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ウクライナからユタへ飛んだIl-76が米空軍に持ち込んだものは....

敵に勝つために敵を知る、これは米国人が一貫して行っていることでゼロ戦の捕獲解析、MiG-15もそうでしたね、その他非公表の旧ソ連製装備が大量に米国に渡っています。今回もその一環だったのか、得られる貴重な情報は今後の作戦に大いに役立ちそうですね

Ukrainian Il-76 Airlifter That Was Tracked Across U.S. Delivered Radar Asset To Utah Air Base
ウクライナのIl-76輸送機を追尾したら米本土を横断してレーダーをユタの空軍基地に搬送していた
A radar from Ukraine would allow American personnel to assess how much of a threat it, or similar systems that potential enemies use, might pose.
ウクライナから搬送したレーダーにより敵側が使用した際の性能を米側は評価できる

BY JOSEPH TREVITHICKJANUARY 3, 2019


クライナ空軍のIl-76「キャンディド」輸送機がソルトレイクシティ国際空港に隣接する州軍航空隊基地に姿を表した。同機は米空軍との契約で移動式レーダー装備を搬送したことが判明した。

オンラインの機体トラッカーがいち早く同機に気づいた。ウクライナ空軍は同型を5機しか保有していないが、一機がカナダ東部のオタワ・マクドナルト-カルティエ国際空港を2018年12月3日午前に離陸し西方に飛ぶのを見つけ、同機はソルトレイクシティに東部標準時午後12時前に到着している。

機体トラッカー@CivMilAir から同機は737旅客機登録番号UR-IVK(ウクライナのエアラインDriporavia)として表示と教えてくれた。だがドニポラヴィアに米国路線はなく、737が母国から飛ぶとすれば長距離飛行となる。@CivMilAir はトランスポンダーのエラーか意図的な操作を疑った。




@CIVMILAIR

@CIVMILAIR

@CIVMILAIR



その後東部標準時午後4時に機体スポッターのアンソニー・カーペネティがツイッターに投稿した写真で問題の機体がIl-76で、ソルトレイクシティ国際空港に隣接するローランド・R・ライト州軍航空隊基地にあることがわかった。同基地はユタ州軍航空隊のKC-135Rを運用する151給油航空団の本拠だ。
151航空団が「ヒル空軍基地がまとめた契約により移動式レーダー装備を搬出」させたと米空軍ケビン・ラーセン少佐がユタ州軍航空隊の報道官としてWar Zoneに電子メールで教えてくれた。そこでヒル基地に照会したが原稿執筆時点では広報担当からの回答はない。




Dave Honan
@DWHonan
· Jan 3, 2019
#avgeek spot: Ukraine Air Force IL-76 off Ottawa, heading towards the west coast. Destination unknown to me.@CivMilAir @Aviation_Intel @AviationPhotoAC

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Anthony Carpeneti
@AviationPhotoAC
Friend of mine got her. She’s at the ANG base at SLC. pic.twitter.com/tzGGk1tkGg

3
6:00 AM - Jan 4, 2019
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だがIl-76のレーダー装備搬送先がヒル基地でなくソルトレイクシティーになった理由は不明だ。ヒル基地は同空港の北25マイルの位置にある。また同基地がレーダー装備にどこまで関与しているのかも不明だ。ヒル基地内の契約業務担当が全米の空軍施設関連の契約全般を取り扱っている。その中にはネヴァダテスト訓練施設(NTTR)やトノパ射爆場(TTR)がありその場所は隣接するネヴァダ州にある。

そもそも米空軍がウクライナからこのレーダー装備を受領した理由が不明だ。Il-76は共用戦域発信機を米国に返却しに飛んだのか。これは各種の防空脅威内容を訓練用に模擬発信する装置で米軍はこうした装備を海外演習に持ち込むことがあるが輸送には民間契約企業を介し独自に行うことが多い。
判明している内容から総合すると可能性があるのは米空軍がウクライナのレーダーを購入あるいはリースで受領したことで、いわゆる「海外物資探査」"foreign materiel exploitation" (FME)の目的だったのだろう。米軍は常時「脅威対象の代表的装備」を入手して分解調査して弱点の把握に努めており、実際に運用された際に米軍にどんな悪影響を生むかを解明しようとしている。

ウクライナは米国に友好的な旧ソ連構成共和国で今も各種ソ連時代装備を運用しており、装備品の供給先として貴重な存在になっている。2018年9月には米陸軍が別のウクライナ防空レーダーS-300地対空ミサイル装備関連の36D6M1-1を入手したといわれる。

S-300派生型は今もロシアで運用中でありその他国でも同様だ。その一つが米国の潜在的国イランである。今回のウクライナのレーダーが同一型でなくても同様の装備である可能性がある。


UKROBORONPROM
ウクライナの移動式36D6M1-1レーダー


このレーダーがヒル基地に行かないとすれば、近接するユタ・テスト訓練施設(UTTR)に向かうのは確実だろう。あるいはネヴァダ州のTTRやその他地点に姿を表わすかは空軍契約の内容次第だ。

いずれにせよ、空軍はレーダーが稼働する空域に各種機材を飛ばすことを想定しており、このためレーダーがどのように標的をを補足するのかを知りたいはずだ。また米軍機が電子戦や防御装備をどう行えるかも関心あるはずだ。

ヒル基地は空軍のF-35主要基地のひとつであり、UTTRとも関連があり、レーダーテストには最高の地点だ。ステルス機以外にも非ステルス戦闘機として敵レーダーの制圧破壊任務(SEAD/DEAD)につく機体もテスト対象になる。電子戦、電子情報作戦以外にその他有人機無人機が同レーダーに映るのかも関心を呼ぶはずだ。

さらに外国製の軍事装備品は情報収集の宝庫だ。海外軍事装備品の解析の需要は常に高い。

.だが米軍が最近になり「大国間戦闘」に焦点をあわせたことで想定する相手のロシアや中国の装備品の入手の気運が高まっている。ウクライナからさらに装備品が搬送される可能性は高いはずで、同国がロシアと関係が冷却化していることを考えるとさらに可能性は高い。■




Contact the author: jtrevithickpr@gmail.com

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