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攻撃型潜水艦の建造ピッチを上げる米海軍の想定は対中国作戦にあるのは自明の理

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Submarine Surge: Why the Navy Plans 32 New Attack Subs by 2034

潜水艦建造急増 米海軍が攻撃型潜水艦32隻を2034年までに建造する理由
US Navy photo


水上艦・潜水艦の撃破、敵地に接近し「スパイ活動」、重要目標に大量の火力を投入し強力な水中無人機を発進させる...全て海軍がこれから実現するミッションの一部で、米海軍は今後15年に攻撃型潜水艦を最大32隻建造する。


攻撃型潜水艦追加建造は海軍が進める355隻体制の一部となる。


「2020年に301隻、2034年に355隻の戦闘部隊規模となる」とケヴィン・チェンバース少佐がWarrior Mavenに語る。


新規建造潜水艦には将来につながる新技術が搭載される。たとえばトマホークミサイルや魚雷に代表される火力の増強、発電容量の強化で無人機やAI利用のセンサーに備える、航法や自艦防御も更新する。


海軍による今後30年間の建艦予定ではヴァージニア級攻撃型潜水艦3隻の建造を前倒しし、今後予想される潜水艦不足に先手を打つ姿勢が見られる。投入可能な攻撃型潜水艦が少ないとの危機意識は各方面司令官がここ数年感じており、海軍は議会の協力のもとで潜水艦建造を強化する。


以前は毎年2隻のヴァージニア級建造を2020年代はじめに年間1隻に落とし、コロンビア級核ミサイル潜水艦建造に備えるとしていた。その後ヴァージニア級2隻とコロンビア級1隻になった。


新計画ではコロンビア級建造がない年にヴァージニア級3隻建造体制とする、と海軍は議会に伝えてきた。


攻撃型潜水艦の需要が高まる背景の理由は多数ある。偵察活動では水上艦より敵地に接近できる。前方配備すれば沿岸近くで「ステルス性が増す」。トマホーク・ミサイルで標的近くから強力な火力を提供できる。


海軍では火力増強もさることながら攻撃型潜水艦での「スパイ」つまり情報収集監視偵察(ISR)ミッションの充実を狙う。敵沿岸に近づける性能を活かし、攻撃型潜水艦は敵沿海部近くの浅水部でも静かに哨戒し、敵潜水艦、水上艦、沿岸地の敵陣地を探知できる。
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海中航法性能と探知性能が向上し新型ソナー、強力なコンピューター自動化、人工知能の搭載で、沿海部で機雷、哨戒艇その他脅威があってもより静粛に高速な移動が実現する。


ヴァージニア級潜水艦には「フライバイワイヤ」性能が導入されてこれまでより静かに沿海部の海中に留まり容易に位置を維持できる。


​「フライバイワイヤ」技術で乗員は深度、速度の入力でソフトウェア制御で潜舵、方向舵を使い進路深度を維持できると海軍技術陣がWarrior Mavenに説明してくれた。艦の動きはソフトウェアと電子装置が制御するので乗員の負担を軽減し、通常は手動制御が不要だという。


「沿海部操舵で最も大切なのはフライバイワイヤ制御システムでコンピュータが制御の中心となり艦の可動部を制御し、ロサンジェルス級の油圧制御から大きく進歩する」と2016年のスタンフォード大「原子力潜水艦の将来」と題したアレクサンダー・ヤチャニンの論文にある。


アップグレード前提のソフトウェアと急進展するAIを用いた技術で攻撃型潜水艦のミッション内容は拡大されISR装備としての可能性が広がる。リアルタイムのアナリティクスと膨大な情報のデータベースやセンサーのインプットから従来は乗員により行ってきた機能をコンピューターで代行できる。これで操艦や調整の対応時間が短くなり、攻撃に遭遇した場合の速度深度変更が迅速化される。
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沿海部に接近できる潜水艦の特徴を活かし海軍の戦略構想では「沿岸攻撃」ミッションとISR機能で強化した対潜水艦、対水上艦作戦を重視するとある。


