スキップしてメイン コンテンツに移動

開発中と言われる極超音速SR-72は実現すれば無人爆撃機にもなる



The Super Secret SR-72 Spy Plane (That Might Also Be a Stealth Bomber) 

極秘SR-72スパイ機はステルス爆撃機にもなるのか

Could this be the real deal? Will it actually happen? だが実現できるのか
April 8, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: SR-72SR-71MilitaryTechnologyWorldStealth


ッハ5で飛行可能な極超音速兵器が世界の国防産業界のはやり文句になっている。中国、ロシア、米国の各国が開発に注力しており、軍備装備の開発を巡るレースに火を注ぐ効果を生んでいる。
長距離弾道ミサイルでは発射後短時間で極超音速に達するが、かわりに飛翔軌跡が予測可能なため事前に探知され相手側に軍事上政治上で対応策を打つ時間が生まれる。さらに弾道ミサイルの迎撃能力を備えた装備品が増えてきた。
だが2013年にロッキード役員のロバート・ワイスがAviation Weekに極超音速機を開発中と話し波紋を呼んだ。しかも伝説のSR-71ブラックバード・スパイ機を想起させるSR-72の名称に触れたのだ。
ブラックバード並の巡航速度を長時間持続できる有人機はない。SR-71はミサイルが届かないまま北朝鮮や中東で写真偵察を行ってきた。だが最新の地対空ミサイルの前にマッハ3でも生き残りが難しくなっている。だが極超音速機なら再度ミサイルを出し抜くことが可能となる
SR-72はロッキードの説明ではマッハ6の飛行が可能という。ロケット推進方式のX-15テスト機はマッハ6.7まで達したが、B-52母機から切り離され飛翔していた。SR-72は低速での離着陸をめざす。
ワイスは「...技術は成熟しておりDARPAや軍とこの性能を実働部隊に一日も早く提供しようと懸命になっている。大日程や詳細はお話できない。全て機微情報だ....大まかなお話はできるが細かい部分には触れられない」と述べた。
ロッキードはエアロジェット・ロケットダインと複合サイクルエンジンで突破口を開いたと言われ、タービンとスクラムジェットを使い分ける。極超音速飛行時はスクラムジェットを使う。ターボファン、スクラムジェットが空気取り入れ口、排出口を共用する。
ワイスは任意で有人操縦可能な全長60フィート(ジェット戦闘機並の大きさ)単発テスト機の製造に「わずか」10億ドルの予算をつけてもらいたいとの希望を示した。ここから双発で全長100フィート超のSR-72を開発するとしていた。
ワイス発言から6年が経過したが、ロッキードは本来なら一般に紹介できないはず秘密開発案件の割には異常なほど関心を集めようとしている。その一環でSR-72開発用の試験機は完成ずみとも聞こえる発言が出ている。
その例として2018年の科学技術学会で同社副社長ジャック・オバニオンが「(三次元設計技術の)デジタル化がなければ製造は不可能だったろう。五年前の技術では実現できなかった」と述べたが、執行副社長オーランド・カバルホはFlight Globalに「(SR-72は)未完成と断言しておく」としオバニオン発言は「違う文脈から」の引用だというのだ。
ロッキードの極超音速機の大々的宣伝で実機が存在するのかしないのかあえて不明にしているのは追加予算獲得が狙いなのは明らかだ。同社が共同開発に当たる相手の国防高等研究局(DARPA)は画期的技術の開発に特化し空軍の要望に答えるよりも時代の先どりをしすぎる傾向がある事で知られる。
米空軍も極超音速機の運用は長期課題としながら、近い将来に必要となるのはF-35ステルス戦闘機多数(これもロッキード製品だ」と今後登場するB-21レイダーレイダーステルス爆撃機だ。空軍としても希望機材全ての調達はできないと自覚している。その中で非常に高額で先端技術の塊ともいえる構想に予算を確保するのは容易ではない。
ブラックバードの呼称SRは戦略偵察の略で防空体制の整備された空域に進入し地上の状況を迅速に撮影するのが役目だった。だがSR-72の名称には誤解を与える余地が多々ある。
極超音速SR-72が無人航空機UAVとなるのはほぼ確実だ。言い換えれば通常は「Q」の制式名称がつく無人機だ。どこまで人間の介在が必要となるのか、事前プログラミングによる飛行制御と自律飛行の組み合わせなど興味深い点は多い。
さらにSR-72には情報収集監視偵察(ISR)任務以外に事前探知されずに目標を攻撃する能力もつくはずだ。いいかえれば爆撃機だ。時速4千マイルで飛行すれば極超音速爆撃機が米大陸内の基地を離陸すれば太平洋や大西洋の彼方の目標に90分で到達できる。極超音速ミサイルとちがい、基地に戻り次の再搭載し任務投入できる。
ワイスは当初からSR-72に「攻撃能力も念頭にある」と発言していた。SR-72は迅速汎地球攻撃構想から生まれロケット推進式のファルコンHTV-3極厚音速テスト機が開発の原点とされる。
だが極超音速爆撃機兼スパイ機に費用対効果があるのか議論が分かれる。まずステルス性能の欠如は確実で、そもそもこれだけの速度で飛行すれば熱発生は各種センサーに明示され、レーダー波吸収剤も空気摩擦で消失する。敵勢力にも同機の飛来は判明するはずだが、対応時間が限られる。
現時点の防空ミサイルの性能は超えているとはいえSR-72の存在で地対空ミサイルの性能向上にはずみがつき極超音速機対応も生まれるだろう。SR-72爆撃機ではこれだけの高速度で運用可能な新型兵装の開発も必要で高額な予算投入につくだろう。
ブラックバードが引退しても後継機が登場しなかったのはスパイ衛星の性能向上でそのISR機能が微妙になったこと以外に低速ながらステルスの長距離無人機としてRQ-170が登場した事が大きい。ブラックバードは高度防御体制の空域に進入できるが、ステルス無人機ならスピードは遅くても同じ機能を確実にこなし、対象地点上空の滞空時間も長く、リアルタイムで映像を数時間送れる。ペンタゴンが長時間飛行可能な超ステルス機RQ-180の開発をノースロップ・グラマンに発注したのは同機でSR-72の機能を実質的に果たせると考えていることを思わせる。
SR-72推進派には「スピードがステルスの新しい定義だ」との声があり、今後登場するネットワーク化センサー装備でステルス機の生存は不可能となるとの予想がある。機体防御策がふたたび速度になるというのだ。ペンタゴンがあらゆる形の極超音速兵器に関心を寄せていることからロッキードの極超音速UAVに追加予讃措置が付く可能性もある。しかし、ステルスを中心に捉える空軍の価値観からすれば困った状況になりそうだ。■
Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.

