スキップしてメイン コンテンツに移動

米空軍のF-15X導入は実現するのか、空軍参謀総長も予算不足に苦慮

昨年末に突如入ってきた米空軍のF-15X導入構想ですが、そんなに簡単にはいかないようです。そもそも連邦政府機能が麻痺状態で2020年度予算案の検討が通常より遅れそうです。空軍参謀総長は苦慮しているようですが、思考方法を変える必要があるのではと思えます。2020年度国防予算については2月がヤマなので今後もっと話題がでてくるでしょう。



If the money is there, new and improved F-15s could be coming soon to the Air Force 予算があれば改良型F-15を空軍に即配備できるのだが

By: Jeff Martin    

159戦闘航空団の122戦闘飛行隊所属のF-15Cがゴーウェンフィールド(アイダホ)から離陸している。2018年7月27日。(U.S. Air National Guard photo by Tech. Sgt. John Winn)

空軍は予算があれば新型F-15Xを調達したいと参謀総長デイビッド・ゴールドフェイン大将がDefense Newsに27日語った。
今年中に新型F-15を導入してもロッキード・マーティンF-35の予算は流用しないとゴールドフェイン大将は述べている。
「F-35で一歩も退くことはない」とし「F-35調達は順調だし、その予算で別の戦闘機は導入しない」と述べた。
2020年度国防予算を巡る観測が増えているがペンタゴンは総額を公開していない。
当初案の総額は7,330億ドル要求だったがトランプ大統領から連邦予算削減を求められ一旦7,000億ドルになり、マティス前国防長官の肝いりで7,500億ドルに膨れ上がった。
2018年12月に空軍長官ヘザー・ウィルソンはDefense Newsに「すべての選択肢がある」と話していたが、26日にゴールドフェイン大将も空軍は予算案複数の作成で対応すると認めている。「7,300億ドル案、7,000億ドル案も作ったが7,500億ドルに落ち着いたらどうなるか」
新型機用の予算がいくらになるか直接わからないはずだが空軍としてはなんとしても調達したいとゴールドフェインは強調した。
F-15Xは改良型としてボーイングが提唱しており、新生産機体に改良型レーダー、コックピット、電子戦の各装備を搭載しミサイル搭載本数を増やしたものでカタールやサウジアラビア向けし機体を改良している。
昨年末にブルームバーグが2020年度予算で12機を12億ドルで調達する案が空軍にあると報道した。記事では州軍航空隊に配備し1980年代調達の旧式F-15Cの後継機にするとあった。
機齢こそ空軍が新型機を求める理由だ。F-15CはD型とあわせ230機程が米空軍にあるが、ゴールドフェインも各機は2030年以降の供用は無理と認めている。「機体性能は素晴らしいのだが経費の上昇ぶりもすざましくなってきた」のだという。
新造F-15調達の決定は昨年末に驚きを持って受け止められた。空軍はボーイングの営業をはねつけてきたからだ。だが26日のゴールドフェイン大将はこの決定で空軍全体で戦闘機がもっと必要との認識につながると見ている。「第四世代、第5世代が補完しあい、より良い効果が出る」
質より量なのかと問うと大将はこう答えた。「F-15C全機を若返らすつもりはない。それだけの予算もミッションの裏付けもない。F-35を導入しながらF-15C部隊を再活性化するのでは望ましい結果が生まれない」
大将は年間72機の戦闘機導入がないと将来の事態に必要とし、平均機齢を現行の28年から15年に引き下げたいという。また72機は全部F-35の想定だが予算がこれを許さないとした。
「資金が都合できれF-35を72機にしたいが支出と性能のバランスから見直す必要がある。F-15はF-35の代わりにならない。絶対だ。とはいえ機数はそろえたい」■


コメント このとおりだとすると数字あわせで比較的安価なF-15Xを「お付き合い」で調達するが本意ではないというのが空軍参謀総長の考えのようですね。そもそもステルス(今は効果があってもいつの日か効果を減じる日が来ます)万能と考えること事態に無理がある気がしますし、戦闘機の概念も今後急速に変化するはずですが、米空軍は思ったより現状維持思考のようですね。こんな調子では第六世代機の実現は無理では。

コメント

  1. 管理人さんは以前からF-35に懐疑的で、事あるごとにF-35の醜聞を引っ張ってきて見る者にアピールしてますが、仮にステルスが無効化されようともF-15ではF-35に遠く及びません。
    そもそもF-35は既存の戦闘機の概念から進化した存在で他種兵器とのリンクによって敵に対し『対等ではない戦い』を強いるゲームチェンジャーです。
    F-15やF-22がイコールコンディションで”試合”でもするならF-35に十分対抗できるでしょうが現実のF-35は状況を作り変えて勝てる環境そのものを作り出す。
    話題の『いずも』搭載機もイージス搭載SM-6の支援を受け、自身の武装を遥かに凌駕する火力と継戦能力を発揮して「たかが数機で何が出来る?(笑」という嘲りを一蹴出来ます。

    詰まるところこの話は『本音ではF-35で全機揃えたいけど金が無いからF-15を改修してお茶を濁そう』というものでしかなく、F-15Xが素晴らしいからF-35とは別途導入しようという話ではないという事ですね。
    日本人の感覚ではF-15JやF-2と比べてF-35はかなり御安い戦闘機なのですが米軍ではF-16やF-15Cが遥かに安かったのでF-35の価格でも厳しいと映るのでしょう。

    返信削除
  2. F-15Xが、どれくらい安くなる前提なのでしょうか?
    12機12億ドルでは、F-35Aより高いですし、改修ではなく新造としているので、価格メリットはないので、何を考えて発言したのか?大きな疑問です。
    既存改修なら予算削減しても機数を確保できるかもしれませんが。
    最近の高官の発言は???つくことが多いので、思いつきの無責任に発言してるのではないかと思ってしまいます。
    F-35Aが1機1億ドル切った今では、かなり安くしないと駄目でしょう。できないと思いますが。

    返信削除

コメントを投稿

コメントをどうぞ。

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...