これはすごい。オスプレイより大胆な性能域を見ざすのは戦闘偵察や兵力投入などより厳しい実戦条件での供用を想定しているからでしょう。ではオスプレイはどうなるのか。そのオスプレイでさえあれだけ反対の声を(某国の思惑通り)上げた人たちはこんな機体が配備されれば発狂するのでは。
Bell V-280 Flies 322 MPH: Army Secretary Praises Program ベルV-280が時速520キロを達成。陸軍長官が評価
By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on January 24, 2019 at 6:16 PM
ベルV-280ヴァラー試作機が時速280ノット(519キロ)を超える速度に今週到達したと同社が発表した。今後さらに速度を上げるという。
ベルのティルトローターが進展する中で米陸軍の次世代垂直離着陸輸送機(FVL)事業でライバルのシコースキー=ボーイング共同開発のSB>1デファイアントは初飛行を実施できず遅延している。陸軍長官マーク・エスパーがFVLは陸軍装備近代化のモデル事業だと評価した。
陸軍長官マーク・エスパーはFVL事業を賞賛
ベルが新記録達成をメールで知らせた一時間前にエスパー長官がFVLに言及し、企業名こそ上げなかったが二社のうち初飛行までこぎつけたのは一社のみと発言。V-280のスピード新記録樹立の件が長官の耳に入っていたか不明だが陸軍の一部は知っていた。
「工期・費用での超過リスクはいつもあり、対応が求められます」と長官は報道陣に会計検査院GAOから陸軍の装備近代化で懸念表明があったことに言及し、「そこで試作で要求性能を事前チェックし、実現達成可能にしており、その好例が次世代垂直輸送機事業です」と同事業を取り上げた。「試作化はずばぬけており、すでに一機が飛行を開始し、残りも近日中に飛ぶはずです。現実的な解決策の模索に効果が高く、過ちは繰り返しません。」
長官の言う過ちとはなんのことか。陸軍はこれまで野心的な希望を掲げたあまり悲惨な経験を繰り返してきた。ステルスヘリコプター、C-130で運搬可能な小型戦車等々で、実現不可能だったり高額すぎると判明して取りやめてきた。大規模戦に備え装備更新を迫られる中で繰り返しは許されない。「開発、配備しても使えない装備の導入をするつもりはありません」
FVL試作機事業は正式名称が共用多任務技術実証機 (JMR-TD)で2011年開始と長期間にわたっている。だが今や努力がまたとない時期に実を結ぼうとしている。
280ノットは限界ではないとベル幹部は得意げに語る。「ダッシュスピードで280ノットを超えるはずです」とカール・ホフマン(高性能垂直離陸機事業営業戦略部長)が電話で伝えてくれた。「機体設計上でどこまで行けるか正直わかりませんが性能上限を引き上げていきます」
280ノットを達成したフライトは貨物や人員を搭載せず、テスト機材のみだったと同社も認める。だが設計上は戦闘時に満載でも280ノットは出せると同社は説明。
体裁よく数字をまとめているのではない。最高速度は軍用機で重要で敵陣内でロックオンで撃墜されないため高速が必要だ。タリバンやISIS戦闘員のようなローテク勢力からロシア、中国のような高度戦力が相手の戦いへ切り替える中で防空網突破は重要だ。
ただしダッシュ速度は永久に続けられない。運用上では巡航速度が意味がある。ティルトローターではヘリコプター同様の離着陸、ホバリングができ、ターボプロップ機同様の巡航速度と航続距離に意味がある。
「長距離巡航飛行で280ノットを若干下回る速度を目指し、燃料効率も重視します」とコフマンが述べている。標準型の輸送ヘリと比較すると長年活躍中のUH-60ブラックホークが巡航速度150ノットでV-280の53%に相当する。重装備重装甲のAH-64もほぼ同様だ。ベルではV-280を従来型ヘリの「速度二倍、航続距離二倍」とし、都合よく数字をまるめているがテスト結果を見ると実態とかけ離れていないようだ。
ただしV-280の長距離飛行テストは未実施で、これまでの最長飛行はアマリロ工場からベルの試験場のあるテキサス州アーリントンまで約370マイルだ。この距離でもUH-60の最大航続距離317マイル(最新M型)より16%長いが長距離飛行の場合は追加燃料タンクを搭載するので貨物輸送量が減る。
「機体性能とともに燃料消費率にも満足しています」とコフマンは語り、「次は航続距離です」とし目標は575マイルから920マイル(500から800カイリ)とミッション内容により変わる。
V-280が次に試されるのは機動性だ。巨大ローターを左右に付けたティルトローターの挙動はヘリコプターと相当に異なり、ライバルのシコースキーはベル機は低速や低高度で機敏な取り回しできないと指摘している。
「高度Xでの取り回し」は陸軍には重要で強襲部隊を着地させ負傷者を回収する場所はジャングルから大都市まで多様だ。これは海兵隊や空軍特殊作戦部隊でも同様で同じベルの大型V-22オスプレイを長年供用しているが不満は聞こえていない。V-280ではV-22の知見すべてを使いつつ機体は半分程度に縮小している。
ティルトローター採用前に「陸軍は低速域での機体取り回しを心配していたはず」とコフマンは述べ、ただし「利用者は機体性能にご満足いただき要求取りの操縦特性を発揮していますがね」とする。■
水平飛行するベルV-280。同機はFVL事業の有力候補と広く見られている。
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