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米海軍第六世代機でAIの導入はここまで進む

Navy Sees AI-Enabled 6th-Gen F/A-XX Fighter to Come After F/A -18 

F/A-18後継機として米海軍はAI活用の第六世代F/A-XXを想定

The Navy's "6th-Gen Quandry" - Build New or Adapt Best Current Air Vehicles? 第六世代機で米海軍は完全新型機か現行機の進化系として開発かの難問に直面
Boeing Image

海軍はF/A-18後継機となる第六世代戦闘機の機体構造、目標捕捉性能、AI利用のセンサー、新型兵装、エンジン等を検討中だ。

海軍は次世代航空優勢機構想Next-Generation Air Dominanceの構想段階を終え、装備品、機体の試作型製造を開始しており2030年代以降に登場する第六世代艦載戦闘機の実現を目指す。

正式な代替策検討は今年中に完了見込みで現在ある技術から派生型や改修型とすべきか、あるいは時間かけても新技術を搭載すべきかの結論を出す。

第六世代機では今後登場する新型兵装や技術が実用域にどこまで到達しているかを見極める必要もある。

その例が次世代ステルス技術でレーダー探知を逃れる塗布剤、高性能排熱管理の技術開発があり、一部は実戦域に急速に近づいている。ただし新型ステルス技術やAI利用のセンサーが今後も有効かは不明であり海軍開発部門は現行技術を最大限発展させたほうが意味があると見ている。

この課題は「第六世代機の難問」と呼ばれ、第六世代戦闘機開発を画期的技術の実用化まで待つべきなのか、現行技術を最大限活用しつつ性能改修できる機体にすべきかの難しい選択だ。

2016年の海軍高度技術大学院論文がこの点を指摘し、現行装備品で長期間に渡り有効な技術として、「航空戦に特化した新型F-35派生型」、今後登場するB-21、無人機の母機となるC-130、「兵装を満載した弾薬庫航空機」が現行技術の最適化事例とする。

この理屈で行くと現行機種を最大限改修した装備と今後10年ほどで開発される完全新型機の間に大きな差はなくなる。

こうした改修装備にB-21に導入される新型ステルス技術を付加すれば海軍航空戦力は今後ながく十分な航空優勢を実現できるのではないか。また完全に「ブレイクスルーな」機体を目指すリスクを軽減して浮いた予算等は航空戦の様相を変化する新技術開発に投入できるのではないか。.

さらに現行のセンサー、エイビオニクス、兵装装備がAIに依存度を深めており、アルゴリズムや処理速度の改善で性能が向上するはずだ。完全な新型機がそもそも必要なのか、2030年代まで待てば圧倒的性能の機体が実現する保証があるのかとの疑問が提示されている。

こうした視点から海軍は完全新型機、現行機の究極的進歩の双方を見据えた対応をしている。AI応用、センサーの小型化、標的捕捉技術、無人機運用技術等の今後の戦闘の様相を変える技術はすでに存在している。このため既存機種をもとに近未来の機体を開発できる。

この方針決定いかんでF/A-18の耐用年数をどこまで確保すべきかが決まる。耐用年数延長事業で飛行時間は8,000時間に延長された。さらに機体構造とエイビオニクスに手を入れ海軍は1万時間への延長を目指す。

改修内容は広範で、F/A-18の戦闘能力は将来でも有効と海軍関係者は本誌に語る。改修は機体構造を手はじめに、機体中央部の「バレル」を交換し、ナセルの金属疲労を点検する。

航法装備も一新し、デジタル記憶装置、ミッションコンピュータ、ヘルメット搭載型目標捕捉装備、電子スキャンアレイ・レーダーも導入する。パッシブセンサーのIRSTで電子信号を発せず敵を探知すれば電子攻撃から免れる。

第六世代機ですべてはAIに通じる

AIが今後の基本となることで意見は一致している。NATO加盟16カ国の専門家がまとめた2017年技術論文ではAIが人的能力を超えるのはいつ、どのように進展するかを論じた。ペンタゴンで戦略装備整備室長を務めたウィリアム・ローパーは「AIは人間の対応力を超えた形で発展している」と述べていた。

例として「スマートセンサー」で膨大な戦闘情報を収集、分析、整理する作業がミリ秒単位で実現する。これはAIアルゴリズムを使うもので、従来のようにレーダー出力を引き上げる必要はなくなる。外部アンテナ、ポッドやその他構造がなくなり、レーダー探知につながる要素が機体から消えることになる。

「スマートセンサーやスマートアンテナアレイが適応型になると機体組み込みが可能となる」との指摘もある(“Sensor Technology and Futuristic Of Fighter Aircraft, “ Jain Univ)

同時にセンサー探知範囲が大幅に広がり、データ共有と長距離接続が可能になればこれまでにない利点が戦闘空間で実現する。戦闘のネットワーク化で新課題も浮上する。「組み込み式ISR」は「超高度接続社会」の安全保障リスクにつながりかねないと憂慮する向きもある。

「ネットワーク内の全員が同じく見聞きすることにならない。階層別に情報を仕分ける必要とともに、ネットワーク機能の低下に場合に備え予備装備も必要だ」と指摘する論文もある。

膨大なISRデータを集計、解析、組み立てる課題こそAIや高速処理機能の本領が発揮できる分野だ。高度アルゴリズムでリアルタイム分析を十分な処理能力にかければ戦闘関連情報が即座に得られ、標的捕捉、情報共有が可能となり人間の意志決定を大幅に迅速化しながら優先事項への対応が可能となる。

AIの力を借りたリアルタイム分析技術で戦場の意思決定は普通なら利用できないほどのデータをもとに行うこととなる。アルゴリズムで新しい情報と大量の蓄積情報を統合し、人の介在なく十分な情報の裏付けのある意思決定が可能となる。「認知の負担」を軽減することとされるAIとマンマシンインターフェースの反復は本来なら不可能な情報解析の課題を与え、究極の意思決定は人間が指揮官として行えば良い。AIが主観的な情報を判別し整理統合する能力に向かっているとはいえ、やはり人間にしかできない意思決定能力や問題解決の得意分野があるのだ。
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Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army - Acquisition, Logistics& Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at National TV networks. He has a Masters in Comparative Literature from Columbia University.

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