Image: Lockheed Martin.

コメント

  1. 極超音速で飛翔すれば衝撃波や熱などが高性能なレーダー網に引っかかりやすいですから、スピードを上げる方向より、「長時間飛行可能な超ステルス機RQ-180」の方が実現性が高いと思います。それに、極超音速飛行をすれば航続距離は低下し、目的を偵察できる時間が短くなって、使用上の制約が大きくなると思います。
    これならヘタに多額の費用をかけて開発するより、既存の弾道ミサイルにカメラを取り付けて目的地の上空へ飛ばした方がよほど実現可能でしょう。尤もまかり間違うと、弾道ミサイルだけに、敵の攻撃と見なされる大きなリスクがあるので、簡単には出来ないでしょうが。
    そうすると、人工衛星の偵察カメラの精度を上げた方が使い勝手が良いですかね。

    返信削除

コメントを投稿

コメントをどうぞ。

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

日本の防衛産業が国際市場でプレイヤーになれるか試されている。防衛面の多国間協力を支える産業が真の国際化を迫られている。

  iStock illustration CHIBA, Japan —  インド太平洋地域での中国へのヘッジとして、日米含む多数国が新たな夜明けを迎えており、軍事面で緊密化をめざす防衛協力が進む 言うまでもなく日米両国は第二次世界大戦後、米国が日本に空軍、海軍、海兵隊の基地を設置して以後緊密な関係にある。 しかし、日本は昨年末、自国の防衛でより積極的になることを明記した新文書を発表し、自衛隊予算は今後10年間で10倍になる予想がある。 政府は、新しい軍事技術多数を開発する意向を示し、それを支援するために国内外の請負業者に助けを求める。 日米両国軍はこれまで同盟関係を享受してきたが、両国の防衛産業はそうではない。 在日米国大使館の政治・軍事担当参事官ザッカリー・ハーケンライダーZachary Harkenriderは、最近千葉で開催されたDSEIジャパン展示会で、「国際的防衛企業が日本でパートナーを探すのに適した時期」と述べた。 日本の防衛装備庁の三島茂徳副長官兼最高技術責任者は会議で、日本が米国ならびに「同じ志を持つ同盟国」で協力を模索している分野を挙げた。 防衛省の最優先課題のひとつに、侵略を抑止する防衛システムの開発があり、極超音速機やレイルガンに対抗する統合防空・ミサイル防衛技術があるという。 抑止力に失敗した場合を想定し、日本は攻撃システムのアップグレードを求めており、12式地対艦ミサイルのアップグレード、中距離地対空ミサイル、極超音速兵器、島嶼防衛用の対艦ミサイルなどがある。 また、高エナジーレーザーや高出力マイクロ波放射技術など、ドローン群に対抗する指向性エナジー兵器も求めている。無人システムでは、水中と地上無人装備用のコマンド&コントロール技術を求めている。 新戦略の発表以来、最も注目されている防衛協力プログラムは、第6世代ジェット戦闘機を開発するイギリス、イタリアとの共同作業「グローバル・コンバット・エアー・プログラム」だ。 ハーケンライダー参事官は、日本の新しい国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛予算の増強は、「時代の課題に対応する歴史的な資源と政策の転換」につながると述べた。 しかし、数十年にわたる平和主義的な政策と、安全保障の傘を米国に依存してきた結果、日本の防衛産業はまだ足元を固めらていないと、会議の講演者は述べた。 三菱重工業 、 川崎

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックIIAとSM