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Why Germany Should Further Boost Defense Spending, and Why It Probably Won’t
国防予算を増やす必要があるのにドイツがおそらく増やさない理由とは
Also: why the Trump administration should shut up about it.
BY FRANZ-STEFAN GADYREAD BIO
MARCH 19, 2019
フランス大統領エマニュエル・マクロンが3月4日にヨーロッパに挑戦状を突きつけた。新しい「欧州ルネサンス」として国防予算増加とともに防衛安全保障の新しい条約整備を提起したのだ。さっそくドイツから賛同の声があがった。中道右寄りキリスト教民主同盟党首アンネグレート・クランプ=カレンバウアーも提案5点を発表した。「欧州空母」建造や欧州戦略機構の再構築でグローバル規模の安全保障と平和の守り手になるという内容だった。
ただしクランプ=カレンバウアー構想が象徴的以上の存在になる可能性は当面ない。マクロンには悪いニュースで欧州の雄たる仏独両国への支援がないと政治改革も不可能となるからだ。
ドイツにも悪いニュースだ。軍事冒険主義と全体主義国家の過去に未だにとらわれている同国政界は軍事力への慎重な姿勢がなかなか見直せない。だが世界は新段階に入ろうとしており、米中ロ三大国がむきだしの権力抗争に向かう。欧州はその中に挟まれ、ドイツが「世界内政治」と称してきた「軍事力行使を厳しく制限しつつ仲裁には正統な根拠を認める国際間のしくみ」が急速崩壊する可能性が出てきたのだ。
ドイツは簡単に納得しない。2018年9月の世論調査でドイツ国民の43パーセントが国防予算増を支持したが、55%はトイツは国際紛争でこれ以上の外交軍事両面の役割を果たすべきでないと回答した。
ドイツ国民は軍事力に大きな関心を示さない。ドイツの地方レストランで地元民に話してみればいい。戦争とは過去の戦争、第二次大戦のことであり将来ドイツで発生する戦闘は想定していない。
アフガニスタンにドイツ連邦軍が派遣されているが報道に登場することは稀だ。戦争とはどこか別の場所の話で国内の安全と無関係というのだ。
クランプ=カレンバウアーもその他ドイツ政治家同様にフランスが主張する軍事面で強い欧州の主張に加わり各国が「強硬な外交政策を志向」する「戯れ」が発生しない主張を口にするもののこれまでは言行不一致だった。
その好例がドイツ蔵相オラフ・ショルツで国防予算増に反対姿勢をくりかえし示している。だがその姿勢ではNATO加盟国で合意ずみの2024年までに経済規模の1.5パーセント相当を軍事費に計上する約束を実行する意思がドイツにあるのか疑問となる。
ショルツは社会民主党員でCDU、キリスト教社会連盟と連立政権を組んでいる。同党はドイツの国防姿勢・政策の大変更に一貫して反対しており、とくに防衛装備輸出に強く反対している。その例がトーネード戦闘機で85機が2025年から退役するが後継機選定を先送りしている。一部機材はNATO核戦力共有によりドイツが管理する核弾頭を運用する。後継機種が決まらないとNATO核戦力におけるドイツの影響力は消えてしまう。
ドイツの歴史をみれば軍事力行使含めたドイツ外交力の増強と国防予算増が必要な理由が見えてくる。
まず米主導の自由体制の動きが鈍いことで世界はさらに危険な場所となり、安全保障と経済の両面への影響が必至だ。ドイツ経済は輸出に大きく依存している。2018年の財の輸出は1.547兆米ドル。米海軍が海洋支配機能を失えばドイツ海軍では人員装備ともにそのかわりは務められず、ドイツの経済活動に重要な海運の防御はできない。
次にドイツ国内でINF条約終了の議論が不在であったのはドイツ、欧州の安全保障の仕組みに驚くほど理解がないことのあらわれだ。通常戦力核戦力双方による抑止力機能、国防予算の増額、軍事対応力の向上は自動的に戦争につながるものではなく実は敵対勢力が強硬手段に出るのを防ぐ意味があるのに理解されていない。連邦軍の実力が伸びれば大規模戦にドイツが巻き込まれるリスクも減る。
三番目にロシアはじめとする現状変更勢力はドイツの安全に現実の危険となっている。プーチンの外交目標はふたつ、NATOとEUの解体だ。2つともドイツの安全を支える屋台骨である。このためドイツとロシアはパートナーになりえない。軍事面で弱いドイツはバルト海沿岸でロシアを勇気づけてしまう。
四番目にドイツ連邦軍は安定化任務の枠を超え海外戦闘も視野にいれるべきだ。その例としてアフリカや中東で国家破綻の状況が生まれれば危機連鎖を防ぐ、あるいは欧州へ向かう難民に対応する必要があるはずだ。
