした発言をはばからないことだ。外部からは北京で何が起こっているのかうかがい知れないが、上層部の摩擦の兆候はだれにでもわかる。
この不調和のため米政府は対中関係を抜本的に見直すことになった。共産党内部の対立により米国にとって望ましくない方向に向かうのはあきらかで、意見対立の原因の一つに対米関係なのだ。
トランプ政権は対中関係の変更に舵を切り始めた。たとえば国家安全保障戦略が一例だ。ここでは中国にはロシアと並び「現状を変更しようとする勢力」の表現が見られる。これは従来よりも現実的な認識への第一歩であるが中国の状況が不安定化しつつ強硬な態度を増しているのは戦略方針の表現を超えている。落ちめの中国が強襲に出る可能性はある。

好戦的な中国関係者が米海軍に奇襲攻撃をかけ数千名の米国人の生命を奪えると公言する中でこれは不安を煽る可能性だ。■



Gordon G. Chang is the author of The Coming Collapse of China . Follow him on Twitter @GordonGChang.

Image: Reuters

コメント

  1. どうでもいいっちゃ、いい事ですが、羅願少将じゃなくて、
    みんな大好き羅援少将ですね。同じ階級と似た名前で、
    お笑い少将が2人も居るとは思えなかった

    返信削除
  2. ぼたんのちから2019年1月8日 18:05

    National Interestがこのような曖昧な(失礼)記事を掲載するとは驚きだ。
    内容が何もない。
    羅援退役少将は太子党で過去から過激な発言を繰り返し、札付きのタカ派の人物だ。
    第四次全体会を開催できなかったのは、重要性の低い会議であり、習は対米貿易戦争の対策に没頭していると考える方が妥当だ。
    習が「地方幹部に不人気」であるかどうかなど、どうでもよいことだ。
    一部の中国「専門家」は、「派閥抗争」、「党分裂」や「反習勢力」など実体のはっきりしない理由をあげて、解釈しようとするが、どのような事実に基づくのか注意して見るべきだ。
    日本の中国専門家の方がより事実に基づこうとしている。
    くれぐれもこのような記事に惑わされないことが肝心です。

    返信削除

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