昨年刊行された米海軍編「米潜水艦部隊への指揮官の期待」では「潜水艦はステルス、極秘、単独作戦で他の追随を許さない最高の性能を発揮できる。海中を進む特徴を活かし戦略抑止力として、情報収集に、特殊作戦部隊の支援に、また非挑発的な航行に活用できる」とある。


海軍は進水したばかりのUSSサウスダコタ、ブロックIIIヴァージニア級攻撃型潜水艦にこの戦略の一環として新型海中技術装備を導入した。


新技術の多くは試験運用されているがUSSサウスダコタで実戦化し機関室静粛化で非探知性が増し、新型大型アレイと「静粛化」艦体塗装が実用化ができたと海軍技術陣は評価している。


ブロックIIIヴァージニア級潜水艦には大型開口艦首一体型ソナーが搭載され、海中の音響から敵艦位置を解析する機能が実現した。


さらにブロックV建造艦では84フィートの艦体構造を挿入し、ミサイル搭載本数を増やす「ヴァージニアペイロードモジュール」としトマホークミサイルを現行の12本から40本に増やす。


同モジュルールを搭載した各艦にヴァージニアペイロード発射管4本が追加され各7本のトマホーク巡航ミサイルを搭載し、合計40本にする。■


Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army - Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has a Masters in Comparative Literature from Columbia University.

More Weapons and Technology -WARRIORMAVEN (CLICK HERE)

これまで浅海域では原子力潜水艦の運用は不利(ノイズ等)といわれてきましたので改ヴァージニア級でどこまでこの常識が変わるかが見ものです。しかしこの建造ラッシュが実現するとしても人員訓練等で米海軍には相当のストレスがかかりそうですね。ましては通常型潜水艦の建造の余地は全くありませんからかねてから当ブログで主張している通常型潜水艦の日米共同運用となればやはり建造は日本で行うしかありませんね。

コメント

  1. 「日本製の通常型潜水艦の日米共同運用」は西太平洋、つまり日本近海ならば、日本での整備と補給ができますから可能ですが、他の海域でも日本製通常型潜水艦を運用する可能性があると考えると、極秘装備品であるだけに、どこで整備と補給するかが問題になるでしょう。信用の無い国での整備は日本的には断りたいですね。かと言って、日本企業が現地にドックを作るのか?と言えば、費用面で問題になります。そのような訳で、実現性は低いかもしれません。

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  2. ぼたんのちから2019年4月9日 14:59

    今後15年に攻撃型潜水艦を最大32隻建造するにしても、その多くは老朽化したロサンゼルス級との交換になる。攻撃型潜水艦の数はなかなか増えない。原子力潜水艦の寿命延長=原子炉燃料の交換、補修は、厄介なことに、手間と時間と費用がかかる。
    他方、中露の新型戦略ミサイル潜水艦や新型攻撃型潜水艦の増加、北朝鮮等の監視海域の増加等により、現場海域での攻撃型潜水艦の必要数は増えている。
    このように考えると、この記事に書いてある敵国沿岸での監視活動には限界がある。このブログ「主張 米海軍は日本とSSK部隊を共同運用すべきだ。日本から調達してもよい」でホームズ教授が主張するディーゼル潜水艦の調達が現実味を増すことになる。
    さらに新型の攻撃型潜水艦は、マルチタスク型であり、その分建造にも時間と費用がかかるが、そのような潜水艦を揃えるよりも、機能を単純化した潜水艦の方が、建造期間が短く、数を増やせるのでなかろうか。

    返信削除
  3. 対潜センサーの発達から109mもある鉄の塊の原潜がいつまでも隠れられるかわかりませんが、水上艦も強化される対艦ミサイルをいつまで迎撃できるかわかりません。
    技術の進歩が海洋国に不利なように働いてますね。

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