スキップしてメイン コンテンツに移動

★レイルガンなんか目じゃない 米海軍が昨年のリムパックで超高速弾を試射していた!

Mach 7.3 'Bullets': The U.S. Navy Tested a "Hypervelocity Cannon Round" マッハ7.3の「弾丸」を米海軍が「超高速砲弾」としてテストしていた

.



海軍が新型超高速砲弾の実弾テストを2018年に実施していた事が判明した米海軍協会が伝えている。


今回始めて公表された試験発射は中国が極超音速兵器の開発を進める中で米海軍にとって大きな一歩になる。


駆逐艦USSデューイが超高速砲弾HVPをMk.45 5インチ砲から20回発射したとテストに詳しい筋が述べたと同記事は伝えている。


同記事によればテストは2018年夏のハワイ沖で展開されたリムパック演習でのことだが試射の効果は不明だ。


実験には海軍のほかペンタゴンで新兵器開発を極秘に行う戦略戦力室が立ち会ったと言われる。


「極超音速」の定義はマッハ5以上の飛翔体だ。海軍標準のMk.45艦載砲は重量70ポンドの通常弾薬をマッハ2.2ほどで13マイル先に飛ばす。今回の超高速弾はマッハ7.3で50マイル先を狙うと言われる。


「HVPは次世代には普通の存在になる誘導式の低抗力発射弾で、既存の各種砲で運用可能です。海軍の5インチ砲、海兵隊・陸軍の155ミリ砲、また将来の電磁レイルガンなどです」と超高速弾のメーカーBAEシステムズがウェブサイトで説明している。


BAEによればHVPは対地、対水上のいずれにも有効な攻撃手段となり、その他巡航ミサイルや弾道ロケットも狙えるという。


HVPがこれだけの高速を出せる秘密は抗力を抑えた空力設計にある。口径が異なる各種砲門におさまるよう、HVP本体はケースに入り、発射後すぐ円錐形の砲弾部分が分離する。


超高速発射弾は運動エネルギー兵器のため、弾頭はなく、衝撃で発生する力だけで相手を破壊する。BAEは新型砲弾では「正確な誘導電子装置」が発射する艦艇や砲兵隊に必要となると説明。


HVPの単価は9万ドル程度といわれる。
米艦デューイの試射は中国で超高速艦載砲の存在が2018年1月に周知になった数カ月後のことだ。中国海軍の揚陸艦海洋山が河川に係留され新型大型砲を艦上に搭載している写真が流布した。


同年3月に中国国営通信が問題の砲はレイルガン試作品と認めた。海洋山が外海にある新たな写真が12月にあらわれ、試射のため出動したのだろう。


米海軍は2012年以来独自にレイルガン開発に向かってきたが、2019年初頭現在海上公試はまだ実施していない。


レイルガンは発射弾を電磁力で極超音速に加速し、通常火薬を用いない。しかしデューイ実験で通常型火砲でも極超音速加速を実証できた。


2016年にオバマ政権の国防副長官ロバート・ワークは発足前のトランプ政権にレイルガンより超高速弾開発に資金投入すべきと助言していた。


「レイルガンは行く行く必要になるが火砲でも同じ超高速弾を発射可能で同じ効果が得られるとわかり、こちらのほうが早く実用化できる」とワークは述べていた。


米軍としては既存砲塔でマッハ7で砲弾を飛ばすことでレイルガンで進展を示す中国を一気に引き離したいところだ。「既存砲で革命的な効果が実現するのであり、榴弾砲、(米陸軍の)パラディン自走砲、海軍の5インチ砲のどれでもいい」とSCO室長だったウィリアム・ローパーが2016年に述べていた。「ということで重点をこちらに移す」「通常火砲なら何千門もありますが、レイルガンは皆無に等しい」

David Axe serves as the new Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels War Fix, War Is Boring and Machete Squad.

コメント

  1. 以前に技本が10式戦車用に試作した135mm砲で砲口初速2000m/sを達成してますが、ほぼ同じ数値ですね。
    炸薬の発射ガスで砲弾を撃つ仕掛けではこの辺が限界速度と思われますが既存の砲システムでそのまま撃っても大丈夫なんですかね?
    10式用の強装弾を(同じ規格なので装填は可能だが)90式で撃ってはいけないような制限はつかないんでしょうか?
    それにしても量産すればこなれてくるのでしょうが1発9万ドルは高いなぁ・・・。

    返信削除
  2. 原文を読んではいませんが、この話はレイルガンでならM7.3で発射できるHVPを在来型火砲のMk45でも発射できるというだけの話ではないでしょうか?
    在来型火砲では、M7なんて初速を出すためには移動装薬の様な定圧加速やETCなどの新技術で大改造する必要があるでしょう。しかし、これら技術が実用化できたという話を聞きません。無論、在来型火砲そのままでも、米陸軍ARLで120mmで100口径に延長した実験砲なら初速2500m/s出ましたが、サイズ的に実用性はありません。HVPは低抵抗を売りにした長射程運動エネルギー弾ですが、順調に見えたレイルガンが開発遅延し始めたために、BAEが代替セールスとして用意したと考えた方が良いと思います。

    返信削除

コメントを投稿

コメントをどうぞ。

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...