スキップしてメイン コンテンツに移動

中国が新型ステルス爆撃機二形式を開発中と判明、とくにJH-XX戦闘爆撃機が要注意


Intel Report Confirms China Developing Stealthy Tactical Bomber In Addition To Strategic Bomber

米情報機関が確認 中国はステルス戦術爆撃機を戦略爆撃機と並行開発中

News of China's development of a long-range stealth fighter bomber is a punch to the gut to those who long championed a similar concept for the USAF.

中国が進める長距離ステルス戦闘爆撃機開発は米空軍の独壇場を奪いかねない


CHINESE INTERNET

情報機関が中国のステルス爆撃機は一種類のみでなく二形式が開発中であると初めて公表した。H-20ステルス重爆撃機では以前も報道があったが、あらたに小型で地域内作戦に特化したステルス爆撃機JH-XXの存在が明らかになった。
国防情報局(DIA)がまとめた最新の中国軍事力の報告書が1月15日公開された。冷戦時のソ連軍事力報告にならいDIAは中国に特化した報告書を2017年から刊行している。今回は2018年11月現在の情報をもとにまとめた。
「PLAAF(人民解放軍空軍)が新型中距離及び長距離ステルス爆撃機を開発中で域内外の標的の攻撃を狙っている」と報告書別冊で解説している。「新型爆撃機ではステルス技術が中心で、2025年までに初期作戦能力を獲得するだろう」
報告書では情報はごくわずかで、名称にも触れていない。「新型爆撃機各型は全面的に現状の爆撃機の性能を上回り、第5世代戦闘機技術を盛り込んでいる」とだけ述べている。
報告書では名称に触れていないが、「長距離ステルス爆撃機」が西安H-20であることを脚注で認めている。同機は全翼機形状でノースロップ・グラマンB-2スピリットと似ると言われる。
同機の戦闘半径は4千から5千マイルで機内に大型兵装を搭載するとDIAは述べ、アクティブ電子スキャンアレイ(AESA)レーダーで標的捕捉能力が向上し脅威にも対応するとする。DIA報告書では「精密誘導兵器」も運用可能とあり、直接攻撃用スマート爆弾、スタンドオフ対地対艦ミサイルまで広く想定している。
AVIC CAPTURE VIA CHINA DEFENSE ONLINE

H-20の画像、想像図はともに存在しないが西安の親会社中国航空工業AVICが2018年5月にプロモーション映像を公開している。これは2015年のスーパーボウルで放映されたノースロップ・グラマンB-21爆撃機のティーザー広告を模倣したものだった。
核非核両用のCJ-10KあるいはCJ-20対地巡航ミサイルを搭載すればH-20で中国は全く新しい戦略攻撃能力を手に入れ、アジア太平洋各地を攻撃する選択肢が生まれる。「同爆撃機が配備されれば中国に初めて実用に耐える核兵器運用三本柱が生まれ、冷戦後に改善された生存性と抑止力効果を享受するだろう」と報告書はまとめている。
対艦ミサイルをステルス長距離爆撃機に搭載すれば今までと違う脅威になり、特に米海軍の空母打撃群には深刻だ。中国に有事に特定の太平洋地区を立ち入り禁止にする手段が手に入ることになり、少なくとも敵対勢力は侵入のリスクを意識せざるを得なくなって進路変更したり移動を遅らせるかも知れない。長距離センサー機材として運用する、標的捕捉の中継機とすればH-20は数百マイル数千マイル先の自軍に情報を伝える機能を果たせそうだ。
DIA報告書では「中型爆撃機」について「戦術爆撃機」であり「戦闘爆撃機」と述べている。だがその対象が瀋陽航空機が発表した設計のことを指しているのは確実で、一般にはJH-XXとして知られている。