最後にドイツ政界は通常戦力を充実したドイツ軍によりNATO内でドイツの交渉力が強まる事を忘れてはならない。これにより欧州全体もトランプ政権への交渉力が強まる。(米政府が口出しをやめればドイツはNATO支出目標に向かう。ドイツが2024年までに2パーセント支出目標は達成できない言うのを聞いた米大使が『受け入れがたい』と発言したのは逆効果だった。ドイツで大変不人気なトランプも国防支出を増やしているメルケルが持ち上げたのは逆効果だった。)
それでも現在の地政学的環境で軍事力増強を進める必要性を同国が理解し始めた兆候もある。2018年の世論調査でドイツ人の最大の恐怖としてトランプ大統領と危険度をます世界情勢を70パーセントが上げた。フランスとドイツは次期主力戦車、次世代戦闘機を共同開発中だ。また汎欧州防衛構想の各種仕組みづくりでも協力しており、アーヘン条約で定めた防衛への取り組みをともに再確認した。
ドイツ政界はマクロン提案の機会をとらえ、国防予算を増やし主張できる外交防衛戦略を展開すべきだ。これができないとドイツの安全保障は脆弱となり、ドイツ経済が弱くなるだけでなくこれまで守ってきた欧州の平和が危うくなる。■
一昨年辺りからドイツ軍の窮状が伝えられ、(まともに稼働出来る装備が減少、F-35導入を主張した空軍トップが更迭された等)どうしてこうなるのかと疑問に思ってきましたが、やはり政治が悪いのですね。日本でも現実に目を向けず夢想的な世界観を持った政治家は多いようですが、政権党がこれでは困りますね。しかし政治家を選挙で選んだのは国民なのでつまるところ国民の資質というか意識なんでしょうね。日本も偉そうなことは言えませんが、2010年代に入りこれまでと安全保障面でも現実世界に即した意識に目覚めてきた人が多い気がします。ドイツの動向には今後も注視していきます。
ドイツの軍事に対する反応は、一昔前の日本と良く似ている。だが、中国の急速な軍拡と度重なる挑発が、多くの国民に現実の安全保障に目を向けさせてくれた。中国は厄介だが、能天気な日本人の平和主義の幻想を打ち砕いてくれた点には感謝している。中国があれ程、露骨に領土拡大の野心を剥き出しにしなければ、今も日本人はドイツ人と大して変わらなかったかもしれない。
返信削除だからこそロシアが再び軍拡に動く中で、未だに能天気な平和主義の幻想を持ち続けるドイツを懸念する。まぁ、ドイツ経済が中国経済に過度に依存していること、また、ロシアにエネルギーを依存しているため、中国やロシアの軍拡に口出しできないのかもしれないが。
それにしても、此処までキナ臭くなりつつあるのに、未だに平和ボケが直らないドイツというのにも、困ったものです。米国やアジアが戦争に巻き込まれたらドイツ経済にも影響があるというのにね。やれやれです。
この記事の主張は妥当だ。
返信削除ドイツの政治が何を目指しているのか、特にEUや世界との国際的関係で何をしたいのか、様々な報道やこのブログの記事を見ても、現実的と思えない発言ばかりである。EUの盟主になりたいマクロンの方がまだ多少現実に向き合っている。
他方、ドイツは、陰りの見える経済成長を何とか維持・回復しようとし、その政府の政策は明確である。ドイツ経済は、輸出に依存し、EUの経済制度で利益を貪り、中露との貿易で大きな利益を得ることにのみ腐心してきた。
しかし、この経済政策は、EUや国際的な協調を考慮したものでなく、独善的である。そんなドイツが経済に害を与える米政策に反発するのも当然である。その結果、ドイツは、政治なぞどうでもよく、国益のみを追求しているように見える。
ドイツにとってEUは、利益をあげるための経済制度であり、EU内最大の大国としての責任を担おうとしないドイツの姿勢は、EU内の他国の反発を引き起こし、EUの崩壊を促進させるだろう。また同時に、NATOの分裂も引き起こすかもしれない。今やその可能性は高まっている。
そして、この結果、最も重要なことは、西欧の没落を最終的に促すことである。西欧は、EUとして結束してのみ国際的に重要な地位を維持できたが、EU崩壊後の西欧の各国は、アジアの新興国の発展により相対的に地位を落とすことになるであろう。西欧のかつての大国は、世界を主導してきたが、これからは中位国として世界の狭間に押し込まれ、また、相互に対立するようになる。
ちょっと未来予測が行過ぎましたが、ドイツの姿勢が変わらない限り、どのように考えても明るい未来を描けないのは間違いない。
ぼたんのちからさん、私も同意します。今の欧州はかなり危ういと思っています。
削除各種記事を読みますと、今の欧州委員会というエリート集団による統治は、その位国民と乖離した政策しか打ち出せていないのでは無いかと思います。例えば、フランスのデモもそうですし、英国のブレグジットもそうですし、ドイツも極右政党の支持が高まっていると聞きます。この為、これが続くと、移民政策などの偽善に満ちた政策に我慢の限界を超えた民衆によって、欧州各国に過激な極右政党が次々と誕生して対立が激化し、ヘタをすると欧州が三度目の世界大戦の口火を切る可能性も、必ずしも笑い話と言い切れなくなりつつあるのではないかとさえ思っています。