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中国の台湾侵攻作戦準備はどこまでできているのか 


キーポイント
  • 正式海上輸送能力に加え民間輸送船を徴用すれば中国は12個師団を運べる
  • 空輸でもY-20多数が就役すれば大幅に増えるが、同時に台湾空港内の旅客機を徴用して大量空輸が可能
  • 台湾は警戒を怠れず、新型装備の配備も始まっている
  • 中国軍が橋頭堡を築かれれば台湾にとっての「悪夢」の国内戦がはじまる
  • 中国指導部は台湾武力侵攻をためらわない姿勢を示しており、2020年を一つの目安にしている
    The Next China Threat: An Invasion of Taiwan?
    Could Beijing really do it?


by Wendell Minnick
January 2, 2019  Topic: Security Region: Asia  Blog Brand: The Buzz Tags: TaiwanChinaMilitaryTechnologyXi JinpingWarTaiwan Strait

23百万人が暮らす台湾への侵攻準備がどこまで中国で進んでいるかがシンクタンクが開いた会議で中心話題だった。
ワシントンに本拠を置くプロジェクト2049研究所が主催したのが「悪夢のシナリオ:PLA侵攻の脅威と台湾の対応」と名付けられた会議でDデイマイナス45-30日から進行実施後までの状況を点検した。
プロジェクト2049会長リチャード・アーミテージ(元国務副長官)からは台湾の防衛計画部門は中国の脅威を全周囲で警戒すべきで、台湾海峡の西側だけ警戒するのでは足りないと述べた。
中国には揚陸舟艇が不足と言われるがロールオン/オフ型船舶を活用すれば台湾への上陸作戦は不可能ではないと指摘。
「台北港に電撃攻撃をかけ橋頭堡を確保する状況が考えられます。ぞっとする、不快かつ悪夢的なシナリオですが想定すべきであり対応を考えておく必要があります」(アーミテージ)
台湾海軍退役大将リチャード・チェンからは台湾が「対岸からとてつもない圧力を受けている」と述べた。

チェンは以前国防副大臣も務め、軍部は中国の侵攻の45-30日間前から警戒を始めると紹介。台湾の早期警戒が想定どおりに機能し各センサーがミサイル、機体、艦船をすべて追尾刷るのが条件だ。「三軍で総合状況が共有できるので誤算や誤解が減ります」

誤って判断すれば台湾は沿海部での侵攻部隊撃破に失敗し、「中国軍を海岸で掃討する悪夢のシナリオ」(チェン)に突入する。
退役海兵隊大将ウォーレス・「チップ」・グレグソンからは「地理条件と海峡の幅110マイルの要素」が台湾に有利とながらも「台湾に不利な状況が増えつつある」とした。

ただ台湾に有利なのは費用対効果が優れた方法で巡航ミサイル弾道ミサイルを撃破できることで、「防衛側の手段のほうが標的よりずっと安価」だとグレグソンは指摘。台湾が新型PAC-3ペイトリオット対弾道ミサイル防衛装備、同様の能力を持つ天弓 Tien Kung 装備の配備を理由に上げた。
「最高の条件で空陸海の防衛をしてもPRC(中国)は何らかの足場を台湾島のどこかに確保するだろう」(グレグソン)
そこから「悪夢」が始まる。「台湾の陸上兵力が海軍空軍の完全支援を受けて機動力を発揮し火力、近接戦で敵を撃破するのが必須です」(同上)

国際評価戦略センターのアジア軍事問題主任研究員リチャード・フィッシャーからは中国の軍事装備近代化の現況が報告された。習近平始め中国指導部は2020年を一つの区切りとして台湾侵攻を発言している。
海上輸送能力は4個師団4万名規模で戦車800両を運べるまで拡充されており、強襲揚陸艦の建造では7万トンの071型ドック型揚陸艦7隻、2-4万トンの071型ドック型ヘリコプター揚陸艦が6隻あるという。
こうした正規の輸送艦以外の船舶を徴用すれば12個師団つまり8万から12万を輸送可能だ。また自力航行可能なはしけ104千隻があり、多くがロールオン/オフ型で港湾の確保後に動員される可能性がある。
空輸能力では100トン輸送可能なY-20大型貨物機を400機生産する方針があり、ヘリコプターは1千機超で地上兵力を運べるという。
桃園国際空港を中国が確保すれば、同空港内のボーイング、エアバス旅客機を接収し中国軍の人員装備を輸送できるとフィッシャーは指摘。すべて動員すれば一日で台湾へ160万名を運び込める。
投入可能な戦闘機は2020年には1,500機を超えるはずで、成都J-10、瀋陽J-11(Su-27)やJ-16が先陣を切るだろう。
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フィッシャーは台湾国内の「第五列」親中勢力が侵攻を支援するとも警句を鳴らしている。
台湾は侵攻を黙ってみているわけではない。侵攻を遅らす効果がある新装備配備が続いている。超音速対艦ミサイル雄風三型 Hsiung Feng 3 や空対地ミサイル萬劍 Wan Chien だ。またF-16及び国産防空戦闘機の性能改修を行いながら新型訓練戦闘機の開発を進めている。■



Wendell Minnick is an author, commentator, journalist and speaker who has spent two decades covering military and security issues in Asia, including one book on intelligence and over 1,200 articles. From 2006-2016, Minnick served as the Asia Bureau Chief for Defense News, a Washington-based defence weekly newspaper.

Image: Reuters.

コメント

  1. ぼたんのちから2019年1月5日 20:28

    習が新年早々台湾への武力行使の可能性を述べるなど、台湾の武力侵攻の時期が近付いているように見える。台湾軍と人民解放軍(PLA)の戦力差は大きく、中国はいつでも台湾侵攻が可能な状況にある。
    PLAは、航空機、ミサイルによる圧倒的な攻撃、サイバー攻撃、その後のはしけの大群、及び正規艦艇による部隊上陸、第五列及び降下部隊による同時攻撃等を行うだろう。この攻撃の混乱で、台湾の防衛は十分に機能しないだろう。これらPLAの同時攻撃に対する的確な防御はかなり困難と思える。
    習は、台湾「解放」への思い入れが特に強い。中国の台湾の獲得は、習の個人的執念の達成のみならず、PLA海軍にチョークポイントの無い西太平洋進出の根拠地を与えるとともに、中国の地政学的な閉塞状況を打開することになる。この状況は日本も無関心でいられないはずだ。
    中国がすぐに台湾侵攻を行わない理由は、米中戦争の引き金になるからで、長期の戦争となれば輸入依存度の高まった中国経済を麻痺させ、継戦能力を低下させ、また、社会的混乱は中国共産党による独裁体制を崩壊させる可能性があるからと推測する。よって台湾侵攻は習にとってかなりの冒険になる。
    結果として、米国の台湾政策が最大の抑止力となるが、過去の米政権の台湾への関与の強さは一定でなく、弱まる可能性もある。
    日本は、将来、米政権が台湾への関与を弱めることがあれば、即座に台湾危機と成り得ることにもっと注意を払うべきだろう。日本が東アジアの現状を維持したいのであれば、旗幟を鮮明にして、公然と台湾を支援すべき時代に来ているのかもしれない。

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