DIA
中国の固定翼機の進展を示す表にH-20「戦略爆撃機」とJH-XX「戦術爆撃機」が見られる。

一部にはJH-XXとは瀋陽の戦略爆撃機提案でH-20案に敗退したものとする説がある。だがDIA報告書では両機は別の開発案と解説している。まず小型機の画像が2013年にインターネットに現れ、設計はそれ以前のものと思われた。H-20は2000年代から開発が始まったと言われ、J-20ステルス戦闘機は1990年代に始まった事業との報道がある。
その画像をもとに各種想像図が出現したが戦闘機のような後退翼、双尾翼、リフティングボディ形状の双発機で空気取入口がそれぞれ機体上部コックピット後方についている。H-20同様にDIAでは同機にもAESAレーダーがつくとしている。
CHINESE INTERNET
2018年5月の中国雑誌「航空知識」表紙にJH-XX想像図の最新版が掲載された。同誌は中国で一番長く刊行されている航空専門誌

これまでJH-XXには機内兵装庫以外に側部に空対空ミサイルを収める兵装庫があるといわれてきたが、DIA報告書では同機に「長距離」空対空ミサイルが導入され、「精密誘導爆弾」も搭載すると述べている。
あわせて同機の最大離陸重量は60から100トントとしているが低い数字のほうが可能性が高い。機体全長が100フィートほどとの推定のためだ。またH-20より戦闘行動半径は相当短く、推定では1,000ないし2千マイルで近距離、地域内作戦用だろう。
その性能でも在日米軍やグアムなどの戦略拠点には十分脅威となるし、インド国内の基地も攻撃範囲に収まり、南シナ海も同様だ。設計は速度を重視しながらステルスも実現するようだ。戦闘爆撃機の形状だと出撃回数のみならず敵防空網突破でも威力を発揮しそうだ。なかんずく多用途運用が可能で長距離空対空ミッションも脆弱な給油機の助けを借りずに行い、沿岸部基地の利用も不要となれば全面戦争で脆弱性を排除できる。
DIA
.DIAの2019年版中国の軍事力報告でPLAAF主要部隊の配置図が掲載されており、爆撃師団が国内各所にあることがわかる

大型機、小型機それぞれのステルス爆撃機が中国で開発中と判明したことはこれまでの情報の混乱を整理するのにいい機会だ。二機種の詳細を追求するあまりメディアでは性能面で矛盾する内容が散見された。
つまるところ中国の地域内爆撃機構想は2000年代なかごろの米国の侵攻型「地域内戦闘爆撃機」構想と類似している。ロッキード・マーティンがFB-22構想、ノースロップ・グラマンがFB-23案をそれぞれ提示したが共に採用されなかった。FB-22はF-22ラプターステルス戦闘機を大型化し、対地攻撃兵装と対空ミサイルを搭載する構想だった。機体を拡大して機内兵装搭載量を増やし燃料も増やすとともに搭乗員を二人にし、主翼下にステルスを意識し大量の兵装をポッドに入れて搭載し、通信真センサーパッケージも追加する構想だった。
FB-22では設計が六案もあったといわれる。想像図ではデルタ主翼でF-22を大型化した機体になっていた。FB-22の戦闘行動半径はJH-XX同様でステルスを維持し15千ポンドを搭載するはずだった。外部ラックも使えば30千ポンドを搭載したがステルス性は一部犠牲となった。スピードを重視し原型機同様にスーパークルーズ性能も持つ想定だったがラプターの2D推力偏向ノズルは重量と構造が複雑なため省略された。
LOCKHEED MARTIN
.FB-22想像図。尾翼が二枚になっているが他の案では一枚だ。


JH-XXもFB-22同様のミッション構想かもしれないがノースロップ・グラマンのFB-23構想のほうが中国機に近い内容だ。瀋陽航空機の設計案、航空ファンの作成した想像図はYF-23に極めて似ている。ことに尾翼と機体後部は全くのコピーといってよい。
実現しなかったがFB-23は地域内戦闘爆撃機として最適の機材になっていただろう。原型のYF-23では優れた特徴が逆にYF-22を有利にしたが、低視認性高性能長距離戦闘爆撃機としては威力を発揮したはずだ。
NORTHROP GRUMMAN
FB-23想像図

