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米海軍は日本への前方配備部隊に揚陸艦1隻追加派遣

Navy Adding Fourth Amphib to Japan-Based Fleet for Operational Flexibility; 1 DDG Leaving Japan 米海軍が揚陸艦1隻を日本へ追加配備。DDG1隻を本国呼び戻し。

April 29, 2019 1:07 PM

揚陸輸送ドック艦USSニューオーリンズ(LPD-18)のウェルデッキから揚陸強襲艇が発進している。ドーンブリッツ2015演習 (DB-15)にて。US Navy photo.


海軍は前方配備艦として揚陸艦四隻目を日本に派遣する一方、これまでで最長の前方配備となっていた駆逐艦を本国へ呼び戻す。

日本にはサンアントニオ級揚陸上陸ドック型艦二隻が配備されているが、ここにUSSニューオーリンズ(LPD-18)が加わる。USNI Newsは複数の海軍筋からこの配備は在日前方配備海軍部隊FDNF-Jに柔軟度を高めるのが狙いで、訓練とともに同盟国との協調運用を太平洋全域で強めるのも目指しつつ、域内の自然災害にも備える。

海軍はニューオーリンズの追加派遣でUSSグリーンベイ(LPD-20)、USSアシュランド (LSD-48)の修理日程を確保しつつ揚陸即応部隊ARGの即応体制を維持できる。

揚陸艦四隻目の追加で作戦配備にも別の選択肢が生まれる。特に人道支援や災害救助の場面だ。2018年は8月から11月にかけアシュランドは北マリアナへ三回出動し台風通過後の住宅再建などを支援した。FDNF揚陸部隊では重要なミッションとはいえ、ARGの三分の一が共同訓練からはずされてしまった。四隻目の揚陸艦が加わり、ARG専属ではない形になれば司令官には災害救援でも柔軟対応が可能となる。

.同時に強襲揚陸艦USSワスプ (LHD-1) はノーフォーク(ヴァージニア)へ回航され修理に入りかわりにUSSアメリカ (LHA-6)がやってくる。アメリカは航空作戦に最適化されておりかわりにウェルデッキがないが、航空機格納庫が拡大されており、F-35B共用打撃戦闘機やMV-22Bオスプレイの搭載数はワスプをしのぐ。



揚陸輸送ドック艦USSニューオーリンズ(LPD 18)は2016年5月10日アデン湾を航行した。US Navy photo.



太平洋艦隊報道官レイチェル・マクマー中尉はUSNI Newsに対して「USSアメリカ、USSニューオーリンズは前方配備でインド太平洋地区の行動計画の一部を担う。これは米国の安全保障上のみならず国益の防御に役立ち域内の同盟国友邦国へは我が国の変わらぬ平和安定繁栄の堅持の姿勢を太平洋内のすべての国へ海上交通路アクセスの自由を守る象徴だ。USSアメリカは近代化改修を受けたところでF-35B共用打撃戦闘機運用が可能となり、基幹システムも更新されている」と発表。

駆逐艦ではUSSステサム (DDG-63)が日本を去り近代化改修に向かう。同艦は2005年から日本に配備されてきた。

2017年に相次いで発生したUSSフィッツジェラルド (DDG-62)、USSジョン・S・マケイン(DDG-56) の衝突事故を受けて米海軍と議会の間で海外基地に本拠を置く配備基幹の長さについて議論が起こった。下院軍事委員会がまず配備期間を7年から最長10年とする提案を示した。これに対し当時の米艦隊総司令官フィル・デイヴィソン海軍大将(現INDOPACOM司令官)は艦艇は本国修理を受けられるようローテーションしていくが厳格な期限に縛られたくない、艦隊への影響が懸念されるためと答えた。駆逐艦を本国へ呼び戻すと別の駆逐艦を選抜し海外へ送ることになるため修理日程でも調整が必要だ。

ステサムは艦齢24年目でうち14年を日本で過ごしたが予想外の酷使ぶりで、サンディエゴやノーフォークが本拠の場合と異なる。「同艦は長期ドック入りし最新の戦闘装備等を装備する再整備で弾道ミサイル防衛や水上戦、対潜戦能力も向上する」(マクマー中尉)

アーレイ・バーク級誘導ミサイル駆逐艦USSステサム(DDG 63) 2017年11月12日、西太平洋にて。 US Navy photo.



ステサムが日本を去る影響は測りにくい。FDNF-J隷下の駆逐艦ではUSSミリウス(DDG-69)が2018年5月に到着し1隻増えたが、フィッツジェラルド、マケインの移動で二隻減り修理作業はまだ続いている。マケインは横須賀で修理中で乾ドックを出ており、仕上げ作業中なので今年末までには復帰する。フィッツジェラルドは今月にミシシッピのインガルス造船で乾ドックを出たところだが修理工事の完工時期、艦隊復帰時期は不明だ。

フィッツジェラルド、マケイン両艦が修理を受ける間、各駆逐艦は空母打撃群に随行あるいは単独行動に投入され活躍している。

マクマー中尉からは「西太平洋での戦力低下にならないようその他艦艇の運用を効率よく進めていく

「米海軍の長期計画では常に各艦、各装備の効率かつ効果的な運用を目指している

「母港変更の決定については適宜発表していく」とした。■

コメント

  1. 「米海軍は前方配備艦として揚陸艦四隻目を日本に派遣する」
    これを見て、在韓米軍の撤退と韓国にいる日米の民間人を日本に非難させるための準備だろうか?と思いました。
    今の韓国政府への日米の信頼は、かなり低下していると思われますので、今すぐにでは無いにしても、在韓米軍の撤退が実際に戦略案に盛り込まれ、具体的な計画と準備が進んでいるのかもしれないと思います。

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