JH-XXはこうした米戦闘航空機構想と似たところが多いことから中国が米国の地域型爆撃機構想をよく観察していたことがわかる。米構想は2006年に取りやめになった。中国が諜報活動で各種データを入手した可能性もあり、機体開発に利用したのではないか。
中国の諜報活動では前例があり、ハッカー集団がF-35の機密情報を大量に盗み、同機にそっくりのJ-31(FC-31)がわずか数年後に出現しちる。J-20にもF-35やF-22で使われている極秘技術の特徴が見られる。またこれは氷山の一角にすぎない。米ステルス機技術や航空宇宙産業戎二中国が深く侵入している事例はよく知られている。
JH-XXの実機が全く違う形になる可能性もあるが、ミッション要求は明確である。そこでJH-XXの出自はともかく、その存在は確実と長年いいつづけてきたように地域内運用の戦闘爆撃機として給油機の助けを借りずに運用できる同機こそUSAFが本来必要としていた機材だ。逆に第5世代戦闘機を懸命に開発してきた米側には行動半径数百マイル程度の機体が残った形だ。
CHINESE INTERNET
上の想像図の出所は不明だが噂される中国の地域内戦闘爆撃機開発の設計案をもとにしたものだろう。DIA画素の存在を確認した。

米ステルス戦闘機には中国の接近阻止緩衝帯を突破するだけの航続距離がない。USAFはステルス給油機を開発してこの弱点を克服したいとするがステルス戦闘機は非常に高額かつ今後多数が配備されるのに、ステルス給油機では問題の解決にならないだろう。
B-21レイダーステルス握撃機が100機超の大型調達になれば欠点は一部克服される。だが爆撃機だけでは戦闘爆撃機並みの柔軟な運用はできない。両機種があれば接近阻止への究極の対抗策となるのだが。
米国が航空戦闘能力で優位に立つ機会を逸するのは今回に限らないが、今回は米国が断念した分野を中国が継続して高性能軍用技術として実現する実例になった。中国は同様に海軍用の電磁レイルガン、ステルス無人戦闘航空機でも着実な進歩を見せており、他方米側はもたついている(少なくとも表向きには)。その他にもPLAではここ数年大型開発が続いており、空母同時建造、原子力及び高性能ディーゼル電気推進潜水艦の建造、極超音速兵器、長距離対艦弾道ミサイルの配備など多数ある。
「中国は資金資源を投入し手段を問わず技術取得に向かっている。...その結果、各方面での技術入手によりPLAは世界有数の最新式装備の実戦配備寸前に到達している」とDIA報告書は巻頭の要約部分で説明している。「一部ですでに世界トップクラスになっている」
そこで中国が長距離ステルス全翼機、ステルス侵攻型中距離攻撃機の2機種が早ければ2025年にも実戦運用を開始しようとする中、まずH-20のロールアウトが今年末にありそうだ。
以前から強調してきたことの裏付けになる。DoDは中国の意思の力、諜報能力、技術力を過小評価しすぎてきた。技術面での優位争いで近視眼的態度をとってきたツケを払わされようとしているのだ。■
Contact the author: Tyler@thedrive.com

コメント JH-XXは旧ソ連のバックファイヤーのような存在になるのでしょうか。長距離スタンドオフ攻撃というシナリオは冷戦時と同じですが、ステルス性能が加わったところが違いますね。それにしてもハッカー軍団による知的財産の侵害は計り知れない損害であり、ついに米国が頭にきて中国への締め付けを初めたわけですが、今後数十年間に渡り西側はそのツケを払わないといけないのでしょうか。自分で作るより盗めばいいという中国人の発想そのものに問題がありそうですが、覆水盆に返らずです。今後の再発防止とともにハッカーへの復讐を期待しましょう。それにしてもF-23が実現していたら世界は変わっていたのではないでしょうか。